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「カロリーナ。何かあったらすぐに連絡しなさいね」
「色々あるが…とにかく後悔がないよう学園生活を楽しんできなさい」
学園へ出発の時。
お父様とお母様は朝早くから私を見送る為にエントランスでずっと待っていてくれた。
屋敷にいる使用人達も全員、朝の作業を中断してエントランスに出て来てくれている。
愛されてるな…私。
妃教育が始まってから王城で過ごす時間の方が多かったから久々の感覚になんだか歯痒い。
王城では必要最低限の関わりを持つ人しかいなかったし、唯一の婚約者のマルク様はあんな感じだったからな…
「お父様…お母様…ありがとうございます。次帰る時には家族が増えているのですね。とても楽しみです。お母様、元気な赤ちゃんを産んでくださいね」
私が満面の笑みで言うと2人は私に近づいて優しくハグする。
「ありがとうカロリーナ。何があっても私達は貴方の味方ですからね」
「些細な事でもいい。何かあったら必ず遠慮せず連絡するんだよ」
そう言って私を抱きしめる力にグッと力が入る。
心地よい…心が温かくなる。
この優しい両親の為に…家族の為に私ができる事を頑張ろう。
「それでは行ってまいります」
私は2人の温もりを惜しみつつも離れて笑みを浮かべると、2人はそんな私に答えるかの様に少し不安の残る顔で微笑んでから私の後ろにいるリナに目を向ける。
「リナ。カロリーナをよろしくね」
「お任せください」
「カロリーナを守る為なら何をしても我が家はお前を守る。多少の手荒な事も許す。お前の本来の能力を存分に発揮してくれ」
「かしこまりました」
…本来の能力?
それからお父様はリナに近づいて私に聞こえない声でボソリと何かをリナに伝えた。
リナは真剣な顔でコクリと頷いてからお父様から何かを受け取ると、それを私の視界から隠すかの様にポケットにしまう。
そのままお父様は何事もなかった様に私の元に来ると馬車までエスコートをしてくれる。
「身体には気をつけて」
「はい。お父様もお元気で」
私が馬車に乗り込むとリナも後に続いて乗り込み扉を閉める。
馬車が動き始めるとお父様とお母様は姿が見えなくなるまで手を振ってくれていた。
とうとうこの日がやってきた。
マサラ王妃の陰謀で妃教育から逃げられる喜びは半減してしまったし、家から離れてしまう事に寂しさを感じるけれど学園でのこれからの新しい生活に胸が高鳴る。
「カロリーナ様。学園に着くまで時間があります。お茶を入れてきましたのでお飲みになりますか?」
リナが水筒を取り出して揺れる馬車の中、慣れた手つきで準備を始める。
「…そういえばリナ。先程、お父様から何を言われて何を受け取ったの?」
リナは私の言葉にピタっと動きを止めるとニコリと私に微笑む。
「なんでもありませんわ。ただ、カロリーナ様をよろしく頼むと言われただけです。旦那様より渡されたのは学園内での使用人の掟です」
それだけ言うとリナはお茶の準備を再開させる。
「掟?そんなのがあるの?」
「はい。学園に規則があるように付人にも規則があるのです」
「そう…」
その位なら別に内緒話みたいにする必要は無いんだと思うんだけど…
なんか納得がいかない感じもするけど、追求したところでリナは何も言わないでしょうからここは引き下がりますか…
「色々あるが…とにかく後悔がないよう学園生活を楽しんできなさい」
学園へ出発の時。
お父様とお母様は朝早くから私を見送る為にエントランスでずっと待っていてくれた。
屋敷にいる使用人達も全員、朝の作業を中断してエントランスに出て来てくれている。
愛されてるな…私。
妃教育が始まってから王城で過ごす時間の方が多かったから久々の感覚になんだか歯痒い。
王城では必要最低限の関わりを持つ人しかいなかったし、唯一の婚約者のマルク様はあんな感じだったからな…
「お父様…お母様…ありがとうございます。次帰る時には家族が増えているのですね。とても楽しみです。お母様、元気な赤ちゃんを産んでくださいね」
私が満面の笑みで言うと2人は私に近づいて優しくハグする。
「ありがとうカロリーナ。何があっても私達は貴方の味方ですからね」
「些細な事でもいい。何かあったら必ず遠慮せず連絡するんだよ」
そう言って私を抱きしめる力にグッと力が入る。
心地よい…心が温かくなる。
この優しい両親の為に…家族の為に私ができる事を頑張ろう。
「それでは行ってまいります」
私は2人の温もりを惜しみつつも離れて笑みを浮かべると、2人はそんな私に答えるかの様に少し不安の残る顔で微笑んでから私の後ろにいるリナに目を向ける。
「リナ。カロリーナをよろしくね」
「お任せください」
「カロリーナを守る為なら何をしても我が家はお前を守る。多少の手荒な事も許す。お前の本来の能力を存分に発揮してくれ」
「かしこまりました」
…本来の能力?
それからお父様はリナに近づいて私に聞こえない声でボソリと何かをリナに伝えた。
リナは真剣な顔でコクリと頷いてからお父様から何かを受け取ると、それを私の視界から隠すかの様にポケットにしまう。
そのままお父様は何事もなかった様に私の元に来ると馬車までエスコートをしてくれる。
「身体には気をつけて」
「はい。お父様もお元気で」
私が馬車に乗り込むとリナも後に続いて乗り込み扉を閉める。
馬車が動き始めるとお父様とお母様は姿が見えなくなるまで手を振ってくれていた。
とうとうこの日がやってきた。
マサラ王妃の陰謀で妃教育から逃げられる喜びは半減してしまったし、家から離れてしまう事に寂しさを感じるけれど学園でのこれからの新しい生活に胸が高鳴る。
「カロリーナ様。学園に着くまで時間があります。お茶を入れてきましたのでお飲みになりますか?」
リナが水筒を取り出して揺れる馬車の中、慣れた手つきで準備を始める。
「…そういえばリナ。先程、お父様から何を言われて何を受け取ったの?」
リナは私の言葉にピタっと動きを止めるとニコリと私に微笑む。
「なんでもありませんわ。ただ、カロリーナ様をよろしく頼むと言われただけです。旦那様より渡されたのは学園内での使用人の掟です」
それだけ言うとリナはお茶の準備を再開させる。
「掟?そんなのがあるの?」
「はい。学園に規則があるように付人にも規則があるのです」
「そう…」
その位なら別に内緒話みたいにする必要は無いんだと思うんだけど…
なんか納得がいかない感じもするけど、追求したところでリナは何も言わないでしょうからここは引き下がりますか…
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