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なんやかんやで最初は不安だらけだった学園生活もあっという間に1ヶ月が過ぎた。
初日以降、新入生代表だったハイス・ユトルドさんのおかげかマルク様が私に対して無理難題を言ってくる事もなくなり、現状、適切な距離を保っている。
ちなみに、この1ヶ月の中で一番大きな変化と言えばマルク様の事を“マルク様”ではなく“マルクさん”と呼ぶ様になった事位です。
エリーさんに指摘をされてから特訓する事、1週間。
初めてマルク様の前で『マルクさん』と呼んだ時のマルク様の呆気に取られた表情は見ものだった。
マルク様は私に対して何か言いたげでしたが、まぁ…学園内の暗黙の決まりですからね。
何だか同等な立場になった様で気持ちよかったです。
初めての休日にはエリーさんに連れられて図書室に行った。
初めて見る本が多くて、今は読書に夢中になっています。
何人か他愛のないお話ができるクラスメイトもできました。
アロンとは入学式の時以来お会いしていません。
学園に入れば顔を合わせる事も多いだろうと覚悟をしていましたが、拍子抜けです。
入学式の時にハイセレクトのメンバーが来て周りが騒ついたのも分かります。
普段の学園生活の中で授業を受ける棟が違う他学年の生徒…特にハイセレクトメンバーにお目にかかる事はほぼありません。
私の案内役をしているエリーさんと、マルク様の案内役をしているローラン様は別ですが…
でも、学園生活に慣れてきた最近では私もエリーさんと行動を共にする事は大分減りました。エリーさんは部屋にいる事も少なく、毎日何かしら忙しそうにしています。
至って順調な学園生活。
それこそ、マサラ王妃の企みとか本当にあるのか?と思うほど順調で穏やかな毎日を過ごせている。
このまま何事もなく学園生活を送れたら…
そんな事を日々思っている。
でも、良くも悪くも平穏な日が崩れるのはいつも急だと言う事を私は知っている。
………
「カロリーナ様。起きてください。」
「んーっっ」
朝、いつもの様にリナがお越しに来てくれる。
「カロリーナ様…どうされました?今日は顔色がよろしくありませんね…流石に学園生活の疲れが溜まってきているのではありませんか?」
リナが心配そうに私に顔拭き用の温かいタオルを手渡してくれる。
「うーん。そうかもしれないわ」
「本日はお休みですし、ゆっくりお休みください。」
「そうね…そうするわ」
「本日の朝食はテイクアウトで部屋に準備させて頂きますね」
「えぇ。お願い。」
リナは微笑むと頭を下げて部屋を出て行く。
私はベットから起き上がると、先日借りた本を手に取る。
昨日、寝る前に読み始めた物語。
幼い頃、生き別れた2人が再び出会い恋に落ちるラブストーリーだった。
読んでいる最中、何度もアロンの顔が浮かんでしまった。
あの入学式以降、考えないようにしていたのに…この本は失敗したな…
学園生活に疲れてきたんじゃない。
この本のせいでアロンの事がチラついてあまり寝れなかった。
自分自身が本当に嫌になる。
コンコン
久々にアロンの事を考えてしまっていると、エリーさんの部屋と繋ぐドアがノックされて私はビクッとしてしまう。
タイミング良すぎ…
「カロリーナさん。起きてます?」
「あっはい。起きてます」
私の返答と同時にドアが開く。
「朝早くにごめんなさい。カロリーナさん今日、何か予定ありますか?」
いつもと違って神妙にエリーさんが聞いてくる。
「今日ですか?特にはなにも」
「そうですか…よかった。朝食を食べたら私と一緒に温室にいきませんか?」
「温室に?」
ちょうどその時、リナが朝食を持って部屋に戻ってくる。
「…ココット様?」
「ちょうどよかった。リナさんも一緒に…」
リナはエリーさんをジッと見つめると何かを悟った様にコクンと頷いた。
なんだか…嫌な予感がしますが……大丈夫かしら?
なんやかんやで最初は不安だらけだった学園生活もあっという間に1ヶ月が過ぎた。
初日以降、新入生代表だったハイス・ユトルドさんのおかげかマルク様が私に対して無理難題を言ってくる事もなくなり、現状、適切な距離を保っている。
ちなみに、この1ヶ月の中で一番大きな変化と言えばマルク様の事を“マルク様”ではなく“マルクさん”と呼ぶ様になった事位です。
エリーさんに指摘をされてから特訓する事、1週間。
初めてマルク様の前で『マルクさん』と呼んだ時のマルク様の呆気に取られた表情は見ものだった。
マルク様は私に対して何か言いたげでしたが、まぁ…学園内の暗黙の決まりですからね。
何だか同等な立場になった様で気持ちよかったです。
初めての休日にはエリーさんに連れられて図書室に行った。
初めて見る本が多くて、今は読書に夢中になっています。
何人か他愛のないお話ができるクラスメイトもできました。
アロンとは入学式の時以来お会いしていません。
学園に入れば顔を合わせる事も多いだろうと覚悟をしていましたが、拍子抜けです。
入学式の時にハイセレクトのメンバーが来て周りが騒ついたのも分かります。
普段の学園生活の中で授業を受ける棟が違う他学年の生徒…特にハイセレクトメンバーにお目にかかる事はほぼありません。
私の案内役をしているエリーさんと、マルク様の案内役をしているローラン様は別ですが…
でも、学園生活に慣れてきた最近では私もエリーさんと行動を共にする事は大分減りました。エリーさんは部屋にいる事も少なく、毎日何かしら忙しそうにしています。
至って順調な学園生活。
それこそ、マサラ王妃の企みとか本当にあるのか?と思うほど順調で穏やかな毎日を過ごせている。
このまま何事もなく学園生活を送れたら…
そんな事を日々思っている。
でも、良くも悪くも平穏な日が崩れるのはいつも急だと言う事を私は知っている。
………
「カロリーナ様。起きてください。」
「んーっっ」
朝、いつもの様にリナがお越しに来てくれる。
「カロリーナ様…どうされました?今日は顔色がよろしくありませんね…流石に学園生活の疲れが溜まってきているのではありませんか?」
リナが心配そうに私に顔拭き用の温かいタオルを手渡してくれる。
「うーん。そうかもしれないわ」
「本日はお休みですし、ゆっくりお休みください。」
「そうね…そうするわ」
「本日の朝食はテイクアウトで部屋に準備させて頂きますね」
「えぇ。お願い。」
リナは微笑むと頭を下げて部屋を出て行く。
私はベットから起き上がると、先日借りた本を手に取る。
昨日、寝る前に読み始めた物語。
幼い頃、生き別れた2人が再び出会い恋に落ちるラブストーリーだった。
読んでいる最中、何度もアロンの顔が浮かんでしまった。
あの入学式以降、考えないようにしていたのに…この本は失敗したな…
学園生活に疲れてきたんじゃない。
この本のせいでアロンの事がチラついてあまり寝れなかった。
自分自身が本当に嫌になる。
コンコン
久々にアロンの事を考えてしまっていると、エリーさんの部屋と繋ぐドアがノックされて私はビクッとしてしまう。
タイミング良すぎ…
「カロリーナさん。起きてます?」
「あっはい。起きてます」
私の返答と同時にドアが開く。
「朝早くにごめんなさい。カロリーナさん今日、何か予定ありますか?」
いつもと違って神妙にエリーさんが聞いてくる。
「今日ですか?特にはなにも」
「そうですか…よかった。朝食を食べたら私と一緒に温室にいきませんか?」
「温室に?」
ちょうどその時、リナが朝食を持って部屋に戻ってくる。
「…ココット様?」
「ちょうどよかった。リナさんも一緒に…」
リナはエリーさんをジッと見つめると何かを悟った様にコクンと頷いた。
なんだか…嫌な予感がしますが……大丈夫かしら?
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