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リナが持ってきてくれた朝食をなるべく早く食べて、私はエリーさんとリナと共に温室に向かう。
温室には季節に関わらず沢山の植物が植えられていると聞いた事がある。
食用の野菜から薬草。観賞用の花まで色々あるらしいけど、あえてそこに行く生徒は少ないらしい。
確かに、観賞用の花があるだけならまだしも食用の野菜や薬草など育てられてるって…興味がある方しか行かないわよね…
そんな温室になんで休日の朝早くから?
なんだか胸が騒つく。
気の所為なら良いけど…
温室に入るとムワッと湿気がこもった温かい空気が体を纏う。
そして、目の前に広がるのは様々な色の花々。
「えっ…綺麗…」
「綺麗ですよね。なのにあまり生徒は来ないので結構おススメの穴場スポットなんですよ」
想像していなかった温室の景色に見惚れていると、エリーさんが私の横に来ていつも通りの可愛さ全開の笑顔で言う。
「穴場?」
聞き返した私に対してエリーさんは可愛さを一瞬で取り除いて含みのある笑みを浮かべると、口の前に人差し指を添えてウィンクをする。
「ええ。密会の…」
みみみみ…密会!!!!????
だだだ…誰と…誰が???
「カロンっっ」
エリーさんの爆弾発言を聞いて私が固まってしまうと、すぐに懐かしい名前が呼ばれる。
ピクリと身体が…いえ。心が反応しする。
…私をその呼び名で呼ぶ人物は1人しかいない。
そっと振り返ると私はすぐさま温かい何かに包まれる。
えっ?
えっ……
何が起きているの???
「やっと…やっと…カロンに全てを打ち明けられる…」
「…ア…ロン?」
「うん。」
アロンはぎゅっと強く私を抱きしめる。
全くもって状況が読み込めないけど、アロンの私を抱きしめる腕のその強さに、私の心に閉まったアロンへの気持ちが一気に流れ出てくる。
アロン…
私の知っているアロンだ。
「ちょっと…少しは落ち着きなさいよ。アローン。」
「アローン様…カロリーナ様が混乱してしまいますから」
呆れ返ったエリーさんとリナの言葉にアロンは私から渋々と離れる。
「あぁ…すまん。カロンを見た瞬間、欲望を抑えられなかった…」
「ここまで我慢してきたもんね~入学式の時は本当に笑わせてもらったわ」
「紳士として欲望は抑えてください。抑えられないようであれば今後、カロリーナ様に会わせられませんよ」
「…ちょっ…ちょっと待ってください。こ…これはどういう事なんでしょうか?」
動揺する私に、アロンが昔の様に優しい笑みを向ける。
「ごめんね。カロン。こんなにも時間が掛かってしまって…でも全てが上手くいったから包み隠さず君に全てを話すよ」
そう言ってアロンは私に手を差し出す。
私は状況が把握できなくて一瞬戸惑うものの、迷わずアロンの手をとる。
アロンは私の手を優しく握るとフワリと優しく微笑んで温室の奥へと進む。
温室の奥には蔦に隠されたように1枚の扉があった。
アロンは迷わずその扉を開けると中は寮室より広い部屋が広がっていて、何人かの人がテーブルを囲んで座っていた。
そのテーブルに座っている人達は私たちが部屋に入った瞬間、こちらにパッと顔を向ける。
「え…マリコ先生に…ハイスさん?」
あとの2人は見たことのない人だけど…ドッペルゲンガー?2人とも全く同じ顔をしている。
思いがけない人の登場と意味不明な状態に私の思考は余計に混乱する。
温室には季節に関わらず沢山の植物が植えられていると聞いた事がある。
食用の野菜から薬草。観賞用の花まで色々あるらしいけど、あえてそこに行く生徒は少ないらしい。
確かに、観賞用の花があるだけならまだしも食用の野菜や薬草など育てられてるって…興味がある方しか行かないわよね…
そんな温室になんで休日の朝早くから?
なんだか胸が騒つく。
気の所為なら良いけど…
温室に入るとムワッと湿気がこもった温かい空気が体を纏う。
そして、目の前に広がるのは様々な色の花々。
「えっ…綺麗…」
「綺麗ですよね。なのにあまり生徒は来ないので結構おススメの穴場スポットなんですよ」
想像していなかった温室の景色に見惚れていると、エリーさんが私の横に来ていつも通りの可愛さ全開の笑顔で言う。
「穴場?」
聞き返した私に対してエリーさんは可愛さを一瞬で取り除いて含みのある笑みを浮かべると、口の前に人差し指を添えてウィンクをする。
「ええ。密会の…」
みみみみ…密会!!!!????
だだだ…誰と…誰が???
「カロンっっ」
エリーさんの爆弾発言を聞いて私が固まってしまうと、すぐに懐かしい名前が呼ばれる。
ピクリと身体が…いえ。心が反応しする。
…私をその呼び名で呼ぶ人物は1人しかいない。
そっと振り返ると私はすぐさま温かい何かに包まれる。
えっ?
えっ……
何が起きているの???
「やっと…やっと…カロンに全てを打ち明けられる…」
「…ア…ロン?」
「うん。」
アロンはぎゅっと強く私を抱きしめる。
全くもって状況が読み込めないけど、アロンの私を抱きしめる腕のその強さに、私の心に閉まったアロンへの気持ちが一気に流れ出てくる。
アロン…
私の知っているアロンだ。
「ちょっと…少しは落ち着きなさいよ。アローン。」
「アローン様…カロリーナ様が混乱してしまいますから」
呆れ返ったエリーさんとリナの言葉にアロンは私から渋々と離れる。
「あぁ…すまん。カロンを見た瞬間、欲望を抑えられなかった…」
「ここまで我慢してきたもんね~入学式の時は本当に笑わせてもらったわ」
「紳士として欲望は抑えてください。抑えられないようであれば今後、カロリーナ様に会わせられませんよ」
「…ちょっ…ちょっと待ってください。こ…これはどういう事なんでしょうか?」
動揺する私に、アロンが昔の様に優しい笑みを向ける。
「ごめんね。カロン。こんなにも時間が掛かってしまって…でも全てが上手くいったから包み隠さず君に全てを話すよ」
そう言ってアロンは私に手を差し出す。
私は状況が把握できなくて一瞬戸惑うものの、迷わずアロンの手をとる。
アロンは私の手を優しく握るとフワリと優しく微笑んで温室の奥へと進む。
温室の奥には蔦に隠されたように1枚の扉があった。
アロンは迷わずその扉を開けると中は寮室より広い部屋が広がっていて、何人かの人がテーブルを囲んで座っていた。
そのテーブルに座っている人達は私たちが部屋に入った瞬間、こちらにパッと顔を向ける。
「え…マリコ先生に…ハイスさん?」
あとの2人は見たことのない人だけど…ドッペルゲンガー?2人とも全く同じ顔をしている。
思いがけない人の登場と意味不明な状態に私の思考は余計に混乱する。
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