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「…ミスドナ伯爵…そなたの言うことは分かった。とりあえずこの様な状況で婚約の継続は不可能であろう…マルクとカロリーナ嬢の婚約は今を持って解消する。マルクの件と王妃の話は私の方でも一度確認をとり、沙汰を下す。それで良いか?」
国王が困りながらも現時点で最善だと思われる条件を出してくる。
「かしこまりました。それで結構です。今後の誠意ある対応を期待しております」
お父様は国王陛下に対して深く頭を下げると、そのまま私の方まで来て私をギュッと抱きしめる。
「今まですまなかったな…カロリーナ…」
お父様が小さな声で囁く。
「いえ…とても嬉しいです。ありがとうございます。お父様…」
私がそう答えると、お父様は子供をあやすかの様に私の背中をトントンと優しく叩いて自身のもといた場所に戻った。
「あの…その…ミスドナ伯爵様が仰っていた事で一つ気になるお話があるのですが…」
お父様の宣言の衝撃が中々収まらず静まり返る中、エリーさんが遠慮がちに声を出す。
キュルンと可愛らしい子犬の様な仕草をして声を出すエリーさんには全く悪意の様なものは感じないけど、間違いなくこれから計画的爆弾発言しますよね。
今までの付き合いでエリーさんの行動は分かってきましたよ。
エリーさんはチラリとアロンを確認して何が視線で合図らしきものを送る。
アロンは少し呆れ気味に頭を縦に振る。
「気になる話とは?」
国王は、エリーさんに対しての信頼がない為か呆れ気味に聞き返す。
「実は…マサラダ公爵のご令嬢トルネ様が…その…マルク様との子供を孕っていると…」
エリーさんの予想だにしなかった言葉に国王は目を見開き動きを止め、マサラ王妃は口元を隠していた扇子を落とす。
そして、当の本人であるマルク様は目と口をこれでもかと言うほど見開き、トルネ様の父であるマサラダ公爵は呆然とする…
「な、な、何を根拠にそんな事っっ」
真っ先に正気に戻ったのはマルク様だった。
何を根拠にって…
ご自身が1番ご存じだとおもいますが?
「まぁ…貴方みたいな婚約者がいる相手をその気にさせてしまう様なアバズレが何を言い出すのかしら…」
マルク様に続いてマサラ王妃がエリーさんを睨みつける。
今、この人、エリーさんをアバズレって言いました?
マサラ王妃…ご自身のことは棚上げですか?
この親あってこの子ありってまさにこの事ですね。
「この間、ご本人からお伺いしました。トルネ様のお腹にはマルク様の生命がやどっている。だから私みたいな平民がマルク様にちょっかいをだすな…と忠告をされましたので…」
この状態に負けずとエリーさんは反論する。
国王は無言で頭を抱える。
マルク様は何かを考えるように下を向き、そんなマルク様をマサラ王妃は睨みつける。
唯一、マサラダ公爵はこの状況に複雑な表情を浮かべながらも、口角が上がり嬉しさを隠し切れていない。
「父上…この件に関しましては直接トルネ嬢をお呼びして確認を取りましょう。もし、その話が本当であれば、マルクの素行をはじめ色々調べなくてはいけませんから…」
あまりの事に言葉を失っている国王に対してサムル様が提案する。
サムル様の言葉に、国王はハァ…と大きなため息をついて頷く。
「そうだな…そうしよう…」
国王は頭を抱えたまま、息を吐く様な小さな声でサムル様の提案に頷く。
「では、陛下。私の方でトルネ嬢がこちらに来る様に手配致しましょう。半刻ほどお時間をいただいても?」
国王の頷きをみて、学園の理事長でもあるウィストン公爵が言う。
「ああ。頼む…」
国王の返答を聞くと、ウィストン公爵は深々と礼をして謁見室を出て行く。
謁見室の中の空気は重く、最低最悪な雰囲気に包まれる。
こんな空気をもろともせず打ち壊せるのはもう1人しかいない。
その人物は、謁見室にいる一人一人の様子を伺うと爽やかな笑みを浮かべる。
「父上。ではトルネ嬢が来るまでの間、違う問題について皆と語らいましょうか」
サムル様が部屋の空気とは裏腹に何だか楽しそうに言い放った。
国王が困りながらも現時点で最善だと思われる条件を出してくる。
「かしこまりました。それで結構です。今後の誠意ある対応を期待しております」
お父様は国王陛下に対して深く頭を下げると、そのまま私の方まで来て私をギュッと抱きしめる。
「今まですまなかったな…カロリーナ…」
お父様が小さな声で囁く。
「いえ…とても嬉しいです。ありがとうございます。お父様…」
私がそう答えると、お父様は子供をあやすかの様に私の背中をトントンと優しく叩いて自身のもといた場所に戻った。
「あの…その…ミスドナ伯爵様が仰っていた事で一つ気になるお話があるのですが…」
お父様の宣言の衝撃が中々収まらず静まり返る中、エリーさんが遠慮がちに声を出す。
キュルンと可愛らしい子犬の様な仕草をして声を出すエリーさんには全く悪意の様なものは感じないけど、間違いなくこれから計画的爆弾発言しますよね。
今までの付き合いでエリーさんの行動は分かってきましたよ。
エリーさんはチラリとアロンを確認して何が視線で合図らしきものを送る。
アロンは少し呆れ気味に頭を縦に振る。
「気になる話とは?」
国王は、エリーさんに対しての信頼がない為か呆れ気味に聞き返す。
「実は…マサラダ公爵のご令嬢トルネ様が…その…マルク様との子供を孕っていると…」
エリーさんの予想だにしなかった言葉に国王は目を見開き動きを止め、マサラ王妃は口元を隠していた扇子を落とす。
そして、当の本人であるマルク様は目と口をこれでもかと言うほど見開き、トルネ様の父であるマサラダ公爵は呆然とする…
「な、な、何を根拠にそんな事っっ」
真っ先に正気に戻ったのはマルク様だった。
何を根拠にって…
ご自身が1番ご存じだとおもいますが?
「まぁ…貴方みたいな婚約者がいる相手をその気にさせてしまう様なアバズレが何を言い出すのかしら…」
マルク様に続いてマサラ王妃がエリーさんを睨みつける。
今、この人、エリーさんをアバズレって言いました?
マサラ王妃…ご自身のことは棚上げですか?
この親あってこの子ありってまさにこの事ですね。
「この間、ご本人からお伺いしました。トルネ様のお腹にはマルク様の生命がやどっている。だから私みたいな平民がマルク様にちょっかいをだすな…と忠告をされましたので…」
この状態に負けずとエリーさんは反論する。
国王は無言で頭を抱える。
マルク様は何かを考えるように下を向き、そんなマルク様をマサラ王妃は睨みつける。
唯一、マサラダ公爵はこの状況に複雑な表情を浮かべながらも、口角が上がり嬉しさを隠し切れていない。
「父上…この件に関しましては直接トルネ嬢をお呼びして確認を取りましょう。もし、その話が本当であれば、マルクの素行をはじめ色々調べなくてはいけませんから…」
あまりの事に言葉を失っている国王に対してサムル様が提案する。
サムル様の言葉に、国王はハァ…と大きなため息をついて頷く。
「そうだな…そうしよう…」
国王は頭を抱えたまま、息を吐く様な小さな声でサムル様の提案に頷く。
「では、陛下。私の方でトルネ嬢がこちらに来る様に手配致しましょう。半刻ほどお時間をいただいても?」
国王の頷きをみて、学園の理事長でもあるウィストン公爵が言う。
「ああ。頼む…」
国王の返答を聞くと、ウィストン公爵は深々と礼をして謁見室を出て行く。
謁見室の中の空気は重く、最低最悪な雰囲気に包まれる。
こんな空気をもろともせず打ち壊せるのはもう1人しかいない。
その人物は、謁見室にいる一人一人の様子を伺うと爽やかな笑みを浮かべる。
「父上。ではトルネ嬢が来るまでの間、違う問題について皆と語らいましょうか」
サムル様が部屋の空気とは裏腹に何だか楽しそうに言い放った。
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