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そんなトルネ様を見てサムル様は笑みを無くして冷たい視線を送る。
“約束を破ったら覚悟しろよ“…とその視線からは感じとれる。
その圧は言葉で言われるよりも何倍も抑止力がある。
「さて、次にキャスティン侯爵は言うまでもなく財産の没収ですね」
サムル様は気を取り直して、キャスティン侯爵に笑顔言う。
「ざ…財産の没収…ですか?」
「えぇ…今まで貴方が横領や横流しした分全てを回収させて頂きます。もちろん利子付きで。詳しい金額は詳しく調べないとわかりませんが…多分、侯爵がお持ちの財産全てと家や家財…それに領地を売っても足りないでしょうね。どうしましょうか…」
「ど…どうすると言われても…」
「まぁ。働いて返すしかないですよね。あっ。もちろん財務大臣の責務は降りて頂きます。でも、温情として爵位だけはそのままにして差し上げますから。」
「爵位はそのままで働くって…」
キャスティン侯爵は力無くヘナヘナと崩れ落ちる。
…サムル様は鬼ですね。
温情として爵位をそのままなんて…
今持っている財産も家も領地も手放し、何もない状態なのに爵位を持っていては働きたくても働けない。
貴族達は問題のある人物を雇いたくないだろうし、平民達にしたら爵位を持っている人をそうそう簡単に雇うなんてあるわけがない。
働く為には、爵位は自ら返上するしか道はないでしょう…
我が国では爵位返上するに当たり、正当な理由がない場合は迷惑料として国に一定額の寄附が必要となる。
侯爵にそんなお金は払えないでしょう。
何とか爵位返上したとして、それで運よく働き口があっても稼いだお金は国に没収されては生活もままならないのは間違いない。
「最後に、叔父上…モーメント侯爵。あなたはもう弁明の余地はありません。あなたに関しては、爵位を剥奪。今この時を持ってモーメント侯爵家は今を持って没落とし、財産は没収。モーメント・ローリーは地下牢に拘束。審議にかけさせて頂く。また、家族に関しては身分を平民の下級層に降格することとする。」
サムル様の言葉にモーメント元侯爵はさすがに戸惑いを見せる。
「今回のことに家族は関係ない。私の子供達…マディンとリーナはお前の従兄妹だろう?平民の下級層なんて…そんな情のない事をっっ」
「そうですね。でも叔父上…あなたはそれだけの事をやってしまったのです。マディンとリーナには私の方からあなたの行ったことの全てを包み隠さず話します。2人はあなたと違って頭も良く、物分かりがいい優しい心を持った子達です。あなたの行ったことは決して許さず、私の言葉を理解してくれるでしょう…」
「くっっ…」
悔しそうに唇を噛み締めるモーメント元侯爵。
それぞれの刑が決まって、王宮騎士団が罰した人達を1人ずつ謁見の間から連れ出しあるべき場所へと連れて行く。
終わった…
全てが終わった。
ほんの数時間の出来事であるけど、とても長い時間だったように感じた。
「さすがにもう何もないだろう…」
国王が疲れを露に王座に深く腰掛ける。
「そうですね。膿は全て出しきりました。まぁ…本当に大変なのはこれからですがね。」
国王の言葉にサムル様が困り顔で答える。
「国民達になんと説明したらいいのやら…」
「事実をありのまま包み隠さず話すしかないでしょう…」
しっかり前を見てそう言うサムル様を国王陛下は優しい目で見つめる。
「先程お前が出した刑罰は的確で素晴らしかった。」
「ありがたきお言葉…」
国王の言葉にサムル様は右手を胸に敬意の礼をとる。
「お前は本当に私と違い王としての素質を持っている。…お前は…マキタイ王国の前国王でネルの父親…お前の祖父に似て威厳のある皆に好かれる王になるだろうな…」
国王はフゥ…と大きく息を吐いて力無く言う。
「……父上?」
「今回の事は、私の落ち度でもある。確かにこんな大事に気付けなかったとは…ローリーのいう通りだ…私は何もかも中途半端で王として恥じる事ばかりだ」
「今回の事は父上のせいでは…」
「私のせいでは無かったとは言い切れんだろう?王たるもの周りの人間の策略に溺れず、早急に気づき国民に害を成す前に対処すべきだ」
「……」
「サムル…今日のお前の姿を見て、私は決断したよ。
…私は今回の騒動を起こした責任をとり国王を退位し、王位をそなたに譲ろうと思う。」
⁉︎⁉︎⁉︎
「父上…それはっっ」
「ケジメというものだ…残り僅かである学園は卒業させてやりたがったが…、王位継承してお前にこの国を守ってもらいたい」
国王の言葉にサムル様は真剣な顔つきになる。
「…お気持ちが変わることはございませんか?」
「ない。今のお前なら十分この国を任せられる。」
国王の言い切った言葉に、サムル様は納得したような表情を浮かべて深く頭を下げる。
「かしこまりました。喜んで王位を引き継がせて頂きたいと存じます…」
サムル様がそう言うと、この部屋に残る王宮騎士団達が剣を自らの顔の前に立て敬意のポーズをとる。
「王位継承おめでとうございます。サムル陛下…」
ウィストン公爵が片膝を床に落とし、最敬礼をする。
それに続き私たちも敬意の礼をする。
「近日中に今回の騒動とサムルの王位継承を告示する。それまではそなた達も他言無用で頼む」
国王の言葉に私たちは無言で頭を下げた。
“約束を破ったら覚悟しろよ“…とその視線からは感じとれる。
その圧は言葉で言われるよりも何倍も抑止力がある。
「さて、次にキャスティン侯爵は言うまでもなく財産の没収ですね」
サムル様は気を取り直して、キャスティン侯爵に笑顔言う。
「ざ…財産の没収…ですか?」
「えぇ…今まで貴方が横領や横流しした分全てを回収させて頂きます。もちろん利子付きで。詳しい金額は詳しく調べないとわかりませんが…多分、侯爵がお持ちの財産全てと家や家財…それに領地を売っても足りないでしょうね。どうしましょうか…」
「ど…どうすると言われても…」
「まぁ。働いて返すしかないですよね。あっ。もちろん財務大臣の責務は降りて頂きます。でも、温情として爵位だけはそのままにして差し上げますから。」
「爵位はそのままで働くって…」
キャスティン侯爵は力無くヘナヘナと崩れ落ちる。
…サムル様は鬼ですね。
温情として爵位をそのままなんて…
今持っている財産も家も領地も手放し、何もない状態なのに爵位を持っていては働きたくても働けない。
貴族達は問題のある人物を雇いたくないだろうし、平民達にしたら爵位を持っている人をそうそう簡単に雇うなんてあるわけがない。
働く為には、爵位は自ら返上するしか道はないでしょう…
我が国では爵位返上するに当たり、正当な理由がない場合は迷惑料として国に一定額の寄附が必要となる。
侯爵にそんなお金は払えないでしょう。
何とか爵位返上したとして、それで運よく働き口があっても稼いだお金は国に没収されては生活もままならないのは間違いない。
「最後に、叔父上…モーメント侯爵。あなたはもう弁明の余地はありません。あなたに関しては、爵位を剥奪。今この時を持ってモーメント侯爵家は今を持って没落とし、財産は没収。モーメント・ローリーは地下牢に拘束。審議にかけさせて頂く。また、家族に関しては身分を平民の下級層に降格することとする。」
サムル様の言葉にモーメント元侯爵はさすがに戸惑いを見せる。
「今回のことに家族は関係ない。私の子供達…マディンとリーナはお前の従兄妹だろう?平民の下級層なんて…そんな情のない事をっっ」
「そうですね。でも叔父上…あなたはそれだけの事をやってしまったのです。マディンとリーナには私の方からあなたの行ったことの全てを包み隠さず話します。2人はあなたと違って頭も良く、物分かりがいい優しい心を持った子達です。あなたの行ったことは決して許さず、私の言葉を理解してくれるでしょう…」
「くっっ…」
悔しそうに唇を噛み締めるモーメント元侯爵。
それぞれの刑が決まって、王宮騎士団が罰した人達を1人ずつ謁見の間から連れ出しあるべき場所へと連れて行く。
終わった…
全てが終わった。
ほんの数時間の出来事であるけど、とても長い時間だったように感じた。
「さすがにもう何もないだろう…」
国王が疲れを露に王座に深く腰掛ける。
「そうですね。膿は全て出しきりました。まぁ…本当に大変なのはこれからですがね。」
国王の言葉にサムル様が困り顔で答える。
「国民達になんと説明したらいいのやら…」
「事実をありのまま包み隠さず話すしかないでしょう…」
しっかり前を見てそう言うサムル様を国王陛下は優しい目で見つめる。
「先程お前が出した刑罰は的確で素晴らしかった。」
「ありがたきお言葉…」
国王の言葉にサムル様は右手を胸に敬意の礼をとる。
「お前は本当に私と違い王としての素質を持っている。…お前は…マキタイ王国の前国王でネルの父親…お前の祖父に似て威厳のある皆に好かれる王になるだろうな…」
国王はフゥ…と大きく息を吐いて力無く言う。
「……父上?」
「今回の事は、私の落ち度でもある。確かにこんな大事に気付けなかったとは…ローリーのいう通りだ…私は何もかも中途半端で王として恥じる事ばかりだ」
「今回の事は父上のせいでは…」
「私のせいでは無かったとは言い切れんだろう?王たるもの周りの人間の策略に溺れず、早急に気づき国民に害を成す前に対処すべきだ」
「……」
「サムル…今日のお前の姿を見て、私は決断したよ。
…私は今回の騒動を起こした責任をとり国王を退位し、王位をそなたに譲ろうと思う。」
⁉︎⁉︎⁉︎
「父上…それはっっ」
「ケジメというものだ…残り僅かである学園は卒業させてやりたがったが…、王位継承してお前にこの国を守ってもらいたい」
国王の言葉にサムル様は真剣な顔つきになる。
「…お気持ちが変わることはございませんか?」
「ない。今のお前なら十分この国を任せられる。」
国王の言い切った言葉に、サムル様は納得したような表情を浮かべて深く頭を下げる。
「かしこまりました。喜んで王位を引き継がせて頂きたいと存じます…」
サムル様がそう言うと、この部屋に残る王宮騎士団達が剣を自らの顔の前に立て敬意のポーズをとる。
「王位継承おめでとうございます。サムル陛下…」
ウィストン公爵が片膝を床に落とし、最敬礼をする。
それに続き私たちも敬意の礼をする。
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国王の言葉に私たちは無言で頭を下げた。
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