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長い戦いが終わった…
マルクと私の婚約破棄問題から始まりこんな大きな案件となるなんて…なんとなく状況を知っている私ですら、さすがに気後れしてしまった。
ほんの数時間の出来事だったけど、何日も休まず走り続けた様な今まで感じた事のない疲労感がある。
でも、心はそんな疲労感に反してスッキリしている。
でも、大きな問題も起きず全てが上手くいってよかった。
謁見室から国王とサムル様が退出して、それに続いてウィストン公爵も謁見室を後にする。
私の張り詰めていた糸も一気に緩む。
「うまくいったな…やっとこれで何のしがらみもなくカロンに触れられる」
アロンが私を抱きしめたまま少し溢れた髪を耳に掛けるとそのまま額に唇を落とす。
っっ…\\\
急な出来事に私の頭は今までと別の意味でフリーズする。
「あー。カロンが謁見室に入ってきた時、カロンが綺麗すぎて何もかも忘れて抱きしめてしまう所だった…僕はよく耐えたと思うよ…」
「アロン…」
アロンは私をグッと抱きしめながら私にこれでもかというくらい甘い顔で微笑む。
ふと、リナが言っていた言葉が頭をよぎる…
“アローン様が理性が保てるか不安になってしまいます“
…リナ。アロンは理性を保ったみたいです。
そんなことしていたら断罪も何もないですからね。
ホッとしていたらアロンは私の口元に人差し指でチョンと触れる。
「これからは色々我慢しなくていいと思うと嬉しいな」
「ア…ロン……?」
ニコリと微笑んだアロンの顔が私の顔に近づいて…
ゴホンっっ…
「私がいるからね。私の目の前で変なことはさせないからね。アローン君」
お父様が私とアロンを引き剥がすと引き攣った顔で無理やり笑みを浮かべる。
「お…お父様っっ」
「チッ…」
アロン…今、舌打ちしましたよね?
お父様はアロンから私を引き離すとそのまま私を抱きしめてくれる。
「…私の出る幕はなかったな…でもうまくまとまってよかった。」
お父様がポツリと呟く。
「色々あってお父様も驚かれたでしょう…」
「まぁな…でも、私は何があろうとお前が無事であれば何でもいい」
「そんなこと言ったら不敬になりますよ」
「本当に今までお前は頑張った。これからはお前の心の思うまま過ごせばいい。私もローズも心からお前の進む道筋を応援する。」
「お父様…」
私がお父様の言葉に私が体の奥底から幸せを感じていると、アロンが私を抱きしめるお父様の腕から私を奪い取る。
「…と言うことは、私たちの関係も許していただけると言うことで宜しいのですよね。伯爵」
フッとお父様に向かって企んだ笑みを向けるアロン。
お父様は一瞬だけ顔を歪めると、諦めたように息を吐く。
「節度は守れ…絶対に時が来るまで節度は守れよアローン」
「心に留めておきます」
お父様の忠告にアロンはニッコリと何を含んだ顔で答える。
……その顔は?…節度は…守っていただけるのですよね?アロン…
「カロリーナさぁぁぁぁん」
私を抱きしめるアロンを吹き飛ばす勢いでエリーさんが私に抱きついてくる。
「エ…エリーさんっっ」
「ココットっ…おまっっ」
「よかったー。うまくいったね。楽しかったぁ。見た?あのばか王子…あっもう王子じゃないか。もう全てをビデオで撮影しておきたかった。永久保存版にしたかった…あっ今度はビデオとカメラを作ろう。絶対に需要があるわ。あーもう最っ高ぉー。」
相変わらずのエリーさんに押されつつも何だかホッとする。
「ねっ。アローン次はビデオとカメラね。」
ビデオ?カメラ?
意味がわからない単語を並べるエリーさんからアロンはサッと自然に私を取り戻す。
「何だか分からないが、作るならまず提案書と設計図を持ってこい」
「ラジャ」
エリーさんはそう答えると、満面の笑みで額に手のひらを掲げて嵐のように去っていった。
流石エリーさん…
もうそれしか言えません。
もうエリーさんは絶対にブレませんね。
呆然とエリーさんの去っていく姿を見つめていると、急に視界が暗くなる。
…
…
チュッ…
…
…
えっ…今…
唇に何か柔らかい感触が…
そっと私の肩を支えるアロンの方を見るとアロンは自身の口の前に人差し指を立ててウィンクする。
私は咄嗟に口を両手で押さえる。
「まぁ…私達ももう帰ろう。ローズが心配している」
お父様は気づかなかったようで、そう言いながら私たちの先を行く。
その姿を見てアロンは再び私の顔を覗き込むと、優しく微笑んで私の手を口からどかす。
それからそっと私の頬に触れて私の唇にキスをした。
マルクと私の婚約破棄問題から始まりこんな大きな案件となるなんて…なんとなく状況を知っている私ですら、さすがに気後れしてしまった。
ほんの数時間の出来事だったけど、何日も休まず走り続けた様な今まで感じた事のない疲労感がある。
でも、心はそんな疲労感に反してスッキリしている。
でも、大きな問題も起きず全てが上手くいってよかった。
謁見室から国王とサムル様が退出して、それに続いてウィストン公爵も謁見室を後にする。
私の張り詰めていた糸も一気に緩む。
「うまくいったな…やっとこれで何のしがらみもなくカロンに触れられる」
アロンが私を抱きしめたまま少し溢れた髪を耳に掛けるとそのまま額に唇を落とす。
っっ…\\\
急な出来事に私の頭は今までと別の意味でフリーズする。
「あー。カロンが謁見室に入ってきた時、カロンが綺麗すぎて何もかも忘れて抱きしめてしまう所だった…僕はよく耐えたと思うよ…」
「アロン…」
アロンは私をグッと抱きしめながら私にこれでもかというくらい甘い顔で微笑む。
ふと、リナが言っていた言葉が頭をよぎる…
“アローン様が理性が保てるか不安になってしまいます“
…リナ。アロンは理性を保ったみたいです。
そんなことしていたら断罪も何もないですからね。
ホッとしていたらアロンは私の口元に人差し指でチョンと触れる。
「これからは色々我慢しなくていいと思うと嬉しいな」
「ア…ロン……?」
ニコリと微笑んだアロンの顔が私の顔に近づいて…
ゴホンっっ…
「私がいるからね。私の目の前で変なことはさせないからね。アローン君」
お父様が私とアロンを引き剥がすと引き攣った顔で無理やり笑みを浮かべる。
「お…お父様っっ」
「チッ…」
アロン…今、舌打ちしましたよね?
お父様はアロンから私を引き離すとそのまま私を抱きしめてくれる。
「…私の出る幕はなかったな…でもうまくまとまってよかった。」
お父様がポツリと呟く。
「色々あってお父様も驚かれたでしょう…」
「まぁな…でも、私は何があろうとお前が無事であれば何でもいい」
「そんなこと言ったら不敬になりますよ」
「本当に今までお前は頑張った。これからはお前の心の思うまま過ごせばいい。私もローズも心からお前の進む道筋を応援する。」
「お父様…」
私がお父様の言葉に私が体の奥底から幸せを感じていると、アロンが私を抱きしめるお父様の腕から私を奪い取る。
「…と言うことは、私たちの関係も許していただけると言うことで宜しいのですよね。伯爵」
フッとお父様に向かって企んだ笑みを向けるアロン。
お父様は一瞬だけ顔を歪めると、諦めたように息を吐く。
「節度は守れ…絶対に時が来るまで節度は守れよアローン」
「心に留めておきます」
お父様の忠告にアロンはニッコリと何を含んだ顔で答える。
……その顔は?…節度は…守っていただけるのですよね?アロン…
「カロリーナさぁぁぁぁん」
私を抱きしめるアロンを吹き飛ばす勢いでエリーさんが私に抱きついてくる。
「エ…エリーさんっっ」
「ココットっ…おまっっ」
「よかったー。うまくいったね。楽しかったぁ。見た?あのばか王子…あっもう王子じゃないか。もう全てをビデオで撮影しておきたかった。永久保存版にしたかった…あっ今度はビデオとカメラを作ろう。絶対に需要があるわ。あーもう最っ高ぉー。」
相変わらずのエリーさんに押されつつも何だかホッとする。
「ねっ。アローン次はビデオとカメラね。」
ビデオ?カメラ?
意味がわからない単語を並べるエリーさんからアロンはサッと自然に私を取り戻す。
「何だか分からないが、作るならまず提案書と設計図を持ってこい」
「ラジャ」
エリーさんはそう答えると、満面の笑みで額に手のひらを掲げて嵐のように去っていった。
流石エリーさん…
もうそれしか言えません。
もうエリーさんは絶対にブレませんね。
呆然とエリーさんの去っていく姿を見つめていると、急に視界が暗くなる。
…
…
チュッ…
…
…
えっ…今…
唇に何か柔らかい感触が…
そっと私の肩を支えるアロンの方を見るとアロンは自身の口の前に人差し指を立ててウィンクする。
私は咄嗟に口を両手で押さえる。
「まぁ…私達ももう帰ろう。ローズが心配している」
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