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第一章 妹を守ってみせる
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エディアルドは二つ身分があった。
一つは、公爵家で本来の生をうけたエディアルド・カーライル、隠された存在。
だが、今はエディア・ハモンドと名乗り、身分と性別を偽っていた。
王都から脱出できたことで、絶対に会わないと思い込んでいた。完璧に油断していた!!
「さあ、帰りましょう。ジェラール様も心配しております」
ジェラール……!
その名前を聞き、肩がビクリと揺れた。
ジェラール・ハモンドはエディアルドの世話役だ。
年齢は私より二歳上のハモンド家の人間。ハモンド家はカーライル家の傘下にあたる。ジェラールは小説の中でもエディアルドに振り回され、従僕のような扱いを受けていた。それは変わっていないのね。だったらなおのこと、関わってはいけない――。
私の本能が危険を察知し、一歩、後ずさる。
「失礼ですが、お名前をうかがってもよろしいでしょうか?」
エディアルドの護衛の騎士が私に顔を向けた。ここで名乗ってはいけない、大変なことになる……!
「いえ、名乗るほどではございません!」
精いっぱい微笑みを浮かべるが、顔は引きつっていたと思う。
ずりずりと後ずさり、十分な距離を取る。
「では、私は急ぐので失礼します」
ぺこりと頭を下げるやいなや、一目散にその場から逃げ出した。
去り際にエディアルドがなにかを言いかけて手を伸ばしたが、気づかないふりをした。
嘘でしょうぅぅぅ!! なんで、よりによって街にいるんだ、エディアルド!
大人しく王都にいなさいよ、私たち、せっかく別荘にきたのに!
ウィークスの別荘に来て、たった一日で絶望を抱いた瞬間だった。
***
「じゃあ、行ってくるわね」
「行ってらっしゃい」
別荘に到着して一週間、あれからは街へ行っていない。
森にシアナのための薬草採取に来ている。
自然の宝庫なだけあって、たくさん自生しているので、摘んでは持ち帰り、調合していた。
採取した薬草を水で洗い、細かく刻み、天日干しにしてから焙煎する。瓶に詰めたあとは精霊の加護の力を込める。そしてシアナは毎日三回、薬草を煮出して飲んでいた。
はっきりとした効果はまだわからないけれど、ここにきて一度も寝込んでいないので、きっと良い方向へ向かっているはずだ。
私は森の一角に柵を設置して、この中で薬草を栽培すると決めた。
土の栄養もたっぷりなのか、摘んでも自生してくる薬草。やはり、ここは自然に恵まれた土地だ。
今度、シアナもここへ連れてこようか。そして一緒に薬草摘みでもして、適度に体を動かした方がいいだろう。
本当は街へ連れて行ってあげたいけど……。
先日の出来事が脳裏に浮かぶ。
あれから自分なりに調べてみたら、ウィークスの地は別荘に適しているらしく、ここに別荘を持つ貴族が多いのだとか。
エディアルドだって別荘に来ている可能性が、頭をかすりもしなかったなんて、自分の単細胞を恨む。
でも幸いなことに、シアナはエディアルドと会っていない。それに私、名乗らなかったし!!
きっと今頃、忘れているはずだわ。うんうん、良いように考えよう。
逃げるように走り去ってしまったけれど、最後、なにかを言いかけたエディアルドが気になるといえば、気になるけど。考えても仕方ないし。
あっちも今頃、別荘で楽しく暮らし、私のことなど忘れているはずだわ。
私は一人で勝手に納得し、今日の採取した薬草を籠につめ、別荘に戻った。
***
あれ……。なんだか騒がしい気がする。
別荘に近づくにつれ、異変を感じ取った。いつもは静かな周辺が、人の気配が感じられる。
まさか――シアナは!?
私の大事な妹になにかあったのかと思い、走って別荘に戻る。途中、カゴを落としてしまったが、それどころじゃなかった。
一つは、公爵家で本来の生をうけたエディアルド・カーライル、隠された存在。
だが、今はエディア・ハモンドと名乗り、身分と性別を偽っていた。
王都から脱出できたことで、絶対に会わないと思い込んでいた。完璧に油断していた!!
「さあ、帰りましょう。ジェラール様も心配しております」
ジェラール……!
その名前を聞き、肩がビクリと揺れた。
ジェラール・ハモンドはエディアルドの世話役だ。
年齢は私より二歳上のハモンド家の人間。ハモンド家はカーライル家の傘下にあたる。ジェラールは小説の中でもエディアルドに振り回され、従僕のような扱いを受けていた。それは変わっていないのね。だったらなおのこと、関わってはいけない――。
私の本能が危険を察知し、一歩、後ずさる。
「失礼ですが、お名前をうかがってもよろしいでしょうか?」
エディアルドの護衛の騎士が私に顔を向けた。ここで名乗ってはいけない、大変なことになる……!
「いえ、名乗るほどではございません!」
精いっぱい微笑みを浮かべるが、顔は引きつっていたと思う。
ずりずりと後ずさり、十分な距離を取る。
「では、私は急ぐので失礼します」
ぺこりと頭を下げるやいなや、一目散にその場から逃げ出した。
去り際にエディアルドがなにかを言いかけて手を伸ばしたが、気づかないふりをした。
嘘でしょうぅぅぅ!! なんで、よりによって街にいるんだ、エディアルド!
大人しく王都にいなさいよ、私たち、せっかく別荘にきたのに!
ウィークスの別荘に来て、たった一日で絶望を抱いた瞬間だった。
***
「じゃあ、行ってくるわね」
「行ってらっしゃい」
別荘に到着して一週間、あれからは街へ行っていない。
森にシアナのための薬草採取に来ている。
自然の宝庫なだけあって、たくさん自生しているので、摘んでは持ち帰り、調合していた。
採取した薬草を水で洗い、細かく刻み、天日干しにしてから焙煎する。瓶に詰めたあとは精霊の加護の力を込める。そしてシアナは毎日三回、薬草を煮出して飲んでいた。
はっきりとした効果はまだわからないけれど、ここにきて一度も寝込んでいないので、きっと良い方向へ向かっているはずだ。
私は森の一角に柵を設置して、この中で薬草を栽培すると決めた。
土の栄養もたっぷりなのか、摘んでも自生してくる薬草。やはり、ここは自然に恵まれた土地だ。
今度、シアナもここへ連れてこようか。そして一緒に薬草摘みでもして、適度に体を動かした方がいいだろう。
本当は街へ連れて行ってあげたいけど……。
先日の出来事が脳裏に浮かぶ。
あれから自分なりに調べてみたら、ウィークスの地は別荘に適しているらしく、ここに別荘を持つ貴族が多いのだとか。
エディアルドだって別荘に来ている可能性が、頭をかすりもしなかったなんて、自分の単細胞を恨む。
でも幸いなことに、シアナはエディアルドと会っていない。それに私、名乗らなかったし!!
きっと今頃、忘れているはずだわ。うんうん、良いように考えよう。
逃げるように走り去ってしまったけれど、最後、なにかを言いかけたエディアルドが気になるといえば、気になるけど。考えても仕方ないし。
あっちも今頃、別荘で楽しく暮らし、私のことなど忘れているはずだわ。
私は一人で勝手に納得し、今日の採取した薬草を籠につめ、別荘に戻った。
***
あれ……。なんだか騒がしい気がする。
別荘に近づくにつれ、異変を感じ取った。いつもは静かな周辺が、人の気配が感じられる。
まさか――シアナは!?
私の大事な妹になにかあったのかと思い、走って別荘に戻る。途中、カゴを落としてしまったが、それどころじゃなかった。
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