妹を監禁するはずの悪役から、なぜか執着されています

夏目みや

文字の大きさ
18 / 63
第二章 監禁生活

17

しおりを挟む
 その後、エディアルドにお願いして、シアナに手紙を出すことだけ許可をもらった。

 さすがに何も言わずにいきなり姿が消えたとなると、どれだけの心労があるか、計り知れない。引きずられて体調だって崩してしまったらと思うと、気が気でない。いきなり手紙だけ届いた状況も、かなり怪しむと思うが、知らせないよりはずっとマシだ。

「書いた?」

 エディアルドが横から顔をのぞかせる。

「ええ、できたわ」

 私は簡単に書き記した手紙を見せた。

「シアナへ
 急に招待を受けて、友人の家に遊びに行くことになりました。しばらく留守にするけど、心配しないでね。薬はじゅうぶんに用意してあるから、ちゃんと飲んでね!  リゼット」

 一言も、エディアルドの名前を出していない。仮に私を探してハモンド家を訪ねていっては悪いからだ。友人から招待と受けたということにしておく。これでもじゅうぶん怪しい言い訳だが。

 外は日が沈みかけている。いったい、どれぐらい眠らされていたのだろう。
 今頃、シアナは帰らぬ私を心配していることだろう。

「これ、急いでお願いしたいの」
「わかった」

 封書に入れた手紙をエディアルドに渡した。

 夜は豪華な食事を出され、エディアルドと二人、部屋でいただく。

「リゼット、美味しい?」
「ええ、とっても美味しいわ」

 お世辞抜きで、今まで食べた中で一番柔らかなお肉に、味は高級だった。

 こんな誘拐まがいで連れてこられて、よく食べる気になると自分でも思うが、こんな時だからこそ食べないといけない。いつ、どうなるかわからないのだから。
 エディアルドはなにが楽しいのか、上機嫌に私が食べるのを見守っている。

「これ、あげる。こっちも」
「ええっ、エディアも食べなよ」

 エディアルドはポイポイと私の皿に乗せるが、お腹は空かないのだろうか。私ばかりが食べている。

「人と食べるって楽しい。いつも一人で食べることが多かったから」

 あ……。
 カーライル公爵閣下は多忙なうえに、領地を回っていることが多く、カーライル公爵家では一人で過ごしていたっけ。

 だから好んで、ジェラールについて回っていたのか。
 寂しい日々を過ごすことが多かったのだろうな。だからと言って、やっていいことと悪いことはあるけれど。

 ここにいる間は、せいぜい楽しく過ごせるようにしよう。きっと二、三日だと思うから。エディアルドが私に飽きて解放するまで。

 限られた時間、エディアルドと楽しい思い出を作ろうと心に決めた。

 夜になり、湯を浴びると部屋でエディアルドが枕を抱え、待っていた。

「こっちの部屋で一緒に寝よう」

 一緒と言われ、ドキッとする。
 今は魔法で性別を偽っているため、成長は止まっているが、本来なら十七歳の男性だから。だがエディアルドからは純粋な好意を感じるが、嫌らしい感じはしないので、そこらへんの心配はないだろう。

「ほら、このベッドなら、二人で眠れる」

 エディアルドが私にもベッドに乗るよう、手招きをする。

「お邪魔します」

 ふわふわのベッドは寝心地が良く、二人で並んで横になった。

「わぁ、素敵……」

 天井を見上げるとガラス張りになっていて、満天の星空が見えた。ほのかな光が差し込み、あたりを静かに照らす。

「ほら見て。綺麗な流れ星」

 指をさしてエディアルドに顔を向けると、私に笑顔を向けていた。

「リゼット、お話ししよう」

 嬉しそうに声をかけ、私の手をギュッと握った。

「そうね、なににしようかな?」
「なんでも。リゼットの話なら、なんでも聞きたい」

 この状態はパジャマパーティーとでもいうのかしら。
 そこから、取り留めもない話を続け、いつしか眠りについた。


「おはよう、リゼット」

 目覚めるとすぐ横には美少女の顔があった。

 ああ、そうか。私は――。

「おはよう、エディア」
「リゼット、寝相が悪い。夜中に蹴られて、何度も目覚めたよ」
「嘘っ!?」

 思わぬことを言われ赤面する姿を、エディアルドは笑っている。

「ごめんね、やはり別々のベッドの方が良かったわね」
「いや、一緒がいい」

 エディアルドは断固として言い切ると、ベッドから下りた。

「朝だよ、リゼット。朝食を食べたら、外に行こうか」

 エディアルドに手を引かれ、私もベッドから下りた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが

カレイ
恋愛
 天使な妹。それに纏わりつく金魚のフンがこの私。  両親も妹にしか関心がなく兄からも無視される毎日だけれど、私は別に自分を慕ってくれる妹がいればそれで良かった。  でもある時、私に嫉妬する兄や婚約者に嵌められて、婚約破棄された上、実家を追い出されてしまう。しかしそのことを聞きつけた騎士団長が何故か私の前に現れた。 「ずっと好きでした、もう我慢しません!あぁ、貴方の匂いだけで私は……」  そうして、何故か最強騎士団長に囚われました。

【完結】 「運命の番」探し中の狼皇帝がなぜか、男装中の私をそばに置きたがります

廻り
恋愛
羊獣人の伯爵令嬢リーゼル18歳には、双子の兄がいた。 二人が成人を迎えた誕生日の翌日、その兄が突如、行方不明に。 リーゼルはやむを得ず兄のふりをして、皇宮の官吏となる。 叙任式をきっかけに、リーゼルは皇帝陛下の目にとまり、彼の侍従となるが。 皇帝ディートリヒは、リーゼルに対する重大な悩みを抱えているようで。

悪役人生から逃れたいのに、ヒーローからの愛に阻まれています

廻り
恋愛
 治療魔法師エルは、宮廷魔法師試験の際に前世の記憶が蘇る。  ここは小説の世界でエルは、ヒーローである冷徹皇帝の幼少期に彼を殺そうと目論む悪役。  その未来を回避するため、エルは夢だった宮廷魔法師を諦め、平民として慎ましく生活を送る。  そんなある日、エルの家の近くで大怪我を負った少年を助ける。  後でその少年が小説のヒーローであることに気がついたエルは、悪役として仕立てられないよう、彼を手厚く保護することに。  本当の家族のようにヒーローを可愛がっていたが、彼が成長するにつれて徐々に彼の家族愛が重く変化し――。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 最終回まで予約投稿済みです。 毎日8時・20時に更新予定です。

幼馴染みが描いた悪役令嬢ものの世界に「メイド」として転生したので、6年後の断罪イベントをどうにか回避したい

ゆずまめ鯉
恋愛
通勤途中、猫好きではないのに轢かれそうな黒猫をうっかり助けてしまい、死んでしまった主人公──水縞あいり(26) 鳥の囀りで目を覚ますとそこは天国……ではなく知らない天井だった。 狭い個室にはメイド服がかかっている。 とりあえず着替えて備えつけの鏡を見ると、そこには十代前半くらいの子どもの姿があった。 「この顔……どこか見覚えが……」 幼馴染みで漫画家、ミツルギサイチ(御剣才知)が描く、人気漫画「悪役令嬢が断罪されるまで」の登場人物だということに気がつく。 名前はミレア・ホルダー(本名はミレア・ウィン・ティルベリー) 没落貴族の令嬢で、現在、仕えているフランドル侯爵によって領地と洋館を奪われ、復讐のために、フランドル侯爵の長女イザベラが悪役令嬢になるのを止めず、むしろ後押しして見事断罪されてしまうキャラだった。 原作は未完だが、相談を受けていたのでどういう結末を迎えるのか知っている。 「二期アニメもまだ見てないし、どうせ転生するなら村人Aとかヒロインの母親がよかった……!!」 幼馴染みの描く世界に転生してしまった水縞あいり=ミレアが、フランドル侯爵家で断罪回避するべく、イザベラをどうにかお淑やかな女性になるように導いている途中。 病弱で原作だと生死不明になる、イザベラの腹違いの兄エミールに、協力してもらっているうちに求愛されていることに気づいてしまい──。 エミール・ディ・フランドル(20)×ミレア・ウィン・ティルベリー(18) 全30話の予定で現在、執筆中です。2月下旬に完結予定です。 タイトルや内容が変更になる場合もあります。ご了承ください。

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

処理中です...