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第二章 監禁生活
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外は明るかったが、光さえ遮る空気が充満し、息苦しさを感じた。
「どうしてそんなに聞き分けがないんだ。お前のわがままでリゼット嬢を閉じ込めていいわけないだろう。――大人になるんだ」
ジェラールの叫びにエディアルドは激高した。
「大人になれ? 俺にこんな魔法をかけておいて、よく言うな! 女として育て、薬で精霊の加護を抑え、副作用で成長を妨げる、それを知っていながらよくも――!!」
エディアルドの怒りはもっともと思えた。矛盾している。
全身から怒りのオーラを放つ姿から畏怖を感じ、ジェラールは立ちすくむ。
「カーライル公爵はお前のことを大事に思っているから……」
「もういい! おじいさまは俺のためと言いながら、本心では自分のためだ。もう血を見たくないから守りに入っているからだろう!」
エディアルドが叫ぶと食器棚に仕舞われていた皿がガタガタと動き出し、地面に落ちて割れる。ガシャンガシャンと何枚も床に叩き付けられ、粉々に砕け散る。
「俺はもう――。隠れて生活するのは嫌なんだ!!」
エディアルドの心の叫びを真正面から受け止め、動くことのできないジェラールに尚も続く。
「俺からリゼットを奪うな。邪魔するなら――」
食器棚の引き出しから飛び出してきたのはフォークやスプーン。その中にナイフもあり、肝が冷えた。
圧倒的な精霊の加護の力を目の前で見せつけられ、もう動くこともできない。
どれほどまで強烈なのだろう、封じられていて、なお精霊の加護がここまでとは。全部解放したら、いったいどうなるの。
エディアルドの目は濁っており、周囲が見えておらず、完全に我を忘れ暴走している。髪を逆立て、目を釣り上げてたたずむ全身から威圧感を放ち、周囲を恐怖に陥れてた。
なんとか、なだめないと――。
「ジェラール様……」
やっとの思いで口を開くとジェラールが小さくうなずいた。
「リゼット嬢、外へ――」
私とジェラールがアイコンタクトを取っているとエディアルドは目を細めた。
「――行かせない」
風のうなるような音が聞こえたと同時に激しい音がして、両腕で顔を守った。恐る恐る顔を上げると、ガラスがすべて床に落ちて砕け散っていた。
「ひっ――」
もう誰の声もエディアルドには聞こえないの。
身の危険を感じたジェラールは、両手を上げて降参している。
「まず、落ち着いてくれ。リゼット嬢をこれ以上、怯えさせたくはないだろう」
私の名を出すと、エディアルドの目が少し揺れたのを感じた。よし、もう一息かもしれない。
「リゼット嬢からもなにかを言ってくれ」
肩をつかまれ、顔をのぞき込まれた時、エディアルドの目が怪しく光る。
「ジェラール、リゼットに触れるな」
床に落ちたガラスの鋭い破片が浮かびあがり、ジェラールめがけて、真っすぐに飛んできた。
あ……だめ……!!
私は無意識に飛び出し、ジェラールを突き飛ばした。同時に赤い鮮血がほとばしり、視界を赤く染めた。
「リゼット嬢!!」
跳ね飛ばした反動で地面に膝をつき、崩れ落ちた。
変ね、ジェラール。私が突き飛ばしたおかげでケガをしていないはずでしょう?
どうしてそんなに焦った表情をしているの?
「しっかりしてくれ」
私の肩に触れるジェラールは、いったいどうしたというの。
腕から肩にかけて熱い。まるで燃えているようだ。恐る恐る手で触れるとべったりと血のりがついた。
その時、私の腕から流れているものの正体に気づく。
真っ赤な鮮血がまるで噴き出すように流れ落ち、床に血だまりを作る。白いブラウスはあっという間に赤に染まる。
ああ、ジェラールを助けたつもりが、私、上手くよけきれなかったみたい。
自覚した瞬間に痛みが襲ってきた。
ブラウスが真っ赤に染まり、あまりの出血の多さに吐き気を催す。
私、ここで死んじゃうのかな。もう終わりなのかな。怖くなって涙がポロポロとこぼれた。
「リ、リゼット……!!」
今にも泣きだしそうなエディアルドが駆け寄ってくる。自身の着ていたブラウスをためらいもせず引き裂くと、迷うことなく私の傷口の上にあてる。
「リゼット、俺、俺……」
顔面蒼白になり涙をポロポロと流し始めるエディアルドは、やっと正気に戻ったみたいだ。彼はきっと自分を責めてしまうことだろう。
「泣かないで……」
手を伸ばし、声を振り絞るだけで精いっぱいだった。エディアルドは大きく目を見開き、その涙は止まることがない。
その時、体が浮き上がる感覚がした。
「リゼット嬢を魔法治療師のもとに送る」
ジェラールは私を抱きかかえ、エディアルドに告げる。エディアルドは一瞬、戸惑う様子を見せた。
「なに迷っているんだ、早くしろ! 死ぬぞ!!」
それは私のことだと思うと、体に力が入らない、吐き気が襲ってくる。
こんなに急に命が消えてしまうものなの――。
ああ、妹を助けるつもりだったけど、こんなことになってしまうだなんて。
ジェラールの叫びを最後に、薄れゆく意識の中に落ちていった。
「どうしてそんなに聞き分けがないんだ。お前のわがままでリゼット嬢を閉じ込めていいわけないだろう。――大人になるんだ」
ジェラールの叫びにエディアルドは激高した。
「大人になれ? 俺にこんな魔法をかけておいて、よく言うな! 女として育て、薬で精霊の加護を抑え、副作用で成長を妨げる、それを知っていながらよくも――!!」
エディアルドの怒りはもっともと思えた。矛盾している。
全身から怒りのオーラを放つ姿から畏怖を感じ、ジェラールは立ちすくむ。
「カーライル公爵はお前のことを大事に思っているから……」
「もういい! おじいさまは俺のためと言いながら、本心では自分のためだ。もう血を見たくないから守りに入っているからだろう!」
エディアルドが叫ぶと食器棚に仕舞われていた皿がガタガタと動き出し、地面に落ちて割れる。ガシャンガシャンと何枚も床に叩き付けられ、粉々に砕け散る。
「俺はもう――。隠れて生活するのは嫌なんだ!!」
エディアルドの心の叫びを真正面から受け止め、動くことのできないジェラールに尚も続く。
「俺からリゼットを奪うな。邪魔するなら――」
食器棚の引き出しから飛び出してきたのはフォークやスプーン。その中にナイフもあり、肝が冷えた。
圧倒的な精霊の加護の力を目の前で見せつけられ、もう動くこともできない。
どれほどまで強烈なのだろう、封じられていて、なお精霊の加護がここまでとは。全部解放したら、いったいどうなるの。
エディアルドの目は濁っており、周囲が見えておらず、完全に我を忘れ暴走している。髪を逆立て、目を釣り上げてたたずむ全身から威圧感を放ち、周囲を恐怖に陥れてた。
なんとか、なだめないと――。
「ジェラール様……」
やっとの思いで口を開くとジェラールが小さくうなずいた。
「リゼット嬢、外へ――」
私とジェラールがアイコンタクトを取っているとエディアルドは目を細めた。
「――行かせない」
風のうなるような音が聞こえたと同時に激しい音がして、両腕で顔を守った。恐る恐る顔を上げると、ガラスがすべて床に落ちて砕け散っていた。
「ひっ――」
もう誰の声もエディアルドには聞こえないの。
身の危険を感じたジェラールは、両手を上げて降参している。
「まず、落ち着いてくれ。リゼット嬢をこれ以上、怯えさせたくはないだろう」
私の名を出すと、エディアルドの目が少し揺れたのを感じた。よし、もう一息かもしれない。
「リゼット嬢からもなにかを言ってくれ」
肩をつかまれ、顔をのぞき込まれた時、エディアルドの目が怪しく光る。
「ジェラール、リゼットに触れるな」
床に落ちたガラスの鋭い破片が浮かびあがり、ジェラールめがけて、真っすぐに飛んできた。
あ……だめ……!!
私は無意識に飛び出し、ジェラールを突き飛ばした。同時に赤い鮮血がほとばしり、視界を赤く染めた。
「リゼット嬢!!」
跳ね飛ばした反動で地面に膝をつき、崩れ落ちた。
変ね、ジェラール。私が突き飛ばしたおかげでケガをしていないはずでしょう?
どうしてそんなに焦った表情をしているの?
「しっかりしてくれ」
私の肩に触れるジェラールは、いったいどうしたというの。
腕から肩にかけて熱い。まるで燃えているようだ。恐る恐る手で触れるとべったりと血のりがついた。
その時、私の腕から流れているものの正体に気づく。
真っ赤な鮮血がまるで噴き出すように流れ落ち、床に血だまりを作る。白いブラウスはあっという間に赤に染まる。
ああ、ジェラールを助けたつもりが、私、上手くよけきれなかったみたい。
自覚した瞬間に痛みが襲ってきた。
ブラウスが真っ赤に染まり、あまりの出血の多さに吐き気を催す。
私、ここで死んじゃうのかな。もう終わりなのかな。怖くなって涙がポロポロとこぼれた。
「リ、リゼット……!!」
今にも泣きだしそうなエディアルドが駆け寄ってくる。自身の着ていたブラウスをためらいもせず引き裂くと、迷うことなく私の傷口の上にあてる。
「リゼット、俺、俺……」
顔面蒼白になり涙をポロポロと流し始めるエディアルドは、やっと正気に戻ったみたいだ。彼はきっと自分を責めてしまうことだろう。
「泣かないで……」
手を伸ばし、声を振り絞るだけで精いっぱいだった。エディアルドは大きく目を見開き、その涙は止まることがない。
その時、体が浮き上がる感覚がした。
「リゼット嬢を魔法治療師のもとに送る」
ジェラールは私を抱きかかえ、エディアルドに告げる。エディアルドは一瞬、戸惑う様子を見せた。
「なに迷っているんだ、早くしろ! 死ぬぞ!!」
それは私のことだと思うと、体に力が入らない、吐き気が襲ってくる。
こんなに急に命が消えてしまうものなの――。
ああ、妹を助けるつもりだったけど、こんなことになってしまうだなんて。
ジェラールの叫びを最後に、薄れゆく意識の中に落ちていった。
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