初恋△(トライアングル)

存在感の薄い者

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追究編

ちょっとした魔法をかけるだけさ

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この美少女コンテストは、予選投票を行い、20人いる中から5名に絞り決勝で一番の美少女を決めるという方式で運営されている
つまり、クラスの女子たちの思惑で行くと私は予選敗退し、皆からの笑いものになれということだった。
野外ステージに向かうと簡易的な出場者用の控室と更衣室があった
受付で手続きをすると、次に更衣室に案内された

「それではここで衣装に着替えてくださいね~」

「ありがとうございます」

係りの人にお礼を言って、私はこの日のために用意した衣装を取り出した
衣装を広げてさあ着替えようとすると私は異変に気が付いた
なんとその衣装がなぜか切り刻まれてた

「えっ・・・・」

しばらく私の思考は停止してしまった

「ちょっと待って・・・まさかとは思うけど出場させないようにってこと?自分達で推薦しておいてばかなの?」

私の予想よりはるかに最悪なことをしてきた犯人に怒りが隠せなかった
きっとクラスの女子の誰かがこれをしたのだろうと察したが今は犯人探しをしている場合ではない
私はすぐに更衣室から出て外で待っている彩ちゃんに相談した

「彩ちゃん・・・」

「ん?ユリどうしたの?早く衣装に着替えないとだめじゃない」

「えっとね・・・それなんだけど・・・・こんなのになっちゃった」

そう言って私はただの布切れとなってしまった衣装を彼女に見せた

「ちょっとこれどうしたのよ!!誰にやられたのっ!?」

彼女は私の手の中から衣装だったものをひったくり広げた後ばっとこちらを振り向き、問い詰めてきた

「うーん、心当たりはあるんだけどね~」

「証拠が無いのね・・・」

私が言葉を濁すと彼女が続きを言った

「彩ちゃん、どうしよう・・・衣装が無かったら出場できないよっ」

「ユリここで少し待ってて。すぐに代わりの衣装になるものを見繕ってくるから!」

彼女が私のために奔走してくれようとした時、それを止める人物がいた

「はい彩乃ちゃんストップ」

その人物は、片手に看板を持ったスレンダーな体型のメイドさんだった
そう如月君である

「今はあんたに構っている暇なんかないのよっ!そこをどきなさいっ!!」

唾を飛ばす勢いで彼女は立ちふさがる彼に怒鳴った

「だ~か~ら~、その必要は無いってば。ここに代わりの衣装があるから」

いつものふざけたチャラ男のオーラは鳴りを潜め、代わりに真剣な顔をして看板を持っているのとは逆の手にある紙袋を掲げた

「えっ、あんたまさかメイドでは飽き足らずにそっちの道に目覚めたとか・・・?」

紙袋を指さしながらまさかの思考に至った彩ちゃんは見た目よりもかなり動揺しているのかもしれない

「はははっ!彩乃ちゃんは相変わらず面白いな~いくらこの僕が女装をしても違和感がないからってそんな誰の得にもならないことするわけないじゃないか!」

そこにはいつもの如月君がおり、私は先ほどの真剣な表情はどこへ行ってしまったのかという気持ちになってしまった

「もちろんユリちゃんのためにこの前買ったやつだからサイズぴったりだよ!」

「ユリのために買ったってどういうこと!?しかも、なんでサイズなんてわかるのよ!ま、まさかあんたユリに何か変なことしたんじゃ・・・」

相変わらずの如月君の問題発言に対し、彩ちゃんが逞しい妄想を繰り広げていたがそれにはすぐに制止がかかった

「安心したまえ、僕は女の子を見ただけで大体のスリーサイズが分かるという特技があるのだよ!」

なんか決めポーズをしながら彼は違う意味で問題発言をした

「尚悪いわっ!!」

そろそろ2人を止めないと彩ちゃんの頭の血管がブチっと切れそうだと思い私は2人の間に入った

「まあまあ、二人ともその辺にしてとにかく今はこのコンテストを無事に乗り越えよう?」

そうして、私は再び更衣室に戻り彼から預かった衣装に着替えた
そして、更衣室から出ると待っていた二人の反応を見た

「・・・ふっ、ふん!ゴミにしてはまともな選択したじゃない」

「やっぱり僕のセンスに狂いはなかったようだね!」

その衣装と言うのは、真っ白なワンピースである
襟ぐりはブイとなり、丈はちょうど膝丈ぐらい
ワンポイントとして、腰回りには涼しげな青色のリボンが巻かれていた
更によく見れば、裾には大きな百合の花が透かしのように刺繍されていた
靴は元の着る予定だった服と合わせていた紺のアンクルストラップサンダルをそのまま履いた
元々は白のTシャツに黒のシースルーの膝丈スカートだったのだ
2人に各々褒められたのでこのまま会場入りをしようとすると如月君からストップがかけられた

「ユリちゃんちょっと待って、まさかそのままで出場するつもりかい?」

「えっ、そうだけど・・・何か問題でも?」

そう言うと、彼は肩をすくめてやれやれといったかんじで頭を振った
一々オーバーリアクションな彼である

「ユリちゃんちょっとこっち来て」

彼は私の手を取ってどこかに向かおうとすると今度は逆に彩ちゃんが彼を止めた

「待ちなさい!ユリをどこに連れて行くつもりよ!?」

「何ちょっとした魔法をかけるだけさ」

また喧嘩が始まると思い私は即座に2人を止めた

「二人ともやめて!彩ちゃんはここにいて、今回は如月君を信じてみるわ」

「でもっ!」

私の発言に彼女は珍しく食い下がってきた

「彩ちゃん彼のことを信じれないかもしれないけれど、彼を信じる私を信じてほしいの」

彼女の手を自身の両手で包み込み目を合わせて諭すように語りかけた

「・・・・・・・・分かったわ、ここで待ってる。ただし!時間になっても戻ってこなかったら何があっても探しだしてあいつからユリを引き離すからね!」

「ありがとう、彩ちゃん」

芯の強い瞳で私の想いに応えてくれた親友に私は満面の笑みを返した

「それじゃ、行ってきます」

「行ってらっしゃい」

そうして私は魔法使いとなった彼について行くのだった
──────────────────────────────────────────────
ありがとうございました!

久しぶりの投稿でしたが、今回は女の子のコーディネートに苦労しました
いやー、女の子は大変ですね!

それでは次回お会いしましょう!
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