初恋△(トライアングル)

存在感の薄い者

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追究編

僕は女の子限定で魔法が使えるからね

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私達は会場から離れ、校舎に入り関係者立ち入り禁止のゾーンに向かった
そこで段々と人気が無くなり、静かな雰囲気の空き教室に入るとそこには如月君にも負けないほどの美少女がいた
窓の近くに立っている彼女は、あまりに可愛いので私は思わず見とれて教室に入るなり立ち止まってしまった
そんな私には気付かずに如月君は彼女に近づき、おもむろに彼女に向って手を差し出した
そして、次の瞬間私は衝撃を受ける

「おい、お前化粧道具持ってるよな?ちょっと貸してよ」

「・・・・・・・・」

『あの如月君が女子に向かって雑な態度をとってる!!!』

私は驚きのあまり先ほどとは違う意味で固まってしまった
それに、彼女も彼女でそんな彼に表情一つ変えずにコクリと頷いて持っているカバンの中から化粧道具が入っているであろうポーチを彼に渡していた
それを受け取った彼は貸してくれた美少女には目もくれず、くるりとこちらに向き私の手を取って近くにあった椅子に座らせた

「じゃあ、ユリちゃん。今からとっておきの魔法をかけてあげるね!」

満面の笑みで私に語り掛けた彼に困惑し、思わず例の美少女の方に目をやる
それに気づいた彼は彼女の方に顔を向けてまたしても衝撃発言をした

「あー、なんかユリちゃんが気にしてるみたいだから、どっかそこら辺ぶらぶらして来いよ。ただし、問題だけは起こすなよ?」
「・・・・・・・」

またしても如月君はいつもの彼らしくない態度を取り、そんな態度でもいつものことなのか気にしていない風に彼女は一つ頷くと教室から出て行った
そして、邪魔者は去ったというかのようににっこりと笑顔を浮かべ私の方に向き直った彼はさっき彼女から受け取ったポーチから道具を取り出し、机に広げだした
思わず私は彼に聞いてみた

「・・・あの、さっきの人は?」

すると、彼は苦笑いを浮かべた

「あー、うーん、さっきのはまぁ腐れ縁?てやつかな~とりあえずあいつのことは気にしないで。そ・れ・よ・り・も、ユリちゃんはコンテストのことだけ考えて!」
「・・・うん、わかった」

結局彼女の存在は、はぐらかされてわからずじまいでモヤっとしたがすぐに私はコンテストという単語に頭を切り替えるようにした

「それじゃ、僕がいいって言うまで目を閉じていてくれる?」
「えーと一応聞くけど、一体何するの?」

私は、さっきのやり取りでなんとなくわかったが、今からやろうとしていることをさっきの美少女ではなく彼が行うということが私の中で繋がらなくて、思わず聞いてしまった

「何ってもちろん魔法という名のメイクアップだよ?」
「・・・如月君って化粧できるの?」
「もちろんだよ!じゃなきゃ化粧道具なんて借りないよ~それに僕はイケメンだけでなくハイスペックだから何でもできるのさ!」
「・・・・ソウデスカ」

いつもの彼らしい発言に私はもう何も言えなかった
それから彼に言われた通り、目を閉じる
始め顔に触れられた時は少しびっくりしたが、少しするとそれも慣れてきた

「はい、もういいよ」

その声に私は瞼を上げる

「最後にマスカラするから今度は絶対に目を閉じないでね?」

その指示に私は頷き返すと黙々と従った
そして、目がドライアイになりそうになったがなんとか耐えてやっと終了した
彼も満足げに最終チェックをし、私の顔をまじまじと見た
あまりにじっと見られると、その距離の近さに変にドキドキしてしまった
女装中とはいえ仮にも顔だけは自他ともに認めるイケメンなのだ、ドキドキしないわけがない
限界値が来る寸前で彼は離れてくれたが、かなり危なかった
そう思ったところで何が危なかったのかは私もわからず内心首を傾げてしまう

「じゃ次は髪型だね」
「えっ、このままじゃだめなの?」

彼は私の言葉ににっこりと返し、無言の駄目だしをした
私はもうどうにでもなれな勢いで彼に全てを委ねた
頭を人に触られるのはちょっとくすぐったかったが、私は最後まで耐えた

「はい、できたよ」

そう言って彼は手鏡を渡してきた
それを見た私は思わず息をのんだ

「・・・・・・・・これ誰?」
「もちろん、僕の可愛いユリちゃんだけど?」

彼のウザイ発言にも突っ込めないほど私は鏡の中の自分を見つめていた
だってこんなに変わるとは思っていなかったのだ
精々普通の顔がちょっとかわいくなるだけだと思っていたから
しかし、出来あがたのは正真正銘美少女だった
髪はどうやったのかわからないが腰のリボンと同じ色のリボンが髪と一緒に編み込まれて尚且つ頭の横に花が咲いたかのようになっていた
それはまるでどこかの深窓の姫君のような仕上がりである

「如月君っ!すごいよ!!これまるで私じゃないみたい!整形でもしたんじゃ?っていうぐらいの顔になってるっ!」
「ははっ、ユリちゃんそれは言い過ぎ。君の元々持っている素材を少し引き立てただけだよ」
「それでも、これはすごいよっ!本当に如月君が魔法使いになったみたい!!」
「そうだろう、そうだろう。僕は女の子限定で魔法が使えるからね」

ウィンクしながら彼は安定のキモイ発言をした
だが、上機嫌な私は何も言わずにもう一度鏡の中の自分を見たが思わずはっとして教室の時計を確認した

「はっ、もうこんな時間!早く会場に行かなきゃ!」
「そうだね、急ごう!」

そうして私達は会場に向かうために教室を出るのだった――――
_________________________________________________________________________________________________________
ありがとうございました!

筆の神様が久々に降りてきてくれたので今回は一気に書き上げました!
いつも更新滞りがちですみません!

では次回も会えることを願ってます!
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