初恋△(トライアングル)

存在感の薄い者

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プロローグ2

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男達はふと目の前の女の子をどこかで見たことがあると思い、過去の記憶を手繰り寄せる
その結果、それはさっきの壁にかかっていた家族写真に写っていた女の子が少し成長した姿だと気づく

「あのガキ・・・さっきの・・写真のだよな・・・・・」
「ああ・・・」

男達は互いに女の子の正体を確かめあった
確認した後、さりげなく後ろにあるモノを自分達の体を壁にして見えないようにする

「おじさんサンたちはダ~レ?」

この張りつめた空気を破った女の子は外見と同じようにかわいらしい声で眠たそうにこちらへ問いかける
男達は顔を見合わせどうするか思案する
そして幸運にも女の子には男達の意図通り今の両親の無残な姿は見えないようだった

そんな時男達の後ろから突然小さくて弱弱しい声が聞こえた

「ニ・・ゲ・・・テ・・・・・・ッ!!!」

その魂から出したかのような訴えは死んだと思っていた女の子の母親からだった
だがその声を最期に今度は本当に事切れてしまう
しかし母の必死な訴えはどうやら娘には届かなかったようだ
非情にも女の子はその内容が聞き取れなかったのか母の言葉とは逆にこちらに近付いた
その時女の子には男達の体で見えなかったものが見えてしまったらしく一瞬にしてその場で固まる

「オカアサン?」

やっと紡いだその声はさっきまでのかわいらしい声ではなく恐怖と混乱によってかすれたものだった
その後、すぐに我に返った女の子は男達の横を通り過ぎて、母親の許に駆けつける
女の子は服やぬいぐるみが血で汚れるのも構わずに床に座り込み、恐る恐るといった風にぬいぐるみを持っていない方の手で震えながらその母だったモノを揺すった

「オ・・カア・・・サン、おかあ・・・さん、お母さんっ!!!オキテっ、起きてよぉ・・こんな・・・こんなところで寝たら風邪ひくよっ!もう・・こんなに・・・冷たく・・・・なってるじゃないっ・・・・・・・!」

目の前の現実から目を背けるように悲痛な叫びをあげた後、同じように近くにあった父親の体にも気づいたらしく母親の時同様に呼びかけるが当然返事などあるはずもない
その事実に放心しながらポロポロと両親の亡骸の傍らでただただ涙を流している
その姿は見ているこっちの方が虚しくなっていくものだった

だが男達は女の子だけこのまま残すのも顔を見られたという点で危険と判断し、今更死体が1人増えたところで違いはないという結論に達した
そして無傷な方の男が肩を貸していた相方を壁に預けてから女の子の方にナイフを向けて近付く
そっと女の子の背後に立った男はさすがに子どもを手に掛けることに良心が痛むのか顔には憐れみが浮かんでいた

「ゴメンな・・・生きるためなんだ・・だからお嬢ちゃんにもここで死んでもらわないとっ!!」

そう悪徳めいたことを言いながら男がナイフを振り下ろした瞬間遠くで鳴っていたはずの雷が鳴り、この部屋の惨状を浮かび上がらせる
それと同時にナイフに雷の光が反射しその刃先が女の子に向かう
その数瞬後、男の目の前には真っ赤な花びらのような鮮血が舞い散った――――――
______________________________________
ここまで血生臭い話にお付き合い頂きありがとうございます
次回からは気持ち的にシリアスは1割コメディ9割になります

次回は明日です
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