初恋△(トライアングル)

存在感の薄い者

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追究編

衝撃

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あれから私の方が結局折れてこの少し埃っぽい部屋でお弁当を食べることになった
もちろん自分の手でですがなにか?
それでも手を離してもらうのには少し時間がかかった

「分かりました。ここでお弁当食べますから手離してください・・・」
「えー僕はこのままがいいな~」
「それじゃ私がお弁当食べられないじゃないですか・・・それにあなたもお弁当まだでしょ?そんなんじゃ午後までもちませんよ」

それを聞いて彼はさらに力を強めて私の耳を吐息でくすぐりながらムカつくことを言いだした

「ユリちゃんが僕の事を心配してくれてる・・・!やっぱり君は僕のことをっゔっっ――!」
「黙れ、変態・・・一生床で寝てろ」

私は後ろの変態に実力行使によりひじ打ちでダメージを与えると、彼は床にくの字で寝転がった
しかし、少しすると何事も無かったかのようにムクりと起き上がった

「イヤ~実は今さっきの子達とかくれんぼしてたんだよね~。ちなみに景品は僕と一緒にお昼を過ごそう!っていうやつなんだけどねっ」

いつもこっちの気が緩んでくる時にこの人は爆弾を落とす・・・
この流れはどうにかならないだろうか?
呆れながら1つ溜息を吐き、一生懸命に自分の中の嵐と戦った

「ハア・・・それで一体何が”ねっ”なんですか。これじゃ誰も見つけられないんじゃ―――」

しかしそこで話をかぶせるように彼からの2つ目の爆弾が私に直撃した

「何言ってんの、景品はもう君の物なんだけど?」
「・・・・・・はっ?」
「だ・か・ら、僕と一緒にもうお昼過ごしている時点で景品は君の物ってこと」
「はぁ!?」
「ということだから早く弁当食べよ!」

もう色々なことが衝撃過ぎて私はついに思考の停止に至った
私が再始動した時には、彼はすでにお弁当を開けて食べ始めていた
どうする事も出来ずに仕方なく、私もお弁当を開け始めた
だが食べようとした時に髪の毛がくずれているのに気づいた

「あーもう!あなたが余計なことばかりするから髪の毛グチャグチャじゃない」

この呟きをきいた彼はあの背景に花が咲いているの幻が見える笑顔で言葉を吐いた

「どんな君でも可愛いから大丈夫だよ」

さらっとよくこんな恥ずかしげも無く言えるものだ
むしろここまでくると感心してしまう程である
そして、今日何度目か分からない溜息を吐きながら頭に手をやり、髪留めを外した
すると、突然手をとられたため整えようとした髪の束が背中に広がった

「ちょっと、何する―――――――」

彼の方に目を向けると、いつもの表情ではなくそこには何かを懐かしむようなものがあった

「いや、ごめん・・・前も思ったんだけど長いね・・・・・」

こんなに歯切れの悪い彼は初めて見たので言われた意味が分からなかった

「ナガイって?」

私が首を傾げると、彼は私の髪を一掬いしたのでそこで自分の髪のことかと理解した

「あぁ、これ?団子にでもしておかないと邪魔だから」

しかし反応は全くなく少し心配して顔を覗き込むと寂しそうな目があった
あまりにも意外な反応に私は驚いて身を引こうとした
その時、彼の腕が背中と腰にまわされ、あっという間に囲われた

「えっ・・・・・ちょっと・・・!」

だが、いつもの面白がってやるような雰囲気ではなかった
むしろ何かを必死に失いたくないというように痛いほど腕に力が込められた
悲鳴をなんとか呑みこんで彼の背に手をまわして優しく撫でてやった

少しの間そうしていると落ち着いたのか段々と腕の力が緩んで私の体を離した
じっと黙って彼の動向を待っていると彼はつらそうな顔に反して口からは明るい調子の声が聞こえた

「君、髪長くてキレイだね・・・おろせばいいのに、もったいない」

私は何か言おうとして口を開いたが何を言えば分からず結局は口を閉じた

「昨日の僕の秘密覚えてる?」

その問に昨日の事を思い出しながら首を縦にふった

「それで初恋の子なんだけど、ある日突然何の前触れもなく僕の前から消えたんだ・・・その子も君みたいに髪が長くてキレイだったから」

突然の告白と話の内容に二重に衝撃を受けた

「でもっ、消えるってどうして?引っ越したとかじゃ・・・」
「言葉のままだよ。突然連絡が取れなくなったんだ」
「じゃぁ、名前とか写真とか何か手掛かりは!?」

勢い込んで尋ねてみると期待したような答えは得られなかった

「何も・・・写真も無くて、名前もわからない・・・」
「そんな・・・」

それから2人の間に重い何とも言えない沈黙が流れた
そんな時、予鈴が鳴った

「いけない、もうこんな時間なの?早く教室に行きましょう」
「そうだねこの続きはまた今度だね」

もうすぐで授業が始まることを知ってここから出ようと2人ともが立ちあがった時、外からカチャっと鍵が閉められたような音がした
急いで扉にかけより開けようとしたがビクともしなかった
扉を叩いて助けを呼んだが、生徒も先生も教室に向かったのか誰も呼びかけには答えてはくれなかった

「ど、どうしよう・・・!」

後ろで様子を見ていた彼はなぜか落ち着き払っていた

「閉じ込められたね。さてそれじゃ助けを待つとするか」
「助けってこのままずっと閉じ込められてたらどうするつもりよ!!」
「別に僕は君と一緒ならずっとこのままでもいいよ」

いつもの彼に戻ったのはホッとしたがそれはそれでムカつくので反論した

「私は死んでもお断りよ!誰がこんなところであなたなんかと!!」

それから改めて扉に向き直って叩きながら助けを求めた
「誰かー!ここを開けて~!!!」

その叫びは他の生徒の声と人通りの少ない廊下に吸い込まれて消えて行った――――
______________________________________
ここまで読んで頂きありがとうございました!

ドキドキ?な閉じ込めENDです・・・
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