吸血鬼青年

四階堂 上影

文字の大きさ
3 / 4
1:吸血鬼になった日

空へ

しおりを挟む
 前略、私は空を飛んでいます。え?何言ってんのかわからない?それが私にもよくわからない。
 気が付いたら街が下に広がっていて私は空を飛んでいた。え?なんで私空飛んでるの?
 その答えは、、ふと背中に感じた違和感が教えてくれた。
「なっナニコレ!?」
 そこには大きな翼...というか羽(?)があった。それがバッサバッサと音をたてながら私の体を空へ空へと連れて行こうとしていた。
「お?日向、目が覚めたか」
 ふと前のほうから声がした。まさか...と思って顔を上げると少し前をルイさんが私と同じく羽を広げて飛んでいた。こちらを見る彼の目は、やはり紅い。
「ね、ねぇ!なんで私たち空飛んでるの?ルイさん私に何かした!?」
 常識的に考えて人間は単独で空を飛べない。にもかかわらず私とルイさんの背中には羽が生えていて空を飛んでいる。ああもう意味わかんないんですけど!?
 するとルイさんは少し苦い顔をしながら答えた。
「何かしたかと問われれば...した。そしてこうなった以上きちんと説明しなければいけないと思い、君についてきてもらうということにした」
 何されたんだ私...というかなんの答えにもなっていない。今すぐ説明しろー!というか私たちはどこに向かっているんだろう?
「ねぇルイさん、今さ、どこに行こうとしてるの?」
 すると彼は目の前に広がる山々を指さしながら言った。
「あの山が見えるか?あそこに私の家があってな、そこに着いたのちに諸々の説明をさせてもらおうと思ってる。変なことはしないから安心してくれ」
 とほほ笑む。その顔の破壊力はとてつもなかった。と同時に、ん?ともなった。変なことはしないとか言ってたけどすでに変なことしてるよね?と。
「そっかぁ。じゃあ、私が今自分の意志に反してルイさんと一緒に飛んでるのはどういうことかな?その眼が関係してたりするんじゃないの?」
 おそらくだけどルイさんの目が紅い時に私に命令するとそれに私は逆らうことができなくなるんじゃないか、という仮説を私はたてていた。
「うっ...い、いやそれはその...よし、"日向、急ごう!"」
 あからさまに隠そうとしているのがなんだかおかしくて、そしてかわいくて自然と笑いがこぼれる。
 これからどんなわくわくしそうな話を聞かされるんだろう?不思議と不安が消えてしまった私はそんなことを考えだす。
 そうして飛ぶスピードを上げた私たちは山にあるルイさんの家へと向かったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

ローズお姉さまのドレス

有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です* 最近のルイーゼは少しおかしい。 いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。 話し方もお姉さまそっくり。 わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。 表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成

サッカーの神さま

八神真哉
児童書・童話
ぼくのへまで試合に負けた。サッカーをやめようと決心したぼくの前に現れたのは……

稀代の悪女は死してなお

朔雲みう (さくもみう)
児童書・童話
「めでたく、また首をはねられてしまったわ」 稀代の悪女は処刑されました。 しかし、彼女には思惑があるようで……? 悪女聖女物語、第2弾♪ タイトルには2通りの意味を込めましたが、他にもあるかも……? ※ イラストは、親友の朝美智晴さまに描いていただきました。

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

処理中です...