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攻略対象?
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入学式から約一週間。これと言って特別な出来事は無く、授業を普通に受けて過ごしていた。――余談だけどゲームでは一週間単位で何の授業を行うかを選択して、一日ずつステータスが上がったり下がったりを繰り返していたけれど、流石に現実ではそんな事無かった。90分授業を日に四回行うだけ。大学みたいね、14歳くらいでもないと確かに通えないわ。集中力の問題で。
大きな変化と言えば、聖女と円卓の騎士のお披露目が二週間後に行われるという通達があったくらいかしら。くっっっっそめんd……いえ言わないでおきましょう。
そして今私はリグと一緒に馬車に乗って揺られている。この星では魔法がある代わりに化学はさほど発展していない為、陸上の移動には基本的に馬車が使われてるのよね。魔法陣を利用した長距離転移もあるにはあるけれど、飛行機のように時間と本数が決められている上に利用料金は飛行機のチケット代よりも高額と来ている。日本の国内線で片道5万円からとか考えられないわ……もしあたしがエンジニアとかそっち方面に明るかったら魔法と化学を組み合わせた超エコな車だとか、チート級の乗り物とかを作れたのに残念。
で、馬車に揺られている理由だけれど。王城に向かっているからなのよね。
リグも一緒という事で考えられるのは、お披露目の前に関係者全員の顔合わせ、円卓の騎士の一人が王太子殿下だから王城来いよ!って事かしら。
……今更だけど、円卓の騎士についても神託って下るの?じゃないと自己申告してくれない限り探し出せないわよね……目印は聖印だけなんだもの。聞いてみようかしら。
「ねぇリグ。」
「何だ?お嬢。」
目を閉じて瞑想してるようだった向かい側のリグに声をかけると、すぐにこちらを見てくれた。
「私については信託があったのが陛下からの手紙に記載されてたのだけど、円卓の騎士達についてはどうやって王室や教会が把握できたか分かる?」
「んー、入学前に聖印見せろって神官が急に来たンだよな。」
「え、家に?私は知らないわよ?」
神官って、教会関係者じゃないの。この国は聖国とだけあって、王室と教会は密接な関係にある。寧ろ教皇と呼ばれる教会の現トップは王弟殿下じゃなかったかしら。
だから知らないけれど、教会はある程度の権力はあっても政に関わってはいけないらしい。つまり、大義名分でも無い限り、一貴族の家に勝手に押し掛けるような真似はしてはいけないのよ。我が家の家臣であるリグに接触しに来たのなら私の耳にも入る筈で…。
「外回り訓練の最中だったからじゃねぇかな。石版みてぇなの持って真っ直ぐ俺にそう言ってきたから、多分それじゃねぇか?」
「成程ね、街の外の事なら私はそう聞かないわね。でも…そう。円卓の騎士を探し当てる為の道具があるの…。」
そう呟いて、腑に落ちた。
円卓の騎士の中の五人は、身元がハッキリしているのに対し、ただ一人。身分も過去も大半が不明の彼……シュミナは、きっとその石版?を使って探し当てられたのだろう。でなければ、仮に自ら聖印があると申告をしても、本物であると判別出来ない訳だし。
そんな話をしているうちに、気付けば馬車の揺れが止まった。窓から外を見れば執事と侍女らしき男女が数人立っていて、執事が扉を開けてくれた。
先にリグが降りていくと私に向かって片手を差し伸べてくれる。エスコートだ。
右手でワンピースの裾を、左手でリグの片手をそれぞれ掴みながら地面へと足をつけると、出迎えの人達が深く頭を下げた。
「シルベストリ・シルビアンナ。御召により登城致します。」
「同じくリグロイン。登城します。」
私達がお客という立場になるので、彼等よりも先に声を掛けてそれぞれ略礼をする。自己紹介をする時は何処の家の誰、というのを示すために苗字から名乗ってミドルネームは略すのが通例なのだけど、私の名前って上も下もシルから始まるから間違えそうになるのよね…。噛まなくて良かったわ。
「聖女様と円卓の騎士様にご挨拶申し上げます。本日は私がご案内を務めます、ヨリフキとお呼びください。」
お互いに姿勢を正すと、やっと見えたヨリフキさんは片眼鏡…オークル、じゃなくて何クル?うん片眼鏡で良いわ。確かあの片眼鏡、彫りが深い西洋人でないと使えないのよね。憧れだけで買うもんじゃない――それを掛けたナイスミドルだった。前世のあたしだったらドストライク……おっと心のヨダレが。
ふと視線を感じて横を見ると、表情には出していなかった筈なのに私を変な目で見てくるリグの姿が。彼の足をさり気なくヒールで踏んづけて――勿論、身体強化をして――から先行するヨリフキさんを追いかけていった。
大きな変化と言えば、聖女と円卓の騎士のお披露目が二週間後に行われるという通達があったくらいかしら。くっっっっそめんd……いえ言わないでおきましょう。
そして今私はリグと一緒に馬車に乗って揺られている。この星では魔法がある代わりに化学はさほど発展していない為、陸上の移動には基本的に馬車が使われてるのよね。魔法陣を利用した長距離転移もあるにはあるけれど、飛行機のように時間と本数が決められている上に利用料金は飛行機のチケット代よりも高額と来ている。日本の国内線で片道5万円からとか考えられないわ……もしあたしがエンジニアとかそっち方面に明るかったら魔法と化学を組み合わせた超エコな車だとか、チート級の乗り物とかを作れたのに残念。
で、馬車に揺られている理由だけれど。王城に向かっているからなのよね。
リグも一緒という事で考えられるのは、お披露目の前に関係者全員の顔合わせ、円卓の騎士の一人が王太子殿下だから王城来いよ!って事かしら。
……今更だけど、円卓の騎士についても神託って下るの?じゃないと自己申告してくれない限り探し出せないわよね……目印は聖印だけなんだもの。聞いてみようかしら。
「ねぇリグ。」
「何だ?お嬢。」
目を閉じて瞑想してるようだった向かい側のリグに声をかけると、すぐにこちらを見てくれた。
「私については信託があったのが陛下からの手紙に記載されてたのだけど、円卓の騎士達についてはどうやって王室や教会が把握できたか分かる?」
「んー、入学前に聖印見せろって神官が急に来たンだよな。」
「え、家に?私は知らないわよ?」
神官って、教会関係者じゃないの。この国は聖国とだけあって、王室と教会は密接な関係にある。寧ろ教皇と呼ばれる教会の現トップは王弟殿下じゃなかったかしら。
だから知らないけれど、教会はある程度の権力はあっても政に関わってはいけないらしい。つまり、大義名分でも無い限り、一貴族の家に勝手に押し掛けるような真似はしてはいけないのよ。我が家の家臣であるリグに接触しに来たのなら私の耳にも入る筈で…。
「外回り訓練の最中だったからじゃねぇかな。石版みてぇなの持って真っ直ぐ俺にそう言ってきたから、多分それじゃねぇか?」
「成程ね、街の外の事なら私はそう聞かないわね。でも…そう。円卓の騎士を探し当てる為の道具があるの…。」
そう呟いて、腑に落ちた。
円卓の騎士の中の五人は、身元がハッキリしているのに対し、ただ一人。身分も過去も大半が不明の彼……シュミナは、きっとその石版?を使って探し当てられたのだろう。でなければ、仮に自ら聖印があると申告をしても、本物であると判別出来ない訳だし。
そんな話をしているうちに、気付けば馬車の揺れが止まった。窓から外を見れば執事と侍女らしき男女が数人立っていて、執事が扉を開けてくれた。
先にリグが降りていくと私に向かって片手を差し伸べてくれる。エスコートだ。
右手でワンピースの裾を、左手でリグの片手をそれぞれ掴みながら地面へと足をつけると、出迎えの人達が深く頭を下げた。
「シルベストリ・シルビアンナ。御召により登城致します。」
「同じくリグロイン。登城します。」
私達がお客という立場になるので、彼等よりも先に声を掛けてそれぞれ略礼をする。自己紹介をする時は何処の家の誰、というのを示すために苗字から名乗ってミドルネームは略すのが通例なのだけど、私の名前って上も下もシルから始まるから間違えそうになるのよね…。噛まなくて良かったわ。
「聖女様と円卓の騎士様にご挨拶申し上げます。本日は私がご案内を務めます、ヨリフキとお呼びください。」
お互いに姿勢を正すと、やっと見えたヨリフキさんは片眼鏡…オークル、じゃなくて何クル?うん片眼鏡で良いわ。確かあの片眼鏡、彫りが深い西洋人でないと使えないのよね。憧れだけで買うもんじゃない――それを掛けたナイスミドルだった。前世のあたしだったらドストライク……おっと心のヨダレが。
ふと視線を感じて横を見ると、表情には出していなかった筈なのに私を変な目で見てくるリグの姿が。彼の足をさり気なくヒールで踏んづけて――勿論、身体強化をして――から先行するヨリフキさんを追いかけていった。
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