貴方なんて冗談じゃありません! 婚約破棄から始まる入れ替わり物語

立風花

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後章

王都出発の前夜です!

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 ナディル先生の嘘つき。国王陛下とカミッラ二妃の間に、雪解けの気配なんて微塵もない。

 カミッラ正妃がエドモンド国王陛下を見る眼差しは、得物を狙う美しい獣の様だった。冷徹で貪欲で、端で見ているだけで背筋が冷たくなる。
 対するエドモンド国王陛下は、不敬と言える発言を気にする風もなく軽く眉を上げただけで飄々と受け止めていた。
 
「流石の其方も息子には甘いという事か? デュリオには、奪える時間を与えた筈だ。どんな理由があっても、選ばなかったのはデュリオ自身だ」
 
 奪える時間と言う言葉に身体が強張る。
 『決め手』という言葉を、カミッラ正妃は私に向けて使った。

 私には、旧国派でカミッラ正妃に次ぐ影響力を持つリエト・ディルーカの娘としての価値がある。この国には、第一子が次期国王になるという不文律があるのに、レナート王子の王太子の指名はとても遅かった。決まらない事に教会派は焦り、旧国派を取り込む為にレナート王子と私の婚約を認めた。
 そして、一年後にレナート王子が王太子に指名を受けた。

 私が……あの時に断れば、国王陛下はデュリオ王子を選んだのだろうか。
 デュリオ王子が……あの日に外苑で私を攫ったのなら、王太子の地位を手にしていたのだろうか。
 私がそこまでの『決め手』になる筈はない。そう思うのに、頭の中で可能性が幾つも浮かんでは消えていく。 

 国王の尋ねる言葉に、カミッラ正妃が冷たい表情を崩すことなく真っ赤な唇だけを動かす。

「選ばなかった? 選べなかった。選ばせなかった。そう私は思っています」

 カミッラ正妃の言葉が、胸を締め付ける。

 教会派のパメラに恋をした旧国派のプランクの為に奔走した十四歳のあの日、デュリオ王子はレナート王子を『次の王』と明言した。その日から、私の中でレナート王子が王になる未来が私達の形になった。

 競う事に夢中だった人が、何時から競う事をしなくなった? 
 デュリオ王子が、王になる事を望まなくなったのは何時?

 『次の王』になる事が当然のレナート王子と、『次の王』を狙う事を期待されたデュリオ王子。
 レナート王子への重圧と風当たりの強さは厳しいものだったと思う。私以上に近かったデュリオ王子には、よりはっきりと見えていて、いつのまにか剣と魔法と以外の成績をレナート王子に譲るようになっていた。

 ドレスを握りしめて俯くと、国王陛下の冷静な声が聞こえた。

「それでも、決めたのはデュリオだ。人の所為にして、道筋を引くか?」

 弾かれるように頭を上げると、カミッラ正妃の指先が苛立たし気に微かに動いた。
  
「私は諦めない。貴方の子を産んで、私の子をこの国の王にする。国の男が正面から勝てぬなら、私が女のやり方で勝つ。そう決めて、貴方の元に嫁いで来た」

 きっぱりと告げたカミッラ正妃に、国王陛下が小さく息を吐く。

「デュリオとレナートの事は、今は放っておけ。次の王太子はもう決まった。これ以上の手出しは許さぬ。ところで、其方の願いの中に今も私はいないのか?」

 優しく愛しむような眼差しを向けて、国王陛下がカミッラ正妃に手を伸ばした。
 国王陛下に雪解けがあった事実を垣間見て目を瞬く。前言撤回。やっぱりナディル先生は何でも知っている。
 でも、手が届く瞬間、カミッラ正妃が忌々し気にその手を叩き落とした。

「大変不愉快です。リーリアを呼ぶ命は果しました。これ以上、共に過ごす必要はないでしょう。下がります」

 冷たい顔で国王陛下を一瞥して、カミッラ正妃が王妃座から立ち上がる。慌てて数歩下がって、扉へと向かうカミッラ正妃に道を開ける。一礼して通り過ぎるのを待つ視界の端に、高貴なドレスの裾が翻って、頭上に厳しい声が落ちた。

「リーリア、『聖女』の役目をしかと果してきなさい。望む望まぬなど関係なく、必ず私はデュリオを王にします。使えないなら、再び婚約破棄の憂き目にあう事を覚悟なさい」

 苛立たし気な足音が遠ざかり、扉が閉まる音が聞こた。
 ゆっくりと顔を上げると、国王陛下が爽やかで人好きする笑顔を向ける。

「あれは気が強く、自分のすべき事がはっきりとしている。早速、苦労をしていそうだな」

 誘導と無理難題が頭を過ぎったけれど、それを口にして頷くわけにはいかない。社交界は建前の世界だ。

「カミッラ正妃様は、旧国派を支えてきた方です。深いお考えを、お側で学べたらと思っております」

 微笑んで無難な返事を返すと、国王陛下が笑いだす。

「取り繕わなくても良い。息子たちから聞く其方の性格は素直でまっすぐだ。カミッラは真意を口にしない性格は、さぞ分かりにくいであろう。だが、理解を深めればあれからは学ぶ事も多い筈だ。社交辞令ではなく、真摯に学ぶとよい。其方の糧になる」

 予想以上に高いカミッラ正妃の評価に驚いて目を見開いた瞬間を、国王陛下にばっちりと確認されてしまう。にやにやと楽し気な目元が悪戯を仕掛けるデュリオ王子とそっくりだ。

「納得がいかぬと言う反応だな? 何を思った? 罰せぬから、話してみると良い」

 答えにくい質問だ。この流れでカミッラ正妃を絶賛するのもわざとらしい。引き攣りそうになる頬を必死に抑える。
 空気を読まずに怒っているカミッラ正妃に手を伸ばす癖に、私の表情はしっかり読むから侮れない。
 
「カミッラ正妃には良い噂も悪い噂も等しくございます。両方を思い出して戸惑っただけでございます」

 綺麗な顎を一撫でして、国王陛下が椅子に背中を預けて息を吐く。

「色々な噂か……。目に見えて耳に聞こえる事が全てではない。歯にものを着せぬから誤解も多いが、カミッラは好い女だ。あれの『毒婦』と呼ばれる原因になった噂は知っているか?」

 思いがけず、ナディル先生と話していた話題と同じ所に国王陛下の話が流れ着く。

「存じております。有名なお話なのに、公式の発表はございませんね。国王様は真相をご存知なのでしょうか? 不躾なお願いと承知しておりますが、これからお義母さまと呼ぶ方の事です。教えて頂けませんか?」

 カミッラ正妃は、口を噤んでいる。その所為で、シルヴィア二妃の語る事だけが独り歩きしている節がある。レナート王子の生まれる時に起きた事件だから、きちんと事情を知っておきたい。

「……裁かなかったのは、裁く為の情報も公平な目もなかったからだ」
「情報と公平な目? 毒の送り主も毒の入っていた品も、はっきりとしているのでは?」

 シルヴィア二妃の言い分ではあるけれど、噂ではカミッラ正妃から送られた砂糖菓子と明言されている。妃二人に関する情報だから、私に資料を見る事は出来ないけれど、国王の薬師が微量だけど毒を見つけたという話も有名だ。

「複数供された品の一つにカミッラが送った品があり、毒を含んでいたのはシルヴィアが口にした一粒だけだ。薬師が見つけた毒は微量の粉。確たる現物はシルヴィアが含んでない」

 国王陛下の言葉に唖然とする。社交界の噂話は、これだから油断がならない。 
 食べた本人しか証言できないなら、別の誰かの贈り物を気に入らない人物からの品と言い張る事も出来てしまう。あまりに不公平なのは、この時点でも明らかだ。でも、それ以上に気になるのは、あり得ない状況の方だ。

「シルヴィア二妃様はどうして、カミッラ正妃の贈り物を口にしたのでしょう?」

 当時の状況を考えれば、旧国派からの贈り物はその場で破棄されて当然だと思う。

「シルヴィア付きの侍女の過ちと報告を受けている。贈り物の整理をしていた侍女が、呼び出しに応じて一時に机に置いたままにしていたらしい。別の侍女が気づかずに、砂糖菓子の器に移してしまった。その中のたった一つが、毒入りで運悪くシルヴィアは口に含んだ」

 にやにやと笑う国王陛下の瞳が、都合のいい話を信じるかと私に尋ねる。
 どれだけの偶然が重なったら、そんな結果になるのか。考えるのも馬鹿らしい。
 
「強引な気がします。『奇跡』みたいです」

 『奇跡』かと呟いて、国王陛下が苦笑いを浮かべる。

「残念なことに、治療も明瞭ではない。シルヴィアは毒が引き金になって産気づいた。王家の出産は、許された出入りの制限された大修道院で行われる。結果、毒の治療も酷く閉鎖された状況になった」

 中立な立場で毒の状態を判断する為に、専属の薬師を国王陛下は大修道院に派遣しようとした。しかし、アベッリ公爵家は、娘のシルヴィア二妃と、生まれたての子の安全の優先を口にして断った。
 王都の大修道院は、アベッリ公爵家に近しい者だけで固められる事になる。
 公平性に欠ける情報は、裁きの材料にはならないと国王陛下が説得はしたが、それでも構わないとアベッリ公爵は答えたという。

 思っていた以上に閉鎖的で、教会派に偏る情報は釈然としない。本当にカミッラ正妃は毒を盛ったのか。シルヴィア二妃は毒の口に含んだのか。

「国王陛下は、事実をどうお考えなのですか?」

 何度もこの件について考えて、既に自分なりに答えを出していたのだろう。一度肩を竦めただけで、あまり考える事もなく国王陛下は答えを口にした。

「シルヴィアは嘘をつく女性ではない。毒があったのは事実であろう。だが、誰がについては、二人の間には相当の確執があった事から、思い込みの可能性が高いと思っている。」
「なら、どうして何もカミッラ正妃様は言わないのですか?」

 事実に反するならば真っ向から否定して、返り討ちにするくらいは、カミッラ正妃ならやりそうである。

「カミッラは毒を盛ってはいないだろう。手段は選ばぬが、一線を超える事はしない。だが、取り巻きまでが同じ意識とは限らない。相当に調べさせていたみたいだが、取り巻きが動いた可能性は排除できなかったようだ。カミッラは、根は愚直で責任感が強い。可能性があるのなら、噂の責を負うと決めたのであろう」

 国王陛下の語るカミッラ正妃は、ほんの少しジュリアに似ている。
 目的の為に手段は選ばないけれど、自分なりの基準に忠実に責任をもって行動をする。何も分からずに振り回されるのは迷惑だけど、知ってしまったら憎めないいじらしさを覚える。

「国王陛下は、カミッラ正妃がお好きなのですね」

 返事は帰ってこなかった。でも、微笑んだ顔を見れば答えは肯定である事は簡単に分かった。
 でも、国王陛下がカミッラ正妃を好きだとしたら、シルヴィア二妃の事はどう思っているのだろう。レナート王子をすぐに王太子に指名しなかった事も考えれば、疎んじている可能性もあり得る。

 シルヴィア二妃の事は、どう思ってますか?
 カミッラ正妃の子であるデュリオ王子が王になる事を、望んでますか?

 二つの質問が頭に浮かんだけれど、流石に不躾で越権だと飲み込む。それでも、完全に消す事は出来なくて胸につかえた状態で見つめていると、国王陛下が謁見室にいた全ての者に人払いを命じた。

 全員が部屋をでると、今日見た中で最も真剣な色を碧の瞳に浮かべる。

「今度は、私から其方に確認がしたい。早馬で処刑会場での『奇跡』について聞いた。リエトは本当の『奇跡』ではなく『魔術』であると言ったが本当か?」

 お父様が話したのであれば、国王陛下には真実を話しても問題ないだろう。

「はい。禁忌と理解しておりましたが、他に方法がなく『魔術』を使用いたしました」

 一礼して、お叱りの言葉を待つ私の耳に、安堵したため息が届いて意外な言葉が返ってくる。

「そうか、『魔術』なら構わない」
「構わない? 宜しいのですか?」

 驚いて顔を上げた私に、国王陛下がはっきりと頷いて、アルトゥリアと先々代国王との密約について話してくれる。
 アルトゥリアは『魔術』がなければ生活の厳しい上に、他国とのかかわりがない国だから、『魔法』が『魔術』にとってかわる事がなかった。
 セラフィンの旧国と一つになった時、独自に残った『魔術』の技術をどうするかが話し合われ、アルトゥリア内だけの使用が認め残す事が決められたらしい。

「リーリア・ディルーカ。『魔女』の汚名が払拭されるまでは、其方に『魔術』の利用を許可する。暫くは、『奇跡』を行い『聖女』を名乗れ。汚名が晴れた後に、力を失ったとして称号を返上すれば良いであろう」

 『聖女』の終わりまでの道筋が、国王陛下の前で決まった事に胸を撫で下ろす。余りにも大きすぎる嘘に、終わりが見えない事は流石にずっと不安だった。

「安心しました。後ろめたい気持ちもあったし、出来る事にも限界があると感じていました。ありがとうございます、国王陛下」

 一礼して顔を上げると、国王陛下が微笑む。

「聞きたかった事は以上だ。さぁ、其方は明日の朝が早いのであろう。私もすべき事は多い。下がると良い」

 その一言に、退出の口上を述べて踵を返す。謁見室を出ると、デュリオ王子が私を待っていた。

「デュリオ王子」

 真っ直ぐに向かっていくと、いきなりおでこが指で弾かれる。

「リーリア、何故連絡をしなかった」
「あぁ、お手紙でお知らせしようと思っていたんです。忙しいだろうと聞いたので……」

 やや苛々とした様子で明るい金の髪を掻き上げて、デュリオ王子が私の腕を掴んで歩き出す。

「幾つか話したい事がある。馬車寄せまで送ろう」
「まって、止まって下さい! 送らなくていいです」

 腕を掴んでデュリオ王子の歩みを止める。
 送ってくれる気持ちは嬉しいけれど、もうすぐ国王もここに現れるだろう。帰還した国王陛下のやるべき事には、今代行を務めるデュリオ王子が必要なはずだ。

「話す事は、今ここで手短に済ませましょう。私の事を送る暇は、デュリオ王子にもない筈です」

 不満げにデュリオ王子が眉を上げて歩みを止める。ほっとしたのも束の間で、デュリオ王子が私の頬を摘まむ。おでこを叩かれて、頬を摘ままれて、何も悪い事はしてないのに理不尽だと思う。

「ひゃめてくりゃしゃい。わしゃし、にゃにかしましゅた?」

 止めて下さい。私、何かしましたと、問いかけると大きなため息が返ってきた。

「何故、もっと頼らない」
「頼りますよ。私、お会いできたら頼りたい事があったんです」

 今日会う事ができたなら、お願いしたいと思っていた事を思い出す。一枚の小さくた畳んだ紙を、デュリオ王子の手に握らせる。

「何だこれは?」

 不思議そうに視線を落とした手を、私の手で隠すように包む。周囲を窺って皆が離れている事を確認してから、そっと背伸びをしてデュリオ王子の耳に唇を寄せる。
 これは誰にも聞かれてはいけない内緒の話である。

「送りの術式を一つ書き記してあります。私一人だと魔力が厳しいんです。一日一度、半分程の魔力を送って頂けますか?」
 
 聖女としてめぐるのは四カ所。昨日から我が家にあった魔石に、受けの術式を書いて準備はしているけれど、私の魔力量では中々苦しい計算になる。
 私の手の下で、紙を掴んだデュリオ王子の拳が硬くなる。
 
「半分でいいのか? もっと送っても構わんぞ」

 やや嬉しそうに言ってくれた言葉に微笑んで、忘れてはいけない容量の話をしておく。

「絶対に半分でお願いします。魔力が満ちすぎても、器は消耗してしまうんです。紙は術式を覚えたら、直ぐに捨てて下さいね。送りは疲れている時は、無理しないで下さい。送り過ぎが危険なのは先日お話したから分かってますよね?」

 それだけ伝えてゆっくりと耳から離れると、護衛や従者のいる謁見室前の廊下なのに体を引き寄せられた。頬に硬い胸が触れて、あたたかい腕の中に私の体がおさまってしまう。

「デュ、デュリオ王子」

 私からは見えない周囲の視線を想像して、恥ずかしさに声を上げて身をよじる。でも、腕は外してもらえない。見上げて頬を膨らませる睨むと、思いがけず真剣な深碧の瞳と視線がぶつかった。

「ここで済ませと言ったのはお前だ。リーリア、ここに戻ると約束しろ」
「もちろん、王都にはすぐに戻って――」

 抱く腕の力が僅かに強くなって言葉を飲む。デュリオ王子の瞳に浮かぶ感情が複雑な色に揺れる。

「そうじゃない。俺はレナートを止められなかった。でも、必ずあいつに王位は譲ると約束する」

 譲る。その言葉の裏にあるデュリオ王子の本音が、今なら私にもきちんと分かった。
 
 私とレナート王子が、デュリオ王子に選ばせなかった一つの未来の可能性。
 デュリオ王子は、一人で決めて、一人で飲み込んで、譲ってきた。
 私達はデュリオ王子の枷だったのだろうか。

 頷く事も、首を振る事も出来ずに、デュリオ王子の服の胸を握りしめる。

「お前が戻るのは王都ではなく、俺のところだ。いいな?」
「はい。戻ります。戻ったら、話したい事があります。私、『聖女』をしっかり務めてきます。デュリオ王子も最後まで国王陛下代行をしっかり務めあげて下さい」
 
 デュリオ王子の腕が解けて、ゆっくりと体が離れる。
 王都に残るデュリオ王子、ラントに向かったレナート王子、シャンデラに向かう私。
 つぎに王都に三人が戻った時は、それぞれの未来と私達はもう一度向き合うべきなのだろう。
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