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いざ安住の地へ
<フィン> 味のしない食事
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今日は王城の食事会だ。
家さんを買ってもう一か月も経つんだな。
僕はあれから手を尽くしたが、まだ財務卿に認めてもらえていない。
魔導騎士団長のところに正攻法で話に行ったが、魔道具は信用できないの一点張りで話にならなかった。
ローザがクソジジイ呼ばわりしている魔導騎士団長は、頑固で偏屈で魔法至上主義者だ。
ちなみに僕は心の中限定でハゲと読んでいるのは内緒だ。
心の中限定だから許してほしいな。
彼からするとたいした魔法を使えない僕は例え王子だとしても見下す対象のようだ。
どうやって魔道具の研究を進めるか……。
僕の活動を知っているはずだけど父上は何もおっしゃらない。
僕を試している部分もあるのかな?
母上を通じてお祖父さまにも手紙で意見を聞いたけど、焦る必要はないと言われた。
じきに魔道具を無視できなくなるとのことだ。
それはわかるが、無視できなくなる理由が敗戦ということだってありえるんだ。
そう思うと僕はやっぱり焦る。
神殿で神官にも話を聞いた。
彼らは国からは独立した組織で、魔道具も使っている。
だが、彼らの反応もあまり期待したものではなかった。
神殿で使っている魔道具の効果を教えることはできるが、それは既に魔導騎士団長や父上もご存じとのことだ。
知った上で聞かないなんて、なにを考えてるのか?
「兄上、王都を這いずり回っていると聞いているけど、なにかあったのか?クックック」
「ダリアン……」
そしてこいつは……。
昔はあんなに素直だったのに……。
「そんなに頑張って王になりたいの?大変だね。クックック」
「くっ……」
できるなら思いっきり殴り飛ばしてやりたいけども、こいつは僕より強い……。ガタイもいいし、剣も魔法も。
王になりたいからとかじゃないんだ。なぜわからない。
「ダリアン、席に着きなさい」
「はい、母上」
止めるなんて珍しいと思ったが、そろそろ父上が来られる時間だからか、イザベラがダリアンを呼ぶ。
僕も席に着く。
「皆、揃っているな」
「「はい!」」
「では、はじめよう。今日は宣言がある」
「「!?」」
まさか……。
「今年の秋に選定会議を行う。その宣言だ。皆、心して準備を整えよ」
「「はい!」」
ついに来た。
秋まではあと4か月くらい……。
時間は少ない。
今回もまた食事の味はしなかった。
食事会が終わり、全員が帰るのを見守ってから1人、自室に戻ろうとすると、侍従長に止められた。
「フィン様。陛下がお呼びです」
「父上が?」
なんだろう。このタイミングで?
「前回の会議で平民街のことを報告するようにと仰っておられました。それかと……」
「わかりました……」
忘れていた……。
「陛下は書斎におられますので、そちらに向かわれますように」
どうしよう……。
そもそもあまり平民街を歩くようなことはしていないのだが。
僕は仕方ないのでありのままを話すことに決め、父上の書斎に向かった。
家さんを買ってもう一か月も経つんだな。
僕はあれから手を尽くしたが、まだ財務卿に認めてもらえていない。
魔導騎士団長のところに正攻法で話に行ったが、魔道具は信用できないの一点張りで話にならなかった。
ローザがクソジジイ呼ばわりしている魔導騎士団長は、頑固で偏屈で魔法至上主義者だ。
ちなみに僕は心の中限定でハゲと読んでいるのは内緒だ。
心の中限定だから許してほしいな。
彼からするとたいした魔法を使えない僕は例え王子だとしても見下す対象のようだ。
どうやって魔道具の研究を進めるか……。
僕の活動を知っているはずだけど父上は何もおっしゃらない。
僕を試している部分もあるのかな?
母上を通じてお祖父さまにも手紙で意見を聞いたけど、焦る必要はないと言われた。
じきに魔道具を無視できなくなるとのことだ。
それはわかるが、無視できなくなる理由が敗戦ということだってありえるんだ。
そう思うと僕はやっぱり焦る。
神殿で神官にも話を聞いた。
彼らは国からは独立した組織で、魔道具も使っている。
だが、彼らの反応もあまり期待したものではなかった。
神殿で使っている魔道具の効果を教えることはできるが、それは既に魔導騎士団長や父上もご存じとのことだ。
知った上で聞かないなんて、なにを考えてるのか?
「兄上、王都を這いずり回っていると聞いているけど、なにかあったのか?クックック」
「ダリアン……」
そしてこいつは……。
昔はあんなに素直だったのに……。
「そんなに頑張って王になりたいの?大変だね。クックック」
「くっ……」
できるなら思いっきり殴り飛ばしてやりたいけども、こいつは僕より強い……。ガタイもいいし、剣も魔法も。
王になりたいからとかじゃないんだ。なぜわからない。
「ダリアン、席に着きなさい」
「はい、母上」
止めるなんて珍しいと思ったが、そろそろ父上が来られる時間だからか、イザベラがダリアンを呼ぶ。
僕も席に着く。
「皆、揃っているな」
「「はい!」」
「では、はじめよう。今日は宣言がある」
「「!?」」
まさか……。
「今年の秋に選定会議を行う。その宣言だ。皆、心して準備を整えよ」
「「はい!」」
ついに来た。
秋まではあと4か月くらい……。
時間は少ない。
今回もまた食事の味はしなかった。
食事会が終わり、全員が帰るのを見守ってから1人、自室に戻ろうとすると、侍従長に止められた。
「フィン様。陛下がお呼びです」
「父上が?」
なんだろう。このタイミングで?
「前回の会議で平民街のことを報告するようにと仰っておられました。それかと……」
「わかりました……」
忘れていた……。
「陛下は書斎におられますので、そちらに向かわれますように」
どうしよう……。
そもそもあまり平民街を歩くようなことはしていないのだが。
僕は仕方ないのでありのままを話すことに決め、父上の書斎に向かった。
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