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婚約者編
ⅩL
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「………君達ねぇ。三日間部屋で何してたの?」
王城にある執務室の応接ソファに座るヴァレンティーナとジルベルトを腕組みしてグレンは見下ろしていた。
なかなか出てこない二人に侍女達が声を掛けるが立ち入り禁止だと言われ、中に入れずにいた。
強硬突入しようとしたが、鍵が掛かっているし、魔法で扉が強化されていて扉を破る事も出来ずに二人が出てくるのを気長に待つしかなかった。
「癒されてました」
「癒してあげてました」
艶かしく笑うジルベルトと頬を赤く染め視線をさ迷わせるヴァレンティーナに心配していた一同が察した。
ただ、グレンとナルサスはジルベルトの雰囲気がいつもと違う事に違和感を感じた。
「なんかジルベルト君、性格変わった?」
「そうですか?」
「いつもだったら、オロオロしてる事が多いよね」
「今まで、なんか身体と意識がしっくりこなかったんですが、記憶が戻ったら違和感が無くなりました」
ヴァレンティーナと会ったのは、卒業式の日が初めてだった。だから、ヴァレンティーナがジルベルトを深く愛しているのを訝しく思っていた。
それでも彼女の好意に少しづつ惹かれていった。
結婚式が近付き、身体と意識とに違和感を感じつつ、このままで良いのか迷っていた時に今回の事が起こり、無くしていた記憶が戻った。
幼い頃、二人は出会い、始めての恋を知った。その時の感情が甦り、今の自分の心が追い付いてきた。
「はあ~、まあ、いいや。取り敢えず、ジルベルト君が倒れた後の説明を詳しくしていくね」
二人の向かい側に脱力したグレンが座る。その後ろにナルサスと第一騎士団団長ジョン・クラディと魔術師団団長ルートヴィッヒ・ブラットが立つ。
「はい、お願いします」
「そうだなぁ。倒れた直後は、先日に話したように、ヴァレンティーナがトラウマを刺激されて、精神崩壊一歩手前の状態になって、膨大な魔力の制御が甘くなって体外に目に見える形で漏れだしたんだよ」
「トラウマ?ですか?」
「そう。君とヴァレンティーナが小さな頃にも同じ様に君が大怪我を負ったのを目の前で見てる。普段、余裕そうに振る舞っていても傷付きやすい娘だからね」
グレンが気遣う様にヴァレンティーナに優しげな眼差しを向ける。
いつも喧嘩をしていてもグレンは、やはりヴァレンティーナの父親で。
どんなにぞんざいな扱いをされようが貶されようが、最後には結局愛してやまない娘が大切で心配なのだ。
「お父様、続きを」
例え、その娘があえてグレンの気遣いをぶっ潰そうが、心配なのだ。
瞳を閉じて、はらはらと無言で泣くグレンが憐れだ。
「グレン様、頑張って」
「ぐすっ、君はいつも優しいね」
気を取り直して、グレンは話し出した。目元と鼻の頭を赤くさせたままなのが、ピエロみたいだと思ったが、言葉を飲み込んだ魔術師団団長。
「漏れでた魔力は一気に爆散して城を飲み込み始めたんだよ。なんとか、正気に戻そうと魔術師団総出で頑張ったんだよ。我が娘ながら凄まじい魔力だった」
魔術師団総出で押さえ込む魔力とは一体どれ程のモノなのか想像できない。
ジルベルト自身にも魔力はあるのだが、魔術師団団長の値より少し多いくらいだ。
王城にある執務室の応接ソファに座るヴァレンティーナとジルベルトを腕組みしてグレンは見下ろしていた。
なかなか出てこない二人に侍女達が声を掛けるが立ち入り禁止だと言われ、中に入れずにいた。
強硬突入しようとしたが、鍵が掛かっているし、魔法で扉が強化されていて扉を破る事も出来ずに二人が出てくるのを気長に待つしかなかった。
「癒されてました」
「癒してあげてました」
艶かしく笑うジルベルトと頬を赤く染め視線をさ迷わせるヴァレンティーナに心配していた一同が察した。
ただ、グレンとナルサスはジルベルトの雰囲気がいつもと違う事に違和感を感じた。
「なんかジルベルト君、性格変わった?」
「そうですか?」
「いつもだったら、オロオロしてる事が多いよね」
「今まで、なんか身体と意識がしっくりこなかったんですが、記憶が戻ったら違和感が無くなりました」
ヴァレンティーナと会ったのは、卒業式の日が初めてだった。だから、ヴァレンティーナがジルベルトを深く愛しているのを訝しく思っていた。
それでも彼女の好意に少しづつ惹かれていった。
結婚式が近付き、身体と意識とに違和感を感じつつ、このままで良いのか迷っていた時に今回の事が起こり、無くしていた記憶が戻った。
幼い頃、二人は出会い、始めての恋を知った。その時の感情が甦り、今の自分の心が追い付いてきた。
「はあ~、まあ、いいや。取り敢えず、ジルベルト君が倒れた後の説明を詳しくしていくね」
二人の向かい側に脱力したグレンが座る。その後ろにナルサスと第一騎士団団長ジョン・クラディと魔術師団団長ルートヴィッヒ・ブラットが立つ。
「はい、お願いします」
「そうだなぁ。倒れた直後は、先日に話したように、ヴァレンティーナがトラウマを刺激されて、精神崩壊一歩手前の状態になって、膨大な魔力の制御が甘くなって体外に目に見える形で漏れだしたんだよ」
「トラウマ?ですか?」
「そう。君とヴァレンティーナが小さな頃にも同じ様に君が大怪我を負ったのを目の前で見てる。普段、余裕そうに振る舞っていても傷付きやすい娘だからね」
グレンが気遣う様にヴァレンティーナに優しげな眼差しを向ける。
いつも喧嘩をしていてもグレンは、やはりヴァレンティーナの父親で。
どんなにぞんざいな扱いをされようが貶されようが、最後には結局愛してやまない娘が大切で心配なのだ。
「お父様、続きを」
例え、その娘があえてグレンの気遣いをぶっ潰そうが、心配なのだ。
瞳を閉じて、はらはらと無言で泣くグレンが憐れだ。
「グレン様、頑張って」
「ぐすっ、君はいつも優しいね」
気を取り直して、グレンは話し出した。目元と鼻の頭を赤くさせたままなのが、ピエロみたいだと思ったが、言葉を飲み込んだ魔術師団団長。
「漏れでた魔力は一気に爆散して城を飲み込み始めたんだよ。なんとか、正気に戻そうと魔術師団総出で頑張ったんだよ。我が娘ながら凄まじい魔力だった」
魔術師団総出で押さえ込む魔力とは一体どれ程のモノなのか想像できない。
ジルベルト自身にも魔力はあるのだが、魔術師団団長の値より少し多いくらいだ。
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