お隣さんがパンツを見せろと言うからプロ意識を持ってそれに応える

サトー

文字の大きさ
26 / 47

【番外編】鈴井さんの初体験(1)

しおりを挟む

付き合い始めてからの生田さんは、なんだか張り切っている。

まず、部屋のシングルベッドがダブルベッドに買い換えられていた。
単身用の狭い部屋は、ほぼベッドに占領されてしまって、生田さんの部屋のベッドでしょっちゅうくつろいでいる俺でさえも、「果たしてこの部屋はこれで正解なんだろうか?」と首を傾げたくなる程だった。

「どうして、買い換えたんですか?」
「ああ…。狭いと鈴井さんも集中出来ないかな、と思って」

集中って?何にですか?とも思ったけど、だいたい予想はついたし、「なんだと思う?鈴井さんの口から言ってみて」と言われそうだから、あえて聞かなかった。

……このベッドって、俺と寝るために買ったんだ、と思うと見ているだけで恥ずかしい気持ちになる。

「……鈴井さん、顔すごい赤いけど大丈夫?」
「大丈夫じゃないです……」
「ちょっと、おいで…」
「えっ、あの、駄目です……生田さん、ちょっとって言って、いっつも嘘つくから……あっ、駄目だってば、あ……」

……やっぱり「ちょっと」というのは大嘘で、下に履いてたものを全部脱がされて、生田さんにしゃぶられた。
嘘つき、と俺が怒っても「違う、ちょっとフェラチオさせて、って意味だったんだ」と生田さんは惚けるばっかりで、全然堪えていなかった。


「鈴井さん、明日も学校とバイト?なんか、俺よりも鈴井さんの方が忙しい気がする」
「……明日は学校の後、夜までピザ屋です。また、会える時、連絡します……」


朝が早いから、という理由で生田さんの部屋からそそくさと帰った。
……付き合うようになってからは、当然生田さんに雇われなくなったわけで、収入がすごく減ってしまった。
それで、ピザ屋のバイトに行く時間が増えてしまって、せっかく付き合ってるのに生田さんになかなか会えない。



「はあ……」

部屋でルーズリーフを開きながら、もう何度目か分からないため息を吐いた。
下手くそな字で「水溶性ローション」と「シリコンオイル系ローション」とメモしてある。
男の人とセックスをする時に必要なものを調べてみたら、コンドームとローションは必須だということが分かった。

水溶性ローションは水に溶けるからシャワーで簡単に洗い流せるけど、乾きやすい。
シリコンオイル系ローションは、乾きにくくてセックス中に付け足しはいらないけど、シャワーでなかなか洗い流せない。

一応、日本では水溶性ローションの方がメジャーとあった。
さらに調べたら、同じローションでも商品によって、コスパが良いとか、ポンプ式で使いにくいとか、コラーゲン入りとか、オーガニック成分で出来ているとか、いろいろな違いがあって、ますます分からなくなった。

俺って本当に無知だったんだなあ、と思いながら、一生懸命勉強した。
それで、すごくドキドキしながらネットで注文した。


「買ったけど、そもそも使う機会はあるのかな……」


……生田さんは張り切っているようなのに、なかなかセックスをしてくれない。
休みがあえば生田さんの部屋には行っている。
今まで以上にいっぱい甘やかしてくれるし、親切にしてくれる。

生田さんは買ってきたアルフォートやシルベーヌといったお菓子を俺に「あーん」して食べさせたり、一緒にテレビを見ている時に可愛い犬の映像が流れると「鈴井さんに似てる」と言ってきたりする。
そういう時、たいてい俺は、なんだかむず痒いような、すごく照れ臭い気持ちになる。


もちろん、「ちょっとオナニーしてるとこ見せてくれる?」、「鈴井さん「美味しい」って言われるのと「美味しくない」って言われるの、フェラチオ中どっちがより興奮するかを確かめたいんだけど……」という別の意味で恥ずかしいことも言われる。

最近一番ビックリしたのは、プレゼントだと言って、俺にパンツを買ってきたことだ。
なんでビックリしたかと言うと、いつも履いているようなボクサーパンツじゃなくて、すごく小さいビキニパンツを贈られたからだ。

「なんですか、これ!?」
「ああ……前に、スケスケは絶対嫌だって言ってたから」
「ええ……。生田さん、違うんです!俺は、エッチな下着を履くこと自体が嫌なんです!」

どうしてスケスケが駄目なら、別のエッチな下着ならイケるかもしれない、という発想になるんだろう、と引きまくっている俺を眺めながら「怒ってる?可愛いな…」と生田さんはデレデレしていた。

「いらないです、本当に本当にいらないです」と何度も断ったのに「鈴井さん!履かなくてもいいから!俺が鈴井さんにエッチな下着を渡したという事実を残すためだけに受け取って欲しい!その事実が充分オカズになるから!」と土下座しながらしつこく言われて、渋々受け取った。

生田さんは、変なことばっかりひらめく割にはセックスをなかなかしたがらない。
付き合い始めてからは、キスをしたり、手と口でお互い相手を気持ちよくさせたりはしているけど、絶対に挿入してこようとはしなかった。
何度かすごく恥ずかしいのを我慢して「入れる?」と俺の方から聞いてみたことはあるけど、「うーん…」と困った顔で言われるばかりだ。

一回だけほんの少し指を入れられたことがある。
生田さんは、俺の尻をあちこち確かめるようにして触った後、「……なるほど」
と呟いて、それであっさり指を抜いてしまった。
なるほどって、なに?!と困惑した。

それからは、何も進展がない。
俺は、いつそういうことがあってもいいようにネットでいっぱい調べていると言うのに、なんだか寂しい。
前にラブホテルに行った時は「入れたくなる」と言っていたし、一応挿入してみたいという欲求はあるのかもしれないけど、もしかしたら遠慮しているのかもしれない。

俺はしてみたいけど……「入れる?」と聞いても分かってくれないし、どうやったら伝わるんだろう?生田さんみたいに土下座するしかないのかな…?嫌だな…と思いながら、「生田さんとのセックス」について、一人で悶々と考えていた。






数日後に、生田さんの家に遊びに行った。
……はじめて一緒にお風呂に入った。
湯船に浸かってたら変なところばっかり触ってくるから……それで、俺も欲情してしまって、生田さんにしがみつくようにして何度もキスをねだった。
温かくて、気持ちよくって夢中になりすぎて、ほんの少しのぼせてしまって、生田さんにすごく心配された。

「……鈴井さん、大丈夫?ごめん……」
「大丈夫です。俺、すごく暑がりで、すぐのぼせちゃうみたいで……すみません……」

水を飲まされてから横になって休んでいる間、生田さんはずっと側で心配そうにしていた。



「……生田さん」
「うん?」
「……あの、お風呂で迷惑かけたうえに、甘えてもいいですか?」
「……もちろんいいし、迷惑とは思ってないよ」
「…………あの、出来れば今度、前みたいに外へ泊まりに行きたいです」
「いいよ」

もっと早く頼めば良かった、と後悔してしまうくらい、あっさりオーケーされた。

「鈴井さん、何が食べたい?肉?」
「う、鰻か牡蠣……」
「お、いいね」

今の時期だと牡蠣かな、冬の鰻はいいって人もいるよね、どう思う?とウキウキしている生田さんに、適当に話を合わせながら相槌を打つ。
本当はカキフライよりエビフライの方が好きだし、同じお金で鰻を食べるなら肉が食べたい。
じゃあなんで、生田さんにリクエストをしたかと言うと、「精力 食べ物」で検索をしたら、「セックスにいい食べ物」として紹介されていたからだ。


「……鈴井さん、ぼーっとしてるけど大丈夫?まだ、しんどい?」
「大丈夫です……」

俺はいったい何を調べているんだろう、すごく下心があるみたいだし、なんかこれじゃあ、俺、生田さんみたい……と勝手に失礼なことを考えている間も、生田さんは嬉しそうにスマホで何か調べものをしていた。




お互いの都合のいい日を確認したら、一番近くて明後日ということが分かって、生田さんが「じゃあ、思い切ってホテル予約する」と言ってくれてすごく嬉しかった。

「あの、生田さん……」
「うん……?」

住所や電話番号と言った、予約者情報を入力しているのか、生田さんはスマホから顔を上げなかった。
その様子を確認してから、言うなら、今しかない、と思った。



「……あの、生田さん、俺、最近、ローション買いました。すみませんけど、コンドームはお願いします……」

生田さんに「鈴井さん!?」と名前を呼ばれたし、何か話しかけられたけど、じゃっ、お邪魔しましたっ!と逃げるようにして部屋を出た。



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…? 2025/09/12 ★1000 Thank_You!!

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます

なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。 そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。 「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」 脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……! 高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!? 借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。 冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!? 短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

処理中です...