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朝
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5時過ぎ。片方のケータイが画面を明るく点滅させ、自身を震わせている。うっすら目を開けると、ぼんやりとした影が上体を起こしていた。影がこちらを振り向き、あたたかいものが髪を撫でる。影に引っ張られた毛布が肩にかけられ、ベッドが軋んだ。閉められた扉の隙間から、オレンジの光が漏れている。ゆっくりと目を閉じ、意識をベッドに沈めた。
6時半。ケータイのアラームが朝を知らせてくる。手癖でスヌーズを設定し、ずるずると半身を起こす。カーテンから薄暗い青が溢れている。髪を掻き上げて振り向くと、扉の向こうからオレンジの光と共にカチャカチャと食器の音がした。
這うようにベッドを降り、揃えられたスリッパに足を通す。扉に手をかけ、光に目を細めながらそろそろと右から左へスライドさせる。
振り向いた表情がくしゃっと崩れ「おはよう」と手を止める。包丁を置き、水ですすいだ手を軽く拭き、腕を広げて私を正面に立つ。引き締まった体を柔らかく包む服の上から腕を回し、光を避けるように顔を埋めた。ぐずぐずと呻く私の頭を優しく撫でる大きな手が、ふと離れた。両手が私の顎を支え、細くなった目が私の表情を覗き込む。体が屈められたため、回していた腕が解けてしまう。目に刺す光に思わず固く瞼を閉じる。唇に柔らかいものがふわりと触れ、離れていった。やっと唇の存在に気づいたように、「おはよう」と動かし、かかとを上げて頬にキスを返した。
6時半。ケータイのアラームが朝を知らせてくる。手癖でスヌーズを設定し、ずるずると半身を起こす。カーテンから薄暗い青が溢れている。髪を掻き上げて振り向くと、扉の向こうからオレンジの光と共にカチャカチャと食器の音がした。
這うようにベッドを降り、揃えられたスリッパに足を通す。扉に手をかけ、光に目を細めながらそろそろと右から左へスライドさせる。
振り向いた表情がくしゃっと崩れ「おはよう」と手を止める。包丁を置き、水ですすいだ手を軽く拭き、腕を広げて私を正面に立つ。引き締まった体を柔らかく包む服の上から腕を回し、光を避けるように顔を埋めた。ぐずぐずと呻く私の頭を優しく撫でる大きな手が、ふと離れた。両手が私の顎を支え、細くなった目が私の表情を覗き込む。体が屈められたため、回していた腕が解けてしまう。目に刺す光に思わず固く瞼を閉じる。唇に柔らかいものがふわりと触れ、離れていった。やっと唇の存在に気づいたように、「おはよう」と動かし、かかとを上げて頬にキスを返した。
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