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小話
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しおりを挟むうん、と頷くフェリシアにグレンはすまなそうな表情を浮かべる。基本フェリシアが最優先のグレンであるが、それでも彼の立場上それができない事が多々ある。それらを捨ててまで自分を優先して欲しいだなんてフェリシアも思わないし、むしろそんなグレンであればフェリシアは恩義は感じても彼を好きになりはしなかっただろう。
「なによりも騎士として毅然とされてるグレン様が大好きですから」
そう言って笑えば、グレンは少しばかり照れた様に笑いながら手元にペンを走らせる。
【俺もいつでも笑顔を浮かべているフェリシアが大好きだよ】
「……またそうやって文字でまで甘いことを……!」
常日頃から愛情を口にしているグレンは、その手段が文字に変わっても同じであった。むしろ文字だからこそ威力が凄まじい。フェリシアは「もう!」とこればかりは照れからの怒りでグレンの手元から紙を奪い取った。
「そういえば今日はまだお昼寝されてないですから、今からちょっとお休みしてください! そもそもグレン様が熱を出したのも日頃の疲れが溜まってたからだそうじゃないですか。しっかり睡眠を取るのも回復への近道ですよ!」
医者に言われた事を思い出しながらフェリシアはグレンの身体をベッドへ押し込む。シーツを肩までかけ、寝かしつける様に胸元をポンポンと数回叩く。グレンはされるがまま大人しく瞳を閉じるが、すぐにまたフェリシアを見つめる。
「グレン様?」
どうかしたのかとフェリシアは声をかけるが、彼の視線が自分の手元に注がれているのに気付くと途端に顔を赤らめた。
グレンの書いた紙を二つに折りたたみ、封筒へと入れているのが不思議なのだろう。しかもその封筒はわりと膨れている。
もしかして、と視線で問われフェリシアは「はい」とか細い声で頷いた。なぜ、とまたしても無言の問いが飛んでくる。それはそうだろう、だってグレンが書いた文字などどれもたいしたものではない。世話をしてくれるフェリシアへ対する礼の言葉や、それに付随してのささやかな愛情を綴っただけのものだ。だからそれらを大事に取っているフェリシアの行動の意味が分からないのだろう。
「グレン様とこうやって手紙のやり取りみたいなことしたの初めてだからですね……つい、こう、記念に……」
フェリシアにしてみればちょっとした恋文のやり取りの様で、書いてある中身がなんであれ捨てる気になど到底なれない。どれも大事な一枚で、一旦封筒に入れて部屋に持ち帰っては机の引き出しに保管しているのだ。
こっそりやっていたつもりだったのにバレてしまった、恥ずかしい!!
フェリシアはグレンに背を向けて盛大に身悶える。なので、俺のフェリシアが可愛すぎて辛い、とグレンがベッドの中で同じ様に悶えているのに気付くことはなかった。
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