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小話
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しおりを挟むジュリアがだいぶアレな男に言い寄られているが、それを見事にいなしてそれどころか従えている。そんなジュリアにとっては不名誉極まりない噂が広まり、最終的にその気配があるフレドリック、の、婚約者であるオリアーナを守るためにと専属侍女になったのだ。栄誉ある仕事が、こんな理由の為だと知った時のジュリアの心境たるや。
ジ、と睨み付けてみるもルイスはニコニコと笑みを崩さない。
「なに? どうしたの?」
なに考えてる? とルイスが身体を近付けジュリアの耳にそっと囁く。その声と、そして同時に胎内に走った衝撃にジュリアは軽く背を浮かせた。
「っ……ん、で……まだ」
どれ程気を失っていたのかジュリアには分からないが、それでもそう短い時間だったわけではないだろう。いやそもそも相手が失神してなお、挿入したままというのはなかなかどうして
「この外道……!」
「起き抜けなのにおれに対する罵倒は淀みないのほんと最高」
真顔で言い切られジュリアはまたしても意識を飛ばしそうになる。なる、だけで実際飛ばなかったのが悔やまれてならない。このままこの頭の螺子が吹き飛んでいる男を相手にしなければならないのだ。
「おれはまだジュリアを満喫できてないし、満足いくまで気持ちよくさせてあげれてないからさ」
「もう充分……!」
いっそ爽やかな笑顔でとんでもない事を言われ、ジュリアは両の掌でルイスを顎下から押し退ける。が、そんな抵抗すら彼にとっては悦びでしかない。両手首を軽く掴むと、唇に触れるジュリアの指をベロリと舐め上げる。ジュリアは飛び出そうになった声をどうにか飲み込み、手首を引き離そうとするが当然それは阻止された。
一本一本指先を舐られ、その都度身体に官能が走る。散々達した後であるからして、呼び覚まされる熱もすぐだ。
「ジュリアはどこもかしこも美味しいね……あー……食べ尽くしたい」
カリリ、と痛みを感じるギリギリの所まで指先に歯を立てられる。
「ねえジュリア、起きる時にさ、なに考えてた?」
「……なに……、って、……?」
過ぎた快楽に気を飛ばして、そこから目覚めただけだ。ジュリアはどうにか指に与えられる快楽から逃れようと必死だが、そうする度にルイスの責めが激しくなる。
「起きる寸前にさあ、ジュリアの眉間に皺が寄ったから、なんか考え込んでたのかなーって」
自分の少しの表情の変化すら見逃さないこの男に、呆れるやら感心するやら恐怖するやら。執着が強い、強すぎる。さすが「監禁したい」と豪語するだけの事はある。
ああそうだった、とジュリアはこの瞬間に思い出した答えをルイスに返す。
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