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オマケ
傷跡・1
しおりを挟むうっすらと差し込む朝日と、そして衣擦れの音にフェリシアは目を覚ました。まだ思考はぼんやりとしているが、視線を動かした先、そこで目にした光景にガバリと身を起こす。
「おはようフェリシア。すまない、起こしてしま」
「グレン様大丈夫ですか!?」
あまりの衝撃に、自分が今どのような格好をしているのかも忘れてグレンに飛びつく。扇情的な姿にグレンの視線が釘付けになるのもお構いなしだ。
「大丈夫って、なにが?」
それでもさすがの騎士様である。己の劣情にはそっと蓋をして、グレンははだけてほぼ全裸に近いフェリシアを抱き留めると、そっと肩から落ちかけた上着をかけなおしてやる。
「むしろそれは俺の方こそ訊きたい……けど、まあ、大丈夫そうでなによりだ」
昨夜も遅くまで付き合わせた自覚はある。大いにある。だからこそ、できるだけ寝かせてやろうと静かに起きたつもりだったのだが。そんな気遣いの相手はこちらの思惑など知るよしもなく、胸ぐらをつかむ勢いでしがみついてくる。
「フェリシア?」
なにをそんなに気にしているのかと、グレンは寝癖で若干跳ねた後ろ髪を撫でつけてやりながら首を傾げた。
「背中」
「背中?」
「背中に、いっぱい擦り傷みたいなのがありましたけど、痛くないんですか!?」
「あ……ああ、うん、擦り傷」
「片方だけじゃなくって、両方にいっぱい! あ、待ってくださいねわたし前にカーティスさんにもらった塗り薬が」
フェリシアは慌ててベッドから降りようとする。しかし、足先が床についた途端そのままカクンと崩れ落ちた。
床にぶつかる寸前、腰に回った力強い腕に支えられ、再びベッドの上に転がされる。
「大丈夫だよフェリシア」
「グレン様の大丈夫は大丈夫じゃないです!」
夜中、むしろ明け方までといった方が近いだろう時間まで付き合わされたわりに、今のフェリシアは元気がある。それだけ慣れたということか、だったらもう少し続けてもよかっただろうかと、そんなろくでもない考えをグレンが抱いているなどつゆ知らず、フェリシアはグレンの体を無理矢理変えて背中を向かせる。
「ほら、やっぱり見間違いなんかじゃなかった! グレン様これほんとうに痛くないんですか?」
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