先輩とわたしの一週間

新高

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二回目の金曜日

7※

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 自分で自分が嫌になる。なにもこんな時にまで、いやむしろこんな時だからなのか。テンパりすぎての暴投が酷い、酷すぎる。もういっそ泣きたいくらいだ。
 あわあわと狼狽える晴香に対し、葛城は一瞬動揺したもののすぐに落ち着きを取り戻した。今は笑いを堪えるのに必死である。

「せんぱい……!」
「分かってる落ち着け」

 噛み殺しきれない笑いが漏れる。んん、と葛城はわざとらしく咳払いをし、ひとまず大きく息を吐いた。

「もう準備万端ですってわけでもなけりゃ、とりあえず早く終わらせたいとかそう言うのでもなくて、たんに気持ちよすぎてわけ分からん、ってなったんだろ?」

 安定の理解度の高さに晴香は何度も大きく頷いた。今日は自分でも驚く程に快感を拾っている。それに翻弄されすぎてどうしていいのかが分からない。体はまだ葛城を受け入れられる状態ではない、というのはどうにか理解している。それでももう耐えられなかったのだ。与えられる快楽に。そして、葛城から向けられる視線の熱さに。

「……せんぱいのかおがむり」
「言いたい事はなんとなく分かるがそれにしたって言葉を選べ。さすがに傷つくぞ」
「だって先輩の色気が! 過去最高に!! 無理!」
「褒められてんだか貶されてんだか」
「動く十八禁ーっ!!」

 葛城への想いを自覚した事で感度も上がったのだろう。そこへさらに、これまで抑えていたのを解放して葛城が欲をぶつけてくるものだからひとたまりも無かった。完全に男の色気に晴香は敗北し、早々に白旗を揚げるしかない。
 しかたねえなあ、と口調こそ呆れているがどこか楽しそうに葛城は晴香の体を引き起こす。体の向きを反転させ、後ろから抱き込む様にして自分の膝の間に座らせた。

「え、先輩?」
「お前が俺の顔が無理って言うからなあ」
「せんぱ、ッ、んんっ!!」

 葛城の両腕が前に伸びる。晴香の腕を上から押さえつけ動きを封じると、そのままやわやわと胸を揉みしだく。晴香は身を捩るが逃げられるわけもなく、与えられる快楽に次第に飲み込まれていく。

「これなら俺の顔を見なくて済むだろ?」

 そんな問題じゃなくて、と喉まで出かかった言葉はしかし甘い啼き声にしかならない。カリカリと爪の先で先端を弄られると、強烈なまでの快感が全身を駆け抜けた。一切触れられていない脚の間までもが反応を示し、それがまた晴香の羞恥を煽る。

「あッ、ふ、……」

 知らず擦り合わせていた太股に葛城が手を伸ばす。軽く肌を撫でながら脚の間を割り開き、そのまま付け根へと動いて行く。

「ぁあああッ!?」

 下着越しに秘所を掌で覆われ、そして軽く揺すられる。それと同時に内側に折り込んだ親指で花芯をグ、と押され晴香は背中を反らせた。

「よく濡れてる」

 耳元で囁かれ、さらなる羞恥に晴香はイヤイヤと首を横に振る。止めて欲しいわけではないけれど、少しだけ待ってください、それかせめて手加減を、と訴えたいがそれもままならない。口を開こうとすれば出るのは喘ぐ声だけだ。それが恥ずかしくて唇を噛むと当然言葉は出せず、晴香の願いはどうしたって葛城に伝わらない。

 いやでもこれ絶対先輩わかってやってる……! そう確信して首を横に動かすと葛城の視線とかち合った。ニヤリと笑う葛城の姿にやっぱりそうじゃん、と晴香は羞恥を怒りにすり替える。その勢いでどうにか制止の声を上げようとすれば、それを見計らったかの様に葛城の指が下着をずり動かし中へと入ってきた。

 指先に蜜を纏わせ花弁をぐちゅぐちゅと掻き乱すと、それに合わせて晴香の声も断続的に上がる。胸と秘所、感じる場所を二カ所同時に責められては晴香に為す術などあるはずもない。肌を赤く染め、それでもなんとか快楽に押し流されるのを最後の一歩で耐えようとすると、ダメ押しとばかりに葛城の指が花弁を開き奥へと入ってきた。

「ぃッ……ああああっっ!!」
「中指だけならだいぶすんなり入るようになったな」
「ゃ、あ……っ、せんぱい、これ……むり……ッ!」
「ここをほぐしておかないと先に進めないだろ。ってか気持ちいいのを我慢するな、そのまま素直に感じてろ」
「だ……ってぇ……」
「ほら、もう一本入れるぞ」

 中指に添う様にして人差し指が増え、さらに晴香のナカを掻き混ぜる。それと同時に胸の先もキュっと摘ままれ捏ね回されると、晴香は一際大きく啼き声を上げた。

「いっしょ、やッ、だめ、せんぱッ……あッ、ふ、んッ……んんッ!!」
「だから我慢するなって。声も出せ……そうじゃないとちゃんと気持ちよくなれなくて、結局お前が辛くなるだけだ」

 そう言われた所で即座に分かりましたと答えられるはずもない。強すぎる快楽に晴香は目の端から涙を零す。葛城はそれを舐め取るとそのまま晴香の唇を塞いだ。
 背中から抱き締められた状態で腔内を舌で、胸と秘所をそれぞれ指で、と三カ所一気に責められる。あげく脚まで絡め取られており、先程と同じく快感を逃す術を封じられ晴香は一気に高みに押し上げられた。下腹部に力が入り、秘所が何度も葛城の指を締め付ける。その反応で晴香が達したのは分かっているだろうに、それでも葛城の指も舌も動きを止めない。それにより晴香はいつまでたっても快楽の頂点から降りられず、ただひたすら葛城の腕の中で震える事しかできなかった。



 ズルリと指が引き抜かれる感覚に晴香は意識を取り戻した。背中にもひんやりとしたシーツの感触があり、いつの間にか仰向けに寝かされている。ぼんやりとしたまま視線を動かせば、葛城が自分の指に舌を這わせている姿が目に入った。傍目から見ても濡れそぼった指二本。それはつい先程まで自分のナカで蠢いていた物ではなかっただろうか。
 飛び出そうになった叫びをどうにか飲み込むと喉が大きな音を立てた。その音に葛城は晴香が目覚めた事に気付く。薄く笑みを浮かべる姿がとても艶やかで、そして腹立たしくて堪らない。

「軽く飛んでたみたいだけど大丈夫か?」

 だってあんなにされたら、とか、いくらなんでももう少し手加減してくれたって、などと言いたい事は山ほどあれど、どれも全部羞恥の塊となって自分に返ってくるので晴香は無言で頷くだけに止まる。目付きが鋭くなるのはまあ仕方が無い。

「……お前これで終わりって思ってるっぽいけどまだだからな?」

 え、と晴香が思う間もなく葛城が身を沈める。晴香の両足を持ち上げ左右に大きく広げるとそのまま顔を脚の付け根へ埋めた。

「やああああッ!!」

 脚を広げた腕は今度は晴香の腰に回り、上へ逃げようとするのを阻害する。舌で花弁をなぞりながらゆっくりと奥へ進む。蜜を掬う様に舌先を動かし、ナカから溢れてきた蜜を音を立てて啜ると、その音にまた晴香の体は反応し、蜜を零しながら葛城の舌を締め付けてしまう。
 最早声を抑える事などできない。晴香は短い喘ぎを立て続けに幾度も上げる。葛城は舌の代わりに指を二本入れ、晴香の声に合わせる様に指を動かす。晴香がナカで感じそうな場所を探りつつ、徐々に指を広げて入り口を解していく。蜜をたっぷり絡めた舌先で花芯を舐めると、晴香はより一層の反応を示した。啜り泣きにも聞こえる喘ぎ声に、葛城の欲は限界まで刺激されるが、それでもまだ駄目だと懸命に己に言い聞かせ、ひたすら晴香を解す事に専念する。

「気持ちいいなら口にしろ。その方がラクになる」

 溢れる蜜の量に合わせ三本目の指が入った。圧迫感に少しばかり身を固くしたものの、すぐにまた快楽に晴香の体が揺れる。
 もうずっと気持ちいいのが続いていて、それが何故だかとても辛い。気持ちよすぎて辛いなんて。

 先輩の言う通り、口にしたらラクになれるのだろうか――

 熱に浮かされた視界で葛城を見れば、言ってみろと目が命じている。先輩が言うならそうなんだな、と晴香はゆっくりと口を開いた。

「……きもち、い、い……で、す」

 喘ぐ合間に零れた声は小さな物であったけれど、葛城の鼓膜を揺らすには充分だった。

「今からもっと気持ちよくするから、その時はちゃんと言ってくれ」

 これ以上、と晴香は葛城の言葉に驚くがすぐさまそれを実感する。三本の指がバラバラに動いて新たな刺激が生まれる。その内の一本は花芯を内側から外へ向けて押す様に動き、それを今度は舌先が外から内へを押さえながら舐めては吸い付く。内と外、両方から与えられる快感はこれまでと比べようもなく、晴香は腰から背中にかけて大きく体を反らせた。

 一度口にしたことで「きもちいい」という言葉も止まらない。喘ぎ、啼き、幾度も絶頂を迎えながらも同じ言葉を繰り返せば、一際強く花芯を吸い付けられた。きつく閉じた瞼の裏がチカチカと点滅する。全身を仰け反らせた暫し硬直するが、次の瞬間糸が切れた様に晴香の体はベッドに沈んだ。


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