天才の天才による天才のための異世界

野良子猫

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疑問

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 ナトリアから事情を聞いた和也とフランは二クスの家に押しかけていた。

「なんで家にいるんだ?」

「カズヤさんどう思います?」

「ナトリアの過去のことか?」

「聞けよ!! なんで家なんだよ!」

「お前も関係あるからだよ」

「関係?」

 全く身に覚えのないことに、二クスは困惑した。
 和也はナトリアについて話し、

「それで、そのカストナーを倒しに行くんで二クスも来るんだよ」

「俺、一切関係ないよなそれ」

「おいおい、俺とフランだけじゃ心細いだろ。ナトリアがいるとしてもな」

「あの殺し屋なら一人で大丈夫そうだけどな」

「それは難しいんじゃないかな」

「どうゆうことです? カズヤさん」

「ナトリアの能力なら修行して再挑戦することはできたはずだ。だが、それをせず、協力者を探すことにした」

「つまり、ナトリアさん一人では勝てないということですか?」

「そういうことだろ。だが、今の状態では騎士団に協力を要請することは難しい」

「だから、一度捕まって罪を洗い流そうとした。そういうことか和也?」

「さすが、二クス。あの場にいなっかったのに物分かりが良いな」

「でも、ナトリアさんの罪なら一生牢獄生活ですよ。なんでそこまでして」

「それは、ナトリアも誤算だったんだろ。あいつの性格なら自分の悪評がそこまで公になっているとは知らなっかったとしてもおかしくない」

「自分のことに興味に無さそうですもんね」

「せいぜい数年で出れると思っていたが、実際は無期懲役の結果になったわけだ。出ようと思えば出れるけど、出た場合、今度こそ協力は要請できない」

「それで、そのナトリアが勝てなかった奴に俺たちがどうやって対抗するんだ?」

「それについてだが、フラン。ちょっと調べてほしいことがある」

「それって調べて大丈夫なやつなんですか?」

「生きて帰って来いよ」

「それって危険なやつですよね!?」

「カズヤ、俺はどうしたらいい?」

「二クスは主に戦闘で活躍してもらうから準備しといてくれ」

「了解した」

「じゃ、解散ということで」



 ********************



「……なんで家にいるんだ?」

 突然の出来事に、和也は聞いたようなセリフを口にしてしまう。

「大丈夫……許可はもらった」

 和也が家に戻るとナトリアがいた。
 なぜか、当たり前のように飯を食べ、ベッドで寝転んでいる。

「許可って……ま、いいや。そんなことより聞きたいことがあるんだが」

「……なに?」

「カストナーがお前を生かしておいて得なことってなんかあるのか?」

「いや……ないと思う……でも……何で?」

「おかしいとは思わなかったのか?意識を失ったお前を誰が助けたんだ。普通そこで殺すだろ」

「……確かに」

「つまり、誰かが助けた。もしくは、殺せない理由があった」

 これが、ナトリアの話を聞いて最も疑問に思ってたところだ。
 カストナーにとってのナトリアの利用価値、デービーの妻が知ってしまったという情報。知りたいことは山ほどあるが、そこはフランの報告を待たないと何とも言えない。

「で、お前はこれからどうするんだ?」

「どうするって……ここで……寝るつもり……だけど」

「なん……だと……」


 和也の鼓動は他の人にまで聞こえそうなくらい高まっていた。
 なぜなら、和也のベッドには元殺し屋が居るから……ではない、一人の女性が寝ているからだ。

 ――これは、漫画のような展開になってしまった。俺の後ろのベッドには、立場は何であれ美少女が眠っている。周りが静かなせいで、ナトリアの吐息がはっきりと聞こえてくる。
 
 和也は経験したことのない状況に、寝付くのにかなり時間がかかった。



 ********************



「ちょっと、カズヤー。フランが来てるんだけど……!?」

 リリが和也を呼びに家に入った。そこには衝撃の光景が広がっていた。
 
「……う、ううん、なんだよ……起こすなよ……!?」

 和也が目を覚ますと、前にナトリアがしがみつき、抱き合うようになっていた。
 ナトリアは和也の片腕を掴み、自分の胸元に抱き寄せる。そして、そのまま片腕に足を絡ませた。その態勢はまるで――

「え、ちょっと、イタ、イテデデデデッ!!!!」



 ********************



「いや~驚いたわよ。入ったらカズヤが女の子連れ込んでるんだもん」

「俺も驚いたよ。まさか、朝から腕ひしぎ十字で起こされるとは……」

「ごめん……昔から……寝相が悪くて」

「寝相が悪いいていうか、寝ていても戦える状態だよな」

「一回……起きたら……デービーが傷だらけに……なってた」

「寝るだけでも命懸けだな。で、リリなんか言ってなかったか?」

「なんだったっけ? ここまで出てるんだけど……ま、忘れるってことはそれほど重要じゃなかいみたい」

「重要ですよ!!」

 フランが入ってきた。リリはフランを見て、「あ、思い出した」と手を打つ。

「リリさん酷いですよ! カズヤさんを呼んでくれるっていうから待ってたのに」

「いや~家に入った時のインパクトが強すぎて忘れてたわ」

「仕方ねぇよ。フラン影薄いから」

「もう少し……キャラを……強く」

「なんか僕が悪いみたいになってるんですけど!?」

 フランは和也に頼まれていた調査を報告に来た。
 中に入り、空いている椅子に座る。

「調査の結果、デービーさんの奥さんが知ってしまった情報なんですが、とある武器なんです」

「武器?」

「はい。その武器の名は、マントラの手帳」

「なるほどな、そりゃ知られたくないわけだ」

「意外と驚かないんですね。ていうか知ってたんですか?」

「まあな。クラネデアの宝剣の時の本に書いてあった」

「あの時の読めない本のこと?」

 和也とリリが図書館にいたときにあった、初めて分析の力を使った本だ。

「伝説の道具が記載しているみたいだな」

「そんなことより……マントラの手帳……何?」

「ナトリアは知らないのか。マントラの手帳っていうのは、その手帳に書いたものは存在を消すことができる」

「そんなの……無敵」

「だよな~。もし、探しているならまだマシだが、手に入れてるとしたらヤバイ」

「勝ち目なしですからね」

「ま、その辺の対策は後でするとして、フランもう一つは?」

「それが、ホルスゲインについては何もわからなかったんです」

「ちっ、使えねー」

「命懸けで調べたのに酷い! こんなの、僕も初めてですよ。カストナーについてはいろいろわかってるんですが、ホルスゲインについては、能力、出生、外見すらわからなかったです」

「外見についてはナトリアが知っているとしても、フランがここまで苦戦するとは……」

 フランは情報屋界ではかなり優秀な方だ。そんな彼が、わからないということは、かなりのやり手だ。
 もっとも、本気を出せばそれなりにわかるかもしれないが、これ以上は本格的に命を捨てることになる。

「ナトリア、ホルスゲインについて、知ってることはあるか?」

「会ったのは……一瞬……その時……血が上ってた……一撃でやられたから……能力も」

「そうか」

「でも、なんでデービーさん?の奥さんが手帳について知ってしまったの?」

「いい質問だリリ。だが、俺も知らん」

 ――なんで、デービーの奥さんは手帳について知ってしまったのか?カストナーがナトリアを生かした理由は?ホルスゲインはどんな奴なんだ?っくそ!わからないことが多すぎる

 考え込んでいる和也の手をナトリアはそっと握り、

「……大丈夫……何とかなる」 

 その一言は、和也の心に余裕を作った。

「確かに、わからないことを考え続けても仕方がない。行動に移そう」

 和也は立ち上がり、装備を整える。

「よし、三週間後にここに集合な。フラン、情報収集を引き続き頼む。あと、二クスに伝えといてくれ」

「わかりました」

「私はどうしたらいい?」

「リリは、あまりこの件にかかわらない方が良い。今回は相手が悪すぎる」

「そう。じゃあ、帰った時らナトリアさんの歓迎会でもしようよ。準備しといてあげるから」

「それいいな。頼むわ」

「じゃあみんな、しっかり準備しとけよ」

 

 ********************



「どこに向かってるの?」

「ちょっとな」

 フランたちと別れた後、和也とナトリアはある場所に向かっていた。

「おい、イオン、ちょっといいか?」

「どうしたんだカズヤ……あれ?宝剣売らなかったのか?」

「いろいろあってな」

 和也達は宝剣を鑑定してくれた鍛冶師のイオンに会いに来た。

「で、今回は何の用だ?」

「ちょっと、良い剣を二本買いたいんだけど……」

「そんな立派な剣を持ってるのに?」

「使うのは俺じゃなくて、こっち」

 和也はナトリアを指さし、イオンはナトリアを見る。職業上何人もの剣士を見てきたのもあり、すぐに察した。

「これは……普通の業物じゃ足りないな。よし、最高の剣を打ってやろう。値段は覚悟しとけよ」

 このあと、和也にかなりの値段が突きつけられた。   

 
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