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ここは、どこだ?
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ゆったりとした浮上感の中、ハルトは目を覚ました。
「ここは、どこだ?」
異世界転移にありがちな森の中ではない。
光は満ちているが屋外ですらない。
どこか、文化的な建物の室内で寝ているようだ。
「えーと。通路?」
身体を起こして周囲を見渡すと、ハルトの視界にはパイプと配線で埋め尽くされた通路があった。
どう見ても、工場か何かの中にしか見えない。
「転移失敗で元の地球に戻ってしまったパターン?」
天井全体が発光しているようだが、埋め込み式の電灯だろう。
床も病院などにありがちな、滑り止めの効いたビニールっぽい塗装がされている。
むき出しのパイプと配線があることから病院ではないだろうが、薬品工場だろうか?
ハルトはそういった薬品などを扱う工場では、耐薬のためにこういった加工の床になっていると聞いたことがあった。
「……地球だよなぁ……」
そう呟きながら、ハルトは周囲を見渡した。
ラノベの展開では、異世界転移する予定だったの者が、転移に失敗して地球に戻って来てしまうパターンがある。
その場合、チート能力だけが残って地球で無双するのだが……。
「ファイア!!」
不意に、ハルトは腕を振り上げて叫んでみた。
しかし、何も起こらなかった。
「魔法、使えないのかな?いや、最初に学習しないとダメだって言ってたな」
女神は適正のみで、最初の学習は必要だと言っていた。物語の知識だけで正しく学んでいない今は使えないのだろう。
「そうすると、地球だったら魔法は使えないってこと?なんだよそれ……」
転移失敗で地球に戻ったのなら、魔法を学ぶ機会などないだろう。それでは一生魔法は使えないことになる。
さらばチート……と、ハルトは項垂れた。
「あ!でも他の能力は使えるはず!」
女神に貰ったのは、魔法の力だけじゃない。
それを思い出して他の能力を試そうとした時。
『fghjkl;:@pまか!ghjklのrちゅ!!……』
頭上から降り注ぐように、けたたましい音が響き渡ったのだった。
その音はどこか外国語のようにも聞こえるが、ハルトには意味が分からなかった。
どこかのスピーカーから出ているようで、周囲を見渡しても何もない。
「え?なに?」
『sちおおll;……入者ですね!動かないでください。保護します!抵抗すれば犯罪者と認定して排除行動をおこないます!』
確かに意味が分からない言葉だったなはずなのに、途中から何故か聞き取れ、理解できるようになってきた。
「これ、『翻訳スキル』の効果か?短時間で学習したってことか?スキル、スゲー!」
突然理解できるようになった言葉に、ハルトは興奮する。
彼の想像通り、それは翻訳スキルの効果だった。
最初の数秒だけ聞き取れなかったが、それ以降は日本語と同じように理解できた。
『何を言っているのですか?貴方の言語は登録されていません。当船の標準言語を翻訳インプラントにインストールしてください』
なおも声は響き渡る。
「えーと、これで分かる?」
『言語を確認できました。もー、もっと早く調整してくださいよ』
ハルトが相手の言語を意識して話すと、それは自然と変換されて口から出ていた。
翻訳スキルは聞き取るだけで、話すことも可能になるらしい。たぶん、文字の読み書きもできるのだろう。さすがはチート能力だとハルトは感心した。
『それで、貴方はどなたですか?どうやってこの船に侵入されたのですか?数分前まで、この船の中に貴方の存在は無かったはずです。転送可能距離に別の船の存在も確認できません。シールドも張っているので、突然現れることは不可能なはずです』
「はい?」
なにやらおかしな単語が混ざっていて、ハルトは混乱する。
『所属を教えてください』
「……あのー。その前に……。ここはどこ?貴方は誰?どこから話してる?」
混乱しながらも、ハルトはなんとか質問してみた。
とにかく、せめてどこに転移したのか知らないと考えることもできない。
『頭上を見上げてください』
「?」
言われた通りにハルトが見上げると、そこに小さな球があった。
黄色いビリヤードの球だ。
……いや、よく見ると、ビリヤードの球そっくりだが、色々と違っていた。
ビリヤードの球は空中に浮かばないし、ビリヤードの球はところどころ光ってたりしない。
なにより、書いてある数字が417というのは、ビリヤードではありえない。
『今貴方が見ている物が、私です。私は管理用端末417番、いわゆる一般用複合機です。そして、貴方がいる場所は長距離航海用宇宙船登録番号1433339、ファーライト号の貨物エリアを繋ぐ通路です』
その言葉を聞いて、ハルトは大きく目を見開いた。
「宇宙船……?ファンタジー世界じゃなかったのかよ!!」
その叫びは、むなしく通路に響き渡ったのだった。
「ここは、どこだ?」
異世界転移にありがちな森の中ではない。
光は満ちているが屋外ですらない。
どこか、文化的な建物の室内で寝ているようだ。
「えーと。通路?」
身体を起こして周囲を見渡すと、ハルトの視界にはパイプと配線で埋め尽くされた通路があった。
どう見ても、工場か何かの中にしか見えない。
「転移失敗で元の地球に戻ってしまったパターン?」
天井全体が発光しているようだが、埋め込み式の電灯だろう。
床も病院などにありがちな、滑り止めの効いたビニールっぽい塗装がされている。
むき出しのパイプと配線があることから病院ではないだろうが、薬品工場だろうか?
ハルトはそういった薬品などを扱う工場では、耐薬のためにこういった加工の床になっていると聞いたことがあった。
「……地球だよなぁ……」
そう呟きながら、ハルトは周囲を見渡した。
ラノベの展開では、異世界転移する予定だったの者が、転移に失敗して地球に戻って来てしまうパターンがある。
その場合、チート能力だけが残って地球で無双するのだが……。
「ファイア!!」
不意に、ハルトは腕を振り上げて叫んでみた。
しかし、何も起こらなかった。
「魔法、使えないのかな?いや、最初に学習しないとダメだって言ってたな」
女神は適正のみで、最初の学習は必要だと言っていた。物語の知識だけで正しく学んでいない今は使えないのだろう。
「そうすると、地球だったら魔法は使えないってこと?なんだよそれ……」
転移失敗で地球に戻ったのなら、魔法を学ぶ機会などないだろう。それでは一生魔法は使えないことになる。
さらばチート……と、ハルトは項垂れた。
「あ!でも他の能力は使えるはず!」
女神に貰ったのは、魔法の力だけじゃない。
それを思い出して他の能力を試そうとした時。
『fghjkl;:@pまか!ghjklのrちゅ!!……』
頭上から降り注ぐように、けたたましい音が響き渡ったのだった。
その音はどこか外国語のようにも聞こえるが、ハルトには意味が分からなかった。
どこかのスピーカーから出ているようで、周囲を見渡しても何もない。
「え?なに?」
『sちおおll;……入者ですね!動かないでください。保護します!抵抗すれば犯罪者と認定して排除行動をおこないます!』
確かに意味が分からない言葉だったなはずなのに、途中から何故か聞き取れ、理解できるようになってきた。
「これ、『翻訳スキル』の効果か?短時間で学習したってことか?スキル、スゲー!」
突然理解できるようになった言葉に、ハルトは興奮する。
彼の想像通り、それは翻訳スキルの効果だった。
最初の数秒だけ聞き取れなかったが、それ以降は日本語と同じように理解できた。
『何を言っているのですか?貴方の言語は登録されていません。当船の標準言語を翻訳インプラントにインストールしてください』
なおも声は響き渡る。
「えーと、これで分かる?」
『言語を確認できました。もー、もっと早く調整してくださいよ』
ハルトが相手の言語を意識して話すと、それは自然と変換されて口から出ていた。
翻訳スキルは聞き取るだけで、話すことも可能になるらしい。たぶん、文字の読み書きもできるのだろう。さすがはチート能力だとハルトは感心した。
『それで、貴方はどなたですか?どうやってこの船に侵入されたのですか?数分前まで、この船の中に貴方の存在は無かったはずです。転送可能距離に別の船の存在も確認できません。シールドも張っているので、突然現れることは不可能なはずです』
「はい?」
なにやらおかしな単語が混ざっていて、ハルトは混乱する。
『所属を教えてください』
「……あのー。その前に……。ここはどこ?貴方は誰?どこから話してる?」
混乱しながらも、ハルトはなんとか質問してみた。
とにかく、せめてどこに転移したのか知らないと考えることもできない。
『頭上を見上げてください』
「?」
言われた通りにハルトが見上げると、そこに小さな球があった。
黄色いビリヤードの球だ。
……いや、よく見ると、ビリヤードの球そっくりだが、色々と違っていた。
ビリヤードの球は空中に浮かばないし、ビリヤードの球はところどころ光ってたりしない。
なにより、書いてある数字が417というのは、ビリヤードではありえない。
『今貴方が見ている物が、私です。私は管理用端末417番、いわゆる一般用複合機です。そして、貴方がいる場所は長距離航海用宇宙船登録番号1433339、ファーライト号の貨物エリアを繋ぐ通路です』
その言葉を聞いて、ハルトは大きく目を見開いた。
「宇宙船……?ファンタジー世界じゃなかったのかよ!!」
その叫びは、むなしく通路に響き渡ったのだった。
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