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おっぱいは、どうやったら大っきくなる?
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龍宮の朝は、定時である。
決まった時間に女官たちがやってきて、起こされる。瑛は、たいてい先に目が覚めているのだが。トキは女官が御簾の向こうから声をかけても、なかなか起きない。
「瑛様、トキ様、起床のお時間です」
今日も、女官長のスズキが、しずしずと言う。
怒る時は、めっちゃ怖いのに。
もっと大きな声で言わないと。そう言ったこともあるが、一向に改善されない。仕方がないので、毎朝、瑛がトキを起こしていた。
「トキ! 朝だよ、起きてっ!」
馬乗りになって、浴衣のえりをつかみ、体を揺する。
「起ぉーきーてー!」
ガンガン揺さぶる。
これぐらいやらないと、トキは起きない。今までどうやって起こしていたのか。不思議でならない。
まぶたが開いても、トキはまだボーっとしているので、瑛が腕を引っ張って寝所を出る。トキは子供みたいに、フラフラついて来た。
「おはよう、みんな!」
「おはようございます。瑛様、トキ様」
瑛は、用意されていた桶の水で顔を洗う。素早く顔をふいて、トキを確認する。一度、女官たちの悲鳴に振り返ったら、桶の中に顔を突っ込んで沈んでいたから、油断ができない。トキが無事、顔を洗ったのを見届けるまでが、瑛の役目と言える。
洗顔を終えると、ツナ子やタイ子、他の女官たちにも手伝ってもらいながら、身支度をする。
今日は特に大急ぎで支度を済ませると、瑛はこっそりとトキの着替えをのぞきにいった。注意深く、つい立ての後ろから眺める。
案の定、トキは何かの彫刻のように、あるいは考え込むように固まったまま、椅子に座っている。
「姫様っ」
ハレンチでございますよ。
ツナ子が着物のそでを引っ張る。瑛は「しーっ!」と、唇に人さし指を当てて、黙らせた。トキを担当しているスズキに見つかっては、うるさい。
「トキ様は相変わらず、起きないですねぇ」
「タイ子さん、ハレンチですよ」
後ろから声がしたかと思えば、タイ子とちゃっかりツナ子ものぞいていた。
ようやく着替え終わり、スズキを筆頭に女官たちが出て行った。それを見計らって、瑛はトキに声をかける。
「ねぇ、ねぇ。トキ。ちょっといい?」
一拍、ニ拍と空いて、トキがこちらを見た。
「……なんだ?」
トキは、まだ眠そうな顔をしている。すべては計画通り。
瑛はトキの隙をついて、さっと手を伸ばすと、服の上から胸を揉んだ。メグムに、すごいと聞いてから、気になっていたのだ。
「……おい」
「やっぱり、メグムさんの言った通り」
「メグム? 朝っぱらから、何なんだ。お前」
揉み揉みしている手を、やんわりと払われる。
「ねぇ、トキ。おっぱいって、どうやったら大っきくなるの?」
「なぜ、俺に聞く」
「そりゃ、おいしい野菜を作るには、おいしい野菜を作ってる人に聞くのが当然でしょ? で、どうやったら、大っきくなるの?」
「そのうち、なるんじゃないのか」
「そのうちぃ?」
瑛は、ぶすっと唇を突き出して、トキに詰め寄る。
「そのうちって、いつ? あたし、十六なのに、全然、大っきくならないんだけど! トキより、全然、ないんだけど! いくらなんでも、断崖絶壁っておかしくない?」
「あのな。そもそも、そういうのは普通、同性に聞くもんだろうが」
「あー、うん。それは、そうなんだけど。ずっと、気になってたし、確かめたかったんだよね」
「確かめる?」
「メグムさんが、言ってたでしょ。トキは脱いだらスゴいって。それで、確かめて、スゴかったから、トキにも聞いてみようって」
「……そう、か」
トキが、呆れたような顔でうなずく。
寝ぼけているところへ、ちょっとやりすぎたかな。そう思いつつ、気になっていたことを確かめられたので、瑛は満足だった。
「じゃあ、ちょっと、みんなに聞いてくるね」
瑛は部屋を出ると、控えの間にいたツナ子とタイ子の胸を、順番に揉んでいった。そして、キャーキャー叫ぶ彼女たちに「どうやったら、おっぱいは大っきくなるの?」と尋ねたのだった。
その日一日、そんなことを繰り返した瑛が、メグムに呼び出されたのは、翌日のこと。
決まった時間に女官たちがやってきて、起こされる。瑛は、たいてい先に目が覚めているのだが。トキは女官が御簾の向こうから声をかけても、なかなか起きない。
「瑛様、トキ様、起床のお時間です」
今日も、女官長のスズキが、しずしずと言う。
怒る時は、めっちゃ怖いのに。
もっと大きな声で言わないと。そう言ったこともあるが、一向に改善されない。仕方がないので、毎朝、瑛がトキを起こしていた。
「トキ! 朝だよ、起きてっ!」
馬乗りになって、浴衣のえりをつかみ、体を揺する。
「起ぉーきーてー!」
ガンガン揺さぶる。
これぐらいやらないと、トキは起きない。今までどうやって起こしていたのか。不思議でならない。
まぶたが開いても、トキはまだボーっとしているので、瑛が腕を引っ張って寝所を出る。トキは子供みたいに、フラフラついて来た。
「おはよう、みんな!」
「おはようございます。瑛様、トキ様」
瑛は、用意されていた桶の水で顔を洗う。素早く顔をふいて、トキを確認する。一度、女官たちの悲鳴に振り返ったら、桶の中に顔を突っ込んで沈んでいたから、油断ができない。トキが無事、顔を洗ったのを見届けるまでが、瑛の役目と言える。
洗顔を終えると、ツナ子やタイ子、他の女官たちにも手伝ってもらいながら、身支度をする。
今日は特に大急ぎで支度を済ませると、瑛はこっそりとトキの着替えをのぞきにいった。注意深く、つい立ての後ろから眺める。
案の定、トキは何かの彫刻のように、あるいは考え込むように固まったまま、椅子に座っている。
「姫様っ」
ハレンチでございますよ。
ツナ子が着物のそでを引っ張る。瑛は「しーっ!」と、唇に人さし指を当てて、黙らせた。トキを担当しているスズキに見つかっては、うるさい。
「トキ様は相変わらず、起きないですねぇ」
「タイ子さん、ハレンチですよ」
後ろから声がしたかと思えば、タイ子とちゃっかりツナ子ものぞいていた。
ようやく着替え終わり、スズキを筆頭に女官たちが出て行った。それを見計らって、瑛はトキに声をかける。
「ねぇ、ねぇ。トキ。ちょっといい?」
一拍、ニ拍と空いて、トキがこちらを見た。
「……なんだ?」
トキは、まだ眠そうな顔をしている。すべては計画通り。
瑛はトキの隙をついて、さっと手を伸ばすと、服の上から胸を揉んだ。メグムに、すごいと聞いてから、気になっていたのだ。
「……おい」
「やっぱり、メグムさんの言った通り」
「メグム? 朝っぱらから、何なんだ。お前」
揉み揉みしている手を、やんわりと払われる。
「ねぇ、トキ。おっぱいって、どうやったら大っきくなるの?」
「なぜ、俺に聞く」
「そりゃ、おいしい野菜を作るには、おいしい野菜を作ってる人に聞くのが当然でしょ? で、どうやったら、大っきくなるの?」
「そのうち、なるんじゃないのか」
「そのうちぃ?」
瑛は、ぶすっと唇を突き出して、トキに詰め寄る。
「そのうちって、いつ? あたし、十六なのに、全然、大っきくならないんだけど! トキより、全然、ないんだけど! いくらなんでも、断崖絶壁っておかしくない?」
「あのな。そもそも、そういうのは普通、同性に聞くもんだろうが」
「あー、うん。それは、そうなんだけど。ずっと、気になってたし、確かめたかったんだよね」
「確かめる?」
「メグムさんが、言ってたでしょ。トキは脱いだらスゴいって。それで、確かめて、スゴかったから、トキにも聞いてみようって」
「……そう、か」
トキが、呆れたような顔でうなずく。
寝ぼけているところへ、ちょっとやりすぎたかな。そう思いつつ、気になっていたことを確かめられたので、瑛は満足だった。
「じゃあ、ちょっと、みんなに聞いてくるね」
瑛は部屋を出ると、控えの間にいたツナ子とタイ子の胸を、順番に揉んでいった。そして、キャーキャー叫ぶ彼女たちに「どうやったら、おっぱいは大っきくなるの?」と尋ねたのだった。
その日一日、そんなことを繰り返した瑛が、メグムに呼び出されたのは、翌日のこと。
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