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聖剣、誰にでも使えれば良いんじゃない?
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《緊急、聖剣対策室》
何故かいつも通りの燕尾服に白衣を纏ってラファエルは熱弁を振るっていた。それを部屋で聞いているのはジェラードと魔王、その他は四天王、、いや三天王だ。
「何故、俺が、、?!」
二人掛けの椅子に一人で座っている、体の大きな魔王は額によく分からない汗をかきながら呟く。
「当たり前なのだ!魔王を倒す聖剣。弱点は魔王自身に聞いた方が早いのだ。だからわざわざ、この場所に呼んだのだ。」
「は、、はあ〈いや、それが分からないんだって。弱点教えろとかさ〉」
魔王の代わりにジェラードが手を挙げて発言をする。
「勇者を探すのではないのですか?」
ジェラードの言葉にラファエルは神妙に頷く。
「本来なら、、な。だがそれが今までの失敗に繋がっている事に気が付いたのだ。聖剣の勇者判定は司法試験以上に難しい、だからトリビュレーションの内容を大幅に引き下げる、、畳の縁ぐらいにした方が良いと思ったのだ」
「無いですよね、それ?!ガバガバですよね!!」
魔王が驚いて大量の唾と共に非難の声を出すがラファエルは沁沁と天井を見上げる。
「聖剣は魔王を倒すアイテム、それで良いではないか?この際《勇者》の資質や聖剣を抜くに当たっての中途半端な背景・ストーリーは要らないのだ。
聖剣があった。抜けた。魔王をぶっ殺した。四コマ漫画程の手軽さが求められる、レンチンや一狩り行こうぜ!!的な魔王討伐の時代なのだ」
「あの~、私の命が簡単に狩られてる感じの話なんですが、、」
バン!
「そこで!聖剣マークIIを作ろうと考えたのだ!!」
「マークII?」
「聖剣をこの際別の聖剣にして、野球でいうところの助っ人外国人的な感じにするのだ、クロマテ・バースを作るのだ」
ラファエルはビリビリと電流を流す聖剣をかかげ柄など気に入らない部分を指差していく。
「ちょっと見た目も古臭いので今の若者にも受けそうなキャッチーな見た目にする。デザインは国一番のデザイナーに頼んで機能性を重視しつつ格好良い見た目にした方が人気が出るのだ。聖剣を持ちたいという若者が殺到するのだ。」
ラファエルは全員に資料を渡していく、中のデザインは数枚あり、各々形が違っていたが中にはこギロチンや見たことのありそうな類似品があった。
「聖剣の種類や性能も色々考えたのだ。【ぼくがかんがえたさいきょうのせいけん】の設定資料を見て欲しいのだ」
各々が厚い本のページを捲る。
「、、聖剣エボランティー、、?」
「一刺しすると全身の穴という穴から血液が吹き出し、想像を絶する痛みに斉間まれながら死に至る聖剣なのだ。これで魔王もイチコロなのだ。」
「ひぇぇ、、。なにこれぇ?!そんなの作るの!これ喰らいたくないんですけど!」
気色悪い色の聖剣のイラストページを捲る一同。次は猛烈に刀身が輝いている聖剣だ。
「それは《アトミック・カリバー》なのだ。危険な原子エネルギーを《アレな力》に変えて、相手の《遺伝子・アストラル体》そのものを壊し再生能力はおろか特殊能力や魔術回路を消失させる──
──恐ろしい魔け、、ゴホンオホン、聖剣なのだ!」
「今絶対魔剣って言おうとしましたよね。と言うか魔剣を無理矢理にでも聖剣だって言えば、聖剣になるわけじゃ無いですから。」
「聖剣も魔剣もほぼ同じなのだ。相違点は持ち手への負担が掛かるか否か、、。聖剣は特殊な加護がその負担を軽減するが、魔剣にはそれがないだけなのだ。この際魔剣を改造して聖剣にする代案もかんがえているのだ」
「しかし、いかに聖剣を作るのですか?加工方法も聞いたことがありませんし【神々が創ったのが聖剣】というのが定説ですが、、」
ジェラードの言葉にラファエルは頷く。
「私に考えがあるのだ。先ず最強の素材のオリハルコーン用意して、今よりも優れた聖剣を作るために──」
魔王軍の一同はラファエルの事を段々と分かってきていた。滅茶苦茶な事をしているようだが、やると決めたら最後、本当にもう一本今よりも強い聖剣が誕生してしまうと。
ジェラードが魔王のハンドサインを読んで頷いた。
「聖剣は一本の限定品では無いのですか?だからこそ人間が勇者を讃えるのです。これでは聖剣の【コピー品】が増えるようで、、」
「、、確かにそうなのだ。今の時代、大量生産品が出回っているのだ。そうした事を私も失念していたのだ。よし、聖剣はこれ一本にしよう。」
「あーラファエル様の独創的な聖剣が、ラファエル様の手で作られるところが見たいな~。」
魔王がゴマを擦りながらラファエルを失敗しそうな方向へと誘導する。少し嬉しそうなラファエル。
「ウムウム。そんなに見たいのか?分かったのだ、鍛冶屋を介さずに私が聖剣を造るのだ。」
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SSR(sacred sword Reportage)版
「人類は滅亡する!!」
ドドン!
「なったんだってー。」
驚愕する一同。
「どっどうしたんだ、ゲバヤシ!人類が滅亡するなんて、あるわけないだろう。」
「いや、この前買い物に行く途中フト思ったんだ、魔王がいるのにいっこうに聖剣を持った勇者が現れないのは、、何かあると、、。ちまたで売っていた波動測定器で調べた結果がこれだ!」
「0!0じゃないか?!」
「つまりこの世界にはもう【聖剣】は存在しないってことだ!!」
ガガーン!
「そんな、どうすればいいんだ」
「フフフっ。」
「どうしたんだ?ゲバヤシ?!」
「忘れてないか?この世界にはまだ最後の希望があることを、、」
固唾を呑んでゲバヤシの言葉に耳を傾ける一同。
ゴクリ。
次回、冴え渡るゲバヤシの頭脳!世界を救う方法に皆が感嘆する。
【続く(続きません)】
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【ジゴクノソコ・サイカソウ】
グツグツグツ。
一面が真っ赤に彩られた場所だった。そこは人が入れる様な場所ではなく、流石の四天王もジェラードも途中でパーティーを離脱し、側にいるのは不死身の魔王だけだった。
「この世界で一番危険な場所、、ここが、、。納得だ。」
「この場所は前に温泉巡りをしていた折り、温泉といえば活火山だと世界のあらゆる活火山を放浪していたとき偶然見つけたのだ」
「温泉って、このマグマみたいな温度じゃ骨すら残りませんよ。私の肌観てくださいよ、カサカサ通り越して黒焦げですよチリチリしてますよ。」
「フム。まぁ確かに体は温まるのだが、殺風景過ぎて飽きるのは事実なのだ。まるで赤外線ヒーターをずっと覗いているみたいなのだ。チカチカなのだ」
「でしょうね」
魔王も流石に限界だとラファエルに言おうとした時ラファエルの足が止まる。
真っ赤な地面にポッカリと白い池の様なモノが口を空けていた。
「な、、何ですかアレ?泉?」
「不用意に近付くと熔けるのだ。一瞬で私の服が無くなったときは驚いたのだが、次に来たとき何か踏ん張ったらバリアが出て服にも影響が無くなったので、踏ん張って気を付けながら私に付いて来るのだ。」
魔王の脳裏にラファエル暗殺がチラつく、超高熱の泉に叩き落とせば流石のラファエルも無事では無いだろう、グフフと悪い顔をする。
ラファエルの真後ろに移動する魔王。
「あぁ、!足底筋膜が歩き過ぎて断裂した────ラファエルさん、よっよけて~!タックル!!!」
「?」
ブクブクジュジュジュ──。
魔王の体がラファエルに近付くにつれて熔けていく、周囲の超高熱に魔王の体はみるみる小さくなり、バターを加熱した様にドロドロになってしまう。
その姿をラファエルはマジマジと見る。
「おお、足底筋膜が断裂すると魔王はドロドロになるのだな。全身のあらゆる筋肉が足底筋膜に違いない。しかしここでドロドロになると不死身でも《思考を停止した吸血鬼》になるかも知れないので、端で休んでいろなのだ」
ビターン!
ラファエルは足元で地面に熔けて張り付いてしまった魔王の体を、張り手で吹き飛ばした。魔王の体は直線に飛んでいき、ドコドゴンと数個の岩に弾き飛ばされた後停止した。
「、、グェブ、、。」
「全く世話が掛かる魔王なのだ。」
魔王の青色吐息を聞いて無事なのを確認すると、ラファエルは再び白い泉に視線を戻して、聖剣を手に取りその中に投げ入れる。
ジジュジュ───!!
、、、
すると泉の中から青色に輝く巨人がザバンと現れる、膨大な魔力を持った大精霊だ。
【アッツーイ!!依代の聖剣が溶けたぁ!まさか神々の炎の中に入れるなんて!!?魔王の野郎、聖剣をこんなところに入れるなんて強行策にでたなぁ、、???って誰?】
「ラファエルなのだ。お前が大精霊か?」
【そうだけど、何で君聖剣をこんなところにぶん投げたの?溶けちゃうよ聖剣がさ、ほらもうドロドロで回収出来ないよ。この精霊王だって、この神々の炎に触れたら大火傷だよ】
「この温度なら、少し温かい位なのだ。」
ポチャバチャバチャ。
ラファエルは白い泉に手を突っ込むとワシャワシャと水面をかき混ぜて、中から虹色に輝く棒状の何かを泉から取り出した。
「取れたのだ」
【取れたのだ、じゃないよ。君の体はどうなってんのさ。、、にしても聖剣が加工前の状態に戻っちゃたよ。どうするのコレ?】
「ふふふっ、これから聖剣マークIIの歴史が始まるのだ。」
【まさか、聖剣を素材に戻して一から作る気?いやいや、無理だって、どうやって加工するのさ。素手じゃ無理だろ。】
「アスファルト舗装用のプレートコンパクターでドドドっと叩けば良いのだ。直ぐにペシャンコなのだ。」
【何それ?とにかく、通常の加工方法じゃ無理、、この剣を加工するには膨大な宇宙規模のエネルギーが───】
グニョングニョン、プルンプルン、ニョニョ。ビタンビタン。
【エぇー!!?】
ラファエルは滅茶苦茶硬いソレをまるでウドンの生地を捏ねる様に引き伸ばす。
ブルリン、ブルリン。
「以外と軟らかいのだ。剣もウドンもコシが命なのだ。聖剣も食べたら美味しいかも知れないのだ。」
【超硬度の金属だからね!噛んだ瞬間歯がボロボロになって総入れ歯になるわ!!!あーあー丁寧に足でも踏んで、、。】
「これだけコシが出れば問題は無いのだ。」
ラファエルは捏ね作業に飽きたのか、剣の形にしようとするが素人の為に剣の形が作れない。そのうちに何かを閃いたのか作ったモノを長細く整形する。その形はー
【、、何その銀色の《枝》みたいなのは?】
「聖剣《ヒノキノボウ》なのだ」
【刃さえ、、ないねぇ、、。】
「刃で切る事を考えているうちは剣に使われているだけなのだ、達人になれば只の木の枝ですら大岩を真っ二つに出来るのだ」
【聖剣を全否定してるからね、その発言。】
「とにかく聖剣を作るには、大精霊がこの内部に入って、旧い神々に祝福を授けてもらわないといけないのだ。さぁ新しい聖剣に入るのだ」
【前の聖剣の方が好きなんだけどな──それに封印されてから数千年、外の世界がどうなったのか観光したいし。大体、僕も好きでこんな狭いなかに封印されてた訳じゃ、フェぶ!】
ラファエルは大精霊の口を片手でムギュリと掴むと、ごつりと無理矢理に聖剣と接触させる。
ムギュー。ムギュギュ!
【イタタぁ!なに?!何で人間が精霊の俺のからだに触れられるの?ちょっあー!!】
ピカー。
無理矢理にズブズブと聖剣に押し込まれる大精霊。
「これでやっと一匹目なのだ、、残りページ数が不味いのだ。6000文字以内にしないといけないのだ!この際旧い神々に余計な説明は省いて、そのまま聖剣に封印すれば、威力も上がって一石二鳥なのだ!」
ドドド。
ラファエルは猛烈に走った。
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《テンクウシンデン・パルテノーン》
力の旧き神《ザギンエフ》
キラーン。空が光る。
「なのだ!」
【えっ?】
ビターン!!
ピカーン。
空中落下の衝撃。そしてラファエルの振り下ろした聖剣に叩き潰され。《ザキンエフ》の体は光ったと同時に聖剣に吸収された。
それを隣で見ていた技の旧き神《ルイガ》
「よしよし、いや違うな。貴様ぁー何をしている!!人間がこの天空城にどうや、ぐば───」
横から聖剣で問答無用で殴られ。ルイガはそのまま掃除機に吸われる様に消える。
ブイーン。
ワーワーワー。
あっという間にパルテノーン内は大混乱に陥る。
「人間が!人間が攻めてきたぞー!!」
ドカドカドカ!
ピカー。ピカー!ピカー。
聖剣に次々封印される旧き神々達。
タッタッタ。
【よく神殿の奥のここまでたどり着いた、強大な力を持った人間よ。この世界の神の中最も強いこのゼウーッスが、相手にな──】
ドゴス。ゴロゴロゴロ、、。
【むおぉ、イタタタァなんだぁこの異常な攻撃力!いてぇ死ぬぅもう一発で死ぬ!助けてぇ神様!!】
バタバタバタ。
吹き飛んで、床で悶絶する最高神。
「むむっおかしいのだ。封印されない?」
【封印?無理無理、無理です。そんな聖剣に神々が十体も二十体も入れるわけ無いですよ~。もう混雑率300%越えてますから!!】
「天井からぶら下がればいけるのだ。」
【どこぞの忍者じゃ無いんですから。】
「フム、なら神の祝福をこの聖剣にするのだ」
ラファエルは銀色のヒノキノボウをゼウーッスにさしだす。
【聖剣?ゴッドスレイヤーではなく?】
「魔剣ではなく、聖剣なのだ。見る目がない最高神なのだ」
【すっすいません。じゃじゃあ祝福しますね。えー説明しますが祝福特性は一度取り付けると外せなくなっていまいます。魔王退治に必要な《不死特効》をつけるだけでよろしいですかね?】
「この際、不死特効以外のステータス効果はMAXにするのだ」
【はははっ、不死特効以外MAXなんて、そんな手持ちの魔力全注入、徹夜確定みたいなこと、、あっはい、させて頂きますね】
*
*
《テキトウナマチ》
朝、小鳥のさえずりが聞こえる寂れた町の大通り。
「──というわけで最強の聖剣が誕生したのだ。早速、第一町人で魔王の試し切りなのだ。」
「魔王退治がゴブリン退治みたいな軽いノリに、、。」
首から下げたプラカードには【私は魔王グルリグルーヴ、敗北を知りたい。勇者よ私を倒せるか?】と書かれてある。
遠くから歩いてくるカップルが四メートルはあろうかというグルリグルーヴを見て驚くが《魔王》がこんなところにいるとは思わず、演し物だと思ったのかこちらを伺う。
「君勇者にならないか?」
「マジ?」
「ちょっとこの聖剣を持ってこの魔王と戦ってみるのだ。」
聖剣を若者の男に差し出す。聖剣の見た目は勿論銀色の《檜の棒》である。
「何これ棍棒じゃない?アハハ超受けるー」
「ダサっ」
「良いから持つのだ。」
無理矢理若い男に握らせ───
ズドドド、ピカピカン!ビリリリ。
前の聖剣よりも激しい電撃に見舞われる男。
「アバババァ」
プシュー。
「おおっラファエル様、最高の選定機能付きにするなんて、まさしく本物の聖剣ですなぁ!」
「、、、。」
祝福がいけなかったのか、素材か、それとも他の何かなのか、、
「本物を造ろうとして、更に凄い本物を造ってしまったのだぁ!!これでは振り出しなのだぁ!自分の才能が怖いのだぁ!ぁぁぁ。」
頭を抱えたラファエルの叫びが辺りに響いたのだった。
チュンチュン。
********************
パルテノーン被害額
防衛機能修理費(空中迎撃システム含む)
5,800,000,000,000ピコ
魔力欠乏症《ゼウーッス・ムキムキ→ゲッソリ》
850,000ピコ
何故かいつも通りの燕尾服に白衣を纏ってラファエルは熱弁を振るっていた。それを部屋で聞いているのはジェラードと魔王、その他は四天王、、いや三天王だ。
「何故、俺が、、?!」
二人掛けの椅子に一人で座っている、体の大きな魔王は額によく分からない汗をかきながら呟く。
「当たり前なのだ!魔王を倒す聖剣。弱点は魔王自身に聞いた方が早いのだ。だからわざわざ、この場所に呼んだのだ。」
「は、、はあ〈いや、それが分からないんだって。弱点教えろとかさ〉」
魔王の代わりにジェラードが手を挙げて発言をする。
「勇者を探すのではないのですか?」
ジェラードの言葉にラファエルは神妙に頷く。
「本来なら、、な。だがそれが今までの失敗に繋がっている事に気が付いたのだ。聖剣の勇者判定は司法試験以上に難しい、だからトリビュレーションの内容を大幅に引き下げる、、畳の縁ぐらいにした方が良いと思ったのだ」
「無いですよね、それ?!ガバガバですよね!!」
魔王が驚いて大量の唾と共に非難の声を出すがラファエルは沁沁と天井を見上げる。
「聖剣は魔王を倒すアイテム、それで良いではないか?この際《勇者》の資質や聖剣を抜くに当たっての中途半端な背景・ストーリーは要らないのだ。
聖剣があった。抜けた。魔王をぶっ殺した。四コマ漫画程の手軽さが求められる、レンチンや一狩り行こうぜ!!的な魔王討伐の時代なのだ」
「あの~、私の命が簡単に狩られてる感じの話なんですが、、」
バン!
「そこで!聖剣マークIIを作ろうと考えたのだ!!」
「マークII?」
「聖剣をこの際別の聖剣にして、野球でいうところの助っ人外国人的な感じにするのだ、クロマテ・バースを作るのだ」
ラファエルはビリビリと電流を流す聖剣をかかげ柄など気に入らない部分を指差していく。
「ちょっと見た目も古臭いので今の若者にも受けそうなキャッチーな見た目にする。デザインは国一番のデザイナーに頼んで機能性を重視しつつ格好良い見た目にした方が人気が出るのだ。聖剣を持ちたいという若者が殺到するのだ。」
ラファエルは全員に資料を渡していく、中のデザインは数枚あり、各々形が違っていたが中にはこギロチンや見たことのありそうな類似品があった。
「聖剣の種類や性能も色々考えたのだ。【ぼくがかんがえたさいきょうのせいけん】の設定資料を見て欲しいのだ」
各々が厚い本のページを捲る。
「、、聖剣エボランティー、、?」
「一刺しすると全身の穴という穴から血液が吹き出し、想像を絶する痛みに斉間まれながら死に至る聖剣なのだ。これで魔王もイチコロなのだ。」
「ひぇぇ、、。なにこれぇ?!そんなの作るの!これ喰らいたくないんですけど!」
気色悪い色の聖剣のイラストページを捲る一同。次は猛烈に刀身が輝いている聖剣だ。
「それは《アトミック・カリバー》なのだ。危険な原子エネルギーを《アレな力》に変えて、相手の《遺伝子・アストラル体》そのものを壊し再生能力はおろか特殊能力や魔術回路を消失させる──
──恐ろしい魔け、、ゴホンオホン、聖剣なのだ!」
「今絶対魔剣って言おうとしましたよね。と言うか魔剣を無理矢理にでも聖剣だって言えば、聖剣になるわけじゃ無いですから。」
「聖剣も魔剣もほぼ同じなのだ。相違点は持ち手への負担が掛かるか否か、、。聖剣は特殊な加護がその負担を軽減するが、魔剣にはそれがないだけなのだ。この際魔剣を改造して聖剣にする代案もかんがえているのだ」
「しかし、いかに聖剣を作るのですか?加工方法も聞いたことがありませんし【神々が創ったのが聖剣】というのが定説ですが、、」
ジェラードの言葉にラファエルは頷く。
「私に考えがあるのだ。先ず最強の素材のオリハルコーン用意して、今よりも優れた聖剣を作るために──」
魔王軍の一同はラファエルの事を段々と分かってきていた。滅茶苦茶な事をしているようだが、やると決めたら最後、本当にもう一本今よりも強い聖剣が誕生してしまうと。
ジェラードが魔王のハンドサインを読んで頷いた。
「聖剣は一本の限定品では無いのですか?だからこそ人間が勇者を讃えるのです。これでは聖剣の【コピー品】が増えるようで、、」
「、、確かにそうなのだ。今の時代、大量生産品が出回っているのだ。そうした事を私も失念していたのだ。よし、聖剣はこれ一本にしよう。」
「あーラファエル様の独創的な聖剣が、ラファエル様の手で作られるところが見たいな~。」
魔王がゴマを擦りながらラファエルを失敗しそうな方向へと誘導する。少し嬉しそうなラファエル。
「ウムウム。そんなに見たいのか?分かったのだ、鍛冶屋を介さずに私が聖剣を造るのだ。」
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SSR(sacred sword Reportage)版
「人類は滅亡する!!」
ドドン!
「なったんだってー。」
驚愕する一同。
「どっどうしたんだ、ゲバヤシ!人類が滅亡するなんて、あるわけないだろう。」
「いや、この前買い物に行く途中フト思ったんだ、魔王がいるのにいっこうに聖剣を持った勇者が現れないのは、、何かあると、、。ちまたで売っていた波動測定器で調べた結果がこれだ!」
「0!0じゃないか?!」
「つまりこの世界にはもう【聖剣】は存在しないってことだ!!」
ガガーン!
「そんな、どうすればいいんだ」
「フフフっ。」
「どうしたんだ?ゲバヤシ?!」
「忘れてないか?この世界にはまだ最後の希望があることを、、」
固唾を呑んでゲバヤシの言葉に耳を傾ける一同。
ゴクリ。
次回、冴え渡るゲバヤシの頭脳!世界を救う方法に皆が感嘆する。
【続く(続きません)】
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【ジゴクノソコ・サイカソウ】
グツグツグツ。
一面が真っ赤に彩られた場所だった。そこは人が入れる様な場所ではなく、流石の四天王もジェラードも途中でパーティーを離脱し、側にいるのは不死身の魔王だけだった。
「この世界で一番危険な場所、、ここが、、。納得だ。」
「この場所は前に温泉巡りをしていた折り、温泉といえば活火山だと世界のあらゆる活火山を放浪していたとき偶然見つけたのだ」
「温泉って、このマグマみたいな温度じゃ骨すら残りませんよ。私の肌観てくださいよ、カサカサ通り越して黒焦げですよチリチリしてますよ。」
「フム。まぁ確かに体は温まるのだが、殺風景過ぎて飽きるのは事実なのだ。まるで赤外線ヒーターをずっと覗いているみたいなのだ。チカチカなのだ」
「でしょうね」
魔王も流石に限界だとラファエルに言おうとした時ラファエルの足が止まる。
真っ赤な地面にポッカリと白い池の様なモノが口を空けていた。
「な、、何ですかアレ?泉?」
「不用意に近付くと熔けるのだ。一瞬で私の服が無くなったときは驚いたのだが、次に来たとき何か踏ん張ったらバリアが出て服にも影響が無くなったので、踏ん張って気を付けながら私に付いて来るのだ。」
魔王の脳裏にラファエル暗殺がチラつく、超高熱の泉に叩き落とせば流石のラファエルも無事では無いだろう、グフフと悪い顔をする。
ラファエルの真後ろに移動する魔王。
「あぁ、!足底筋膜が歩き過ぎて断裂した────ラファエルさん、よっよけて~!タックル!!!」
「?」
ブクブクジュジュジュ──。
魔王の体がラファエルに近付くにつれて熔けていく、周囲の超高熱に魔王の体はみるみる小さくなり、バターを加熱した様にドロドロになってしまう。
その姿をラファエルはマジマジと見る。
「おお、足底筋膜が断裂すると魔王はドロドロになるのだな。全身のあらゆる筋肉が足底筋膜に違いない。しかしここでドロドロになると不死身でも《思考を停止した吸血鬼》になるかも知れないので、端で休んでいろなのだ」
ビターン!
ラファエルは足元で地面に熔けて張り付いてしまった魔王の体を、張り手で吹き飛ばした。魔王の体は直線に飛んでいき、ドコドゴンと数個の岩に弾き飛ばされた後停止した。
「、、グェブ、、。」
「全く世話が掛かる魔王なのだ。」
魔王の青色吐息を聞いて無事なのを確認すると、ラファエルは再び白い泉に視線を戻して、聖剣を手に取りその中に投げ入れる。
ジジュジュ───!!
、、、
すると泉の中から青色に輝く巨人がザバンと現れる、膨大な魔力を持った大精霊だ。
【アッツーイ!!依代の聖剣が溶けたぁ!まさか神々の炎の中に入れるなんて!!?魔王の野郎、聖剣をこんなところに入れるなんて強行策にでたなぁ、、???って誰?】
「ラファエルなのだ。お前が大精霊か?」
【そうだけど、何で君聖剣をこんなところにぶん投げたの?溶けちゃうよ聖剣がさ、ほらもうドロドロで回収出来ないよ。この精霊王だって、この神々の炎に触れたら大火傷だよ】
「この温度なら、少し温かい位なのだ。」
ポチャバチャバチャ。
ラファエルは白い泉に手を突っ込むとワシャワシャと水面をかき混ぜて、中から虹色に輝く棒状の何かを泉から取り出した。
「取れたのだ」
【取れたのだ、じゃないよ。君の体はどうなってんのさ。、、にしても聖剣が加工前の状態に戻っちゃたよ。どうするのコレ?】
「ふふふっ、これから聖剣マークIIの歴史が始まるのだ。」
【まさか、聖剣を素材に戻して一から作る気?いやいや、無理だって、どうやって加工するのさ。素手じゃ無理だろ。】
「アスファルト舗装用のプレートコンパクターでドドドっと叩けば良いのだ。直ぐにペシャンコなのだ。」
【何それ?とにかく、通常の加工方法じゃ無理、、この剣を加工するには膨大な宇宙規模のエネルギーが───】
グニョングニョン、プルンプルン、ニョニョ。ビタンビタン。
【エぇー!!?】
ラファエルは滅茶苦茶硬いソレをまるでウドンの生地を捏ねる様に引き伸ばす。
ブルリン、ブルリン。
「以外と軟らかいのだ。剣もウドンもコシが命なのだ。聖剣も食べたら美味しいかも知れないのだ。」
【超硬度の金属だからね!噛んだ瞬間歯がボロボロになって総入れ歯になるわ!!!あーあー丁寧に足でも踏んで、、。】
「これだけコシが出れば問題は無いのだ。」
ラファエルは捏ね作業に飽きたのか、剣の形にしようとするが素人の為に剣の形が作れない。そのうちに何かを閃いたのか作ったモノを長細く整形する。その形はー
【、、何その銀色の《枝》みたいなのは?】
「聖剣《ヒノキノボウ》なのだ」
【刃さえ、、ないねぇ、、。】
「刃で切る事を考えているうちは剣に使われているだけなのだ、達人になれば只の木の枝ですら大岩を真っ二つに出来るのだ」
【聖剣を全否定してるからね、その発言。】
「とにかく聖剣を作るには、大精霊がこの内部に入って、旧い神々に祝福を授けてもらわないといけないのだ。さぁ新しい聖剣に入るのだ」
【前の聖剣の方が好きなんだけどな──それに封印されてから数千年、外の世界がどうなったのか観光したいし。大体、僕も好きでこんな狭いなかに封印されてた訳じゃ、フェぶ!】
ラファエルは大精霊の口を片手でムギュリと掴むと、ごつりと無理矢理に聖剣と接触させる。
ムギュー。ムギュギュ!
【イタタぁ!なに?!何で人間が精霊の俺のからだに触れられるの?ちょっあー!!】
ピカー。
無理矢理にズブズブと聖剣に押し込まれる大精霊。
「これでやっと一匹目なのだ、、残りページ数が不味いのだ。6000文字以内にしないといけないのだ!この際旧い神々に余計な説明は省いて、そのまま聖剣に封印すれば、威力も上がって一石二鳥なのだ!」
ドドド。
ラファエルは猛烈に走った。
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《テンクウシンデン・パルテノーン》
力の旧き神《ザギンエフ》
キラーン。空が光る。
「なのだ!」
【えっ?】
ビターン!!
ピカーン。
空中落下の衝撃。そしてラファエルの振り下ろした聖剣に叩き潰され。《ザキンエフ》の体は光ったと同時に聖剣に吸収された。
それを隣で見ていた技の旧き神《ルイガ》
「よしよし、いや違うな。貴様ぁー何をしている!!人間がこの天空城にどうや、ぐば───」
横から聖剣で問答無用で殴られ。ルイガはそのまま掃除機に吸われる様に消える。
ブイーン。
ワーワーワー。
あっという間にパルテノーン内は大混乱に陥る。
「人間が!人間が攻めてきたぞー!!」
ドカドカドカ!
ピカー。ピカー!ピカー。
聖剣に次々封印される旧き神々達。
タッタッタ。
【よく神殿の奥のここまでたどり着いた、強大な力を持った人間よ。この世界の神の中最も強いこのゼウーッスが、相手にな──】
ドゴス。ゴロゴロゴロ、、。
【むおぉ、イタタタァなんだぁこの異常な攻撃力!いてぇ死ぬぅもう一発で死ぬ!助けてぇ神様!!】
バタバタバタ。
吹き飛んで、床で悶絶する最高神。
「むむっおかしいのだ。封印されない?」
【封印?無理無理、無理です。そんな聖剣に神々が十体も二十体も入れるわけ無いですよ~。もう混雑率300%越えてますから!!】
「天井からぶら下がればいけるのだ。」
【どこぞの忍者じゃ無いんですから。】
「フム、なら神の祝福をこの聖剣にするのだ」
ラファエルは銀色のヒノキノボウをゼウーッスにさしだす。
【聖剣?ゴッドスレイヤーではなく?】
「魔剣ではなく、聖剣なのだ。見る目がない最高神なのだ」
【すっすいません。じゃじゃあ祝福しますね。えー説明しますが祝福特性は一度取り付けると外せなくなっていまいます。魔王退治に必要な《不死特効》をつけるだけでよろしいですかね?】
「この際、不死特効以外のステータス効果はMAXにするのだ」
【はははっ、不死特効以外MAXなんて、そんな手持ちの魔力全注入、徹夜確定みたいなこと、、あっはい、させて頂きますね】
*
*
《テキトウナマチ》
朝、小鳥のさえずりが聞こえる寂れた町の大通り。
「──というわけで最強の聖剣が誕生したのだ。早速、第一町人で魔王の試し切りなのだ。」
「魔王退治がゴブリン退治みたいな軽いノリに、、。」
首から下げたプラカードには【私は魔王グルリグルーヴ、敗北を知りたい。勇者よ私を倒せるか?】と書かれてある。
遠くから歩いてくるカップルが四メートルはあろうかというグルリグルーヴを見て驚くが《魔王》がこんなところにいるとは思わず、演し物だと思ったのかこちらを伺う。
「君勇者にならないか?」
「マジ?」
「ちょっとこの聖剣を持ってこの魔王と戦ってみるのだ。」
聖剣を若者の男に差し出す。聖剣の見た目は勿論銀色の《檜の棒》である。
「何これ棍棒じゃない?アハハ超受けるー」
「ダサっ」
「良いから持つのだ。」
無理矢理若い男に握らせ───
ズドドド、ピカピカン!ビリリリ。
前の聖剣よりも激しい電撃に見舞われる男。
「アバババァ」
プシュー。
「おおっラファエル様、最高の選定機能付きにするなんて、まさしく本物の聖剣ですなぁ!」
「、、、。」
祝福がいけなかったのか、素材か、それとも他の何かなのか、、
「本物を造ろうとして、更に凄い本物を造ってしまったのだぁ!!これでは振り出しなのだぁ!自分の才能が怖いのだぁ!ぁぁぁ。」
頭を抱えたラファエルの叫びが辺りに響いたのだった。
チュンチュン。
********************
パルテノーン被害額
防衛機能修理費(空中迎撃システム含む)
5,800,000,000,000ピコ
魔力欠乏症《ゼウーッス・ムキムキ→ゲッソリ》
850,000ピコ
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