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レイラの家でごはん
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光の手錠のせいで、
今日はもう逃げられない。
レイラが小さく呟いた。
「……うちに来る? ばばちゃんが夕飯作ってる」
リナは一瞬顔をしかめたけど、 お腹がグーって鳴ってしまって、
「……別にいいけど」
とだけ言った。
リナは魔法の力で透明になった。
ユダヤ人がパレスチナ側に行くのはむっちゃ難しい所もある…
パレスチナの人が住む場所には、エリア A / B / C” という区分けがあって…
• エリアA は、パレスチナ側が「町も道も治安も」守っている場所。
• エリア B は、町の管理はパレスチナ側、でも“警備”はパレスチナとイスラエルが半分ずつ見ている場所。
・ エリアC は、イスラエル側が「全部管理」している場所で、道路や入植地(イスラエル人の住む所)が多い。
リナはイスラエル側からパレスチナ側に行く時いつも魔法の力で透明になる…
しかし、いつ「おい!待て!」とか呼び止められか?心配なのでドキドキするのだった…
レイラの家は、壁の向こうのパレスチナ側。 古い石造りの平屋で、屋上にはオリーブの木が生えている。
玄関を開けると、 スパイスのいい匂いがふわっと広がった。
台所では、 レイラのばばちゃん(おばあちゃん)が、 大きな鉄鍋をガラガラいわせながら笑顔で迎えてくれた。
「いらっしゃい! 今日はムサッハンとファラフェルよ!」
──ムサッハンって?
パレスチナを代表するごちそう。
大きな薄いパン(タブーン)に、 玉ねぎとスーマック(赤い酸っぱいスパイス)で炒めた鶏肉をたっぷりのせて、 松の実をパラパラ。オーブンでカリッと焼いたやつ。
──ファラフェルって?
ひよこ豆をすりつぶしてハーブとスパイスを混ぜ、 丸めてカリッと揚げたコロッケみたいなもの。
タヒーニ(ごまペースト)ソースにつけて食べる。
(実はイスラエルでも同じ料理があって、 リナは「まあ知ってる……」
って顔してるけど、 レイラのばばちゃんの味はちょっと違うスパイスが効いてて、 めっちゃおいしい)
テーブルに座ると、 ばばちゃんがどんどん皿を並べてくれる。
「たくさん食べてね! ケンカしてもお腹は空くでしょ?」
リナはムサッハンを一口食べて、
「………!」
目が丸くなった。
熱々のパンに鶏肉のジューシーさと スーマックの爽やかな酸味が広がって、 思わず「……おいしい」と小さく漏らしちゃった。
レイラがびっくりして見る。 リナは慌てて顔を背ける。
ばばちゃんはニコニコしながら、 ファラフェルをリナの皿に山盛りにする。
「ほらほら、もっと! レイラの友達は私の孫も同然よ」
リナは、
「……友達じゃないです」と小声で言ったけど、 手は止まらなくて、 ファラフェルをパクパク食べ続けてしまう。
レイラも黙って隣で食べながら、 ちらちらリナを見てる。
ごはんが終わって、 ミントティーを飲みながら、 ばばちゃんが優しく言った。
「昔はね、ユダヤの人もアラブの人も 同じテーブルでムサッハン食べてたんだよ」
リナはカップを握ったまま、 なんだか胸がむずむずして、
「……知ってます」とだけ答えた。
レイラが小声で。
「……ばばちゃん、リナのこと知ってるの?」
ばばちゃんはウインク。
「空を泳ぐ魚が教えてくれたよ」
外の庭で、 虹色の魚が一匹、 窓越しにこっそり覗いて、 満足そうに泳いでいった。
リナは
(……なんか、ほっとしちゃってる自分がイヤだ)
と思いながらも、 もう一枚ムサッハンに手を伸ばしていた。
「……うちに来る? ばばちゃんが夕飯作ってる」
リナは一瞬顔をしかめたけど、 お腹がグーって鳴ってしまって、
「……別にいいけど」
とだけ言った。
リナは魔法の力で透明になった。
ユダヤ人がパレスチナ側に行くのはむっちゃ難しい所もある…
パレスチナの人が住む場所には、エリア A / B / C” という区分けがあって…
• エリアA は、パレスチナ側が「町も道も治安も」守っている場所。
• エリア B は、町の管理はパレスチナ側、でも“警備”はパレスチナとイスラエルが半分ずつ見ている場所。
・ エリアC は、イスラエル側が「全部管理」している場所で、道路や入植地(イスラエル人の住む所)が多い。
リナはイスラエル側からパレスチナ側に行く時いつも魔法の力で透明になる…
しかし、いつ「おい!待て!」とか呼び止められか?心配なのでドキドキするのだった…
レイラの家は、壁の向こうのパレスチナ側。 古い石造りの平屋で、屋上にはオリーブの木が生えている。
玄関を開けると、 スパイスのいい匂いがふわっと広がった。
台所では、 レイラのばばちゃん(おばあちゃん)が、 大きな鉄鍋をガラガラいわせながら笑顔で迎えてくれた。
「いらっしゃい! 今日はムサッハンとファラフェルよ!」
──ムサッハンって?
パレスチナを代表するごちそう。
大きな薄いパン(タブーン)に、 玉ねぎとスーマック(赤い酸っぱいスパイス)で炒めた鶏肉をたっぷりのせて、 松の実をパラパラ。オーブンでカリッと焼いたやつ。
──ファラフェルって?
ひよこ豆をすりつぶしてハーブとスパイスを混ぜ、 丸めてカリッと揚げたコロッケみたいなもの。
タヒーニ(ごまペースト)ソースにつけて食べる。
(実はイスラエルでも同じ料理があって、 リナは「まあ知ってる……」
って顔してるけど、 レイラのばばちゃんの味はちょっと違うスパイスが効いてて、 めっちゃおいしい)
テーブルに座ると、 ばばちゃんがどんどん皿を並べてくれる。
「たくさん食べてね! ケンカしてもお腹は空くでしょ?」
リナはムサッハンを一口食べて、
「………!」
目が丸くなった。
熱々のパンに鶏肉のジューシーさと スーマックの爽やかな酸味が広がって、 思わず「……おいしい」と小さく漏らしちゃった。
レイラがびっくりして見る。 リナは慌てて顔を背ける。
ばばちゃんはニコニコしながら、 ファラフェルをリナの皿に山盛りにする。
「ほらほら、もっと! レイラの友達は私の孫も同然よ」
リナは、
「……友達じゃないです」と小声で言ったけど、 手は止まらなくて、 ファラフェルをパクパク食べ続けてしまう。
レイラも黙って隣で食べながら、 ちらちらリナを見てる。
ごはんが終わって、 ミントティーを飲みながら、 ばばちゃんが優しく言った。
「昔はね、ユダヤの人もアラブの人も 同じテーブルでムサッハン食べてたんだよ」
リナはカップを握ったまま、 なんだか胸がむずむずして、
「……知ってます」とだけ答えた。
レイラが小声で。
「……ばばちゃん、リナのこと知ってるの?」
ばばちゃんはウインク。
「空を泳ぐ魚が教えてくれたよ」
外の庭で、 虹色の魚が一匹、 窓越しにこっそり覗いて、 満足そうに泳いでいった。
リナは
(……なんか、ほっとしちゃってる自分がイヤだ)
と思いながらも、 もう一枚ムサッハンに手を伸ばしていた。
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