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とあるインテリヤクザの受難
第1話 とある詐欺師の場合 1
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………………さすがに馬鹿を集めすぎたか、なんてことを考えながら竜崎は気が滅入っていた。今日の仕事もろくでもない。ある古株の幹部の妻が騙されて高い壺を買わされたから犯人を探しだしてこってり絞れ、というものだった。完全に私用の雑用係としてこき使われている状態だが仕事だからやらないわけにもいかないので今日も重い腰を上げる。
時は午後七時、所は倉庫。正しくは以前倉庫として使われていた廃墟。現在は中に何もない箱の状態だ。そこには竜崎を含む数名の若葉会の輩と、ある青年がいた。
「やっと見つけたぜ詐欺師野郎。うちの組に泥塗っといてどう落とし前つけてくれんだ。あ゛あ゛?」
息巻く若葉会の男を制止して竜崎が話を始めた。
「九条とかいったなにーちゃん。まだ若いのにヤクザになんか絡むんじゃねえよ。金返してちょっと痛い目見てくれりゃ逃がしてやっからよ。」
そう、九条と呼ばれたこの男が詐欺を働いた張本人。ヤクザに囲まれても少しも顔色を変えず笑顔を振りまく。
「こんなドラマ見たいなインテリヤクザってほんとにいるんですね!しかもすごい三流感…。」
「なんだとごら!!馬鹿にしてんのか!」
「『気持ちよく騙されてもらう』ってのがモットーなんですよね俺。きっとそちらさんも俺に騙されたとは思ってませんよ。ちょっと優しくて若い男が年増のおばさんと遊んでくれたからお小遣い代わりに壺買ってあげた、くらいにしか思ってないでしょうねー。」
「ふざけんなよ!」
「なめやがって!!」
竜崎の子分たちがまんまと煽られていく。
ここで竜崎の右腕(かつ若葉会で唯一まともな人間)である虎居が口を開いた。
「どうします?竜崎さん。あっちは素直に応じてくれる気配は無いですよ。痛い目見ねーとわかんねーようなら俺がやりますけど。」
「お前が出るまでもねえだろ。なあにいちゃん。」
「はい?なんですか?」
相変わらず九条はニコニコしている。
「俺らもこんなくだらねえことに時間かけるほど暇じゃねーんだ。お前だってそうだろ?ここは一つ協力してくれねえかな。金さえ返してくれればとりあえず俺らは仕事を果たしたことになる。お前も痛い目見ないどころかサツにも捕まらずに済む。一石二鳥だろ。」
「うーん、なかなか魅力的ですけど。それよりも一つお願い聞いてもらえませんか?」
「なんだよ、言ってみろ。」
「貴方を緊縛させてください。インテリヤクザさん。」
時は午後七時、所は倉庫。正しくは以前倉庫として使われていた廃墟。現在は中に何もない箱の状態だ。そこには竜崎を含む数名の若葉会の輩と、ある青年がいた。
「やっと見つけたぜ詐欺師野郎。うちの組に泥塗っといてどう落とし前つけてくれんだ。あ゛あ゛?」
息巻く若葉会の男を制止して竜崎が話を始めた。
「九条とかいったなにーちゃん。まだ若いのにヤクザになんか絡むんじゃねえよ。金返してちょっと痛い目見てくれりゃ逃がしてやっからよ。」
そう、九条と呼ばれたこの男が詐欺を働いた張本人。ヤクザに囲まれても少しも顔色を変えず笑顔を振りまく。
「こんなドラマ見たいなインテリヤクザってほんとにいるんですね!しかもすごい三流感…。」
「なんだとごら!!馬鹿にしてんのか!」
「『気持ちよく騙されてもらう』ってのがモットーなんですよね俺。きっとそちらさんも俺に騙されたとは思ってませんよ。ちょっと優しくて若い男が年増のおばさんと遊んでくれたからお小遣い代わりに壺買ってあげた、くらいにしか思ってないでしょうねー。」
「ふざけんなよ!」
「なめやがって!!」
竜崎の子分たちがまんまと煽られていく。
ここで竜崎の右腕(かつ若葉会で唯一まともな人間)である虎居が口を開いた。
「どうします?竜崎さん。あっちは素直に応じてくれる気配は無いですよ。痛い目見ねーとわかんねーようなら俺がやりますけど。」
「お前が出るまでもねえだろ。なあにいちゃん。」
「はい?なんですか?」
相変わらず九条はニコニコしている。
「俺らもこんなくだらねえことに時間かけるほど暇じゃねーんだ。お前だってそうだろ?ここは一つ協力してくれねえかな。金さえ返してくれればとりあえず俺らは仕事を果たしたことになる。お前も痛い目見ないどころかサツにも捕まらずに済む。一石二鳥だろ。」
「うーん、なかなか魅力的ですけど。それよりも一つお願い聞いてもらえませんか?」
「なんだよ、言ってみろ。」
「貴方を緊縛させてください。インテリヤクザさん。」
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