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とあるインテリヤクザと不良牧師の交錯
第4話 とある教祖の場合 10
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「肩書きは信者、なのかな。でも別に信じてないよ、あの人が言う事。」
「清羊か。」
「知ってるんだ、話が早いな。じゃあ貴方には言ってもいいかな。」
「おそらく大体のことは知ってる。」
「貴方のこと教えてくれたら、この教団について教えてあげるよ。」
「お前のことも教えろ。」
未来は一瞬面食らった顔をしたが、すぐにいつもの無表情に戻った。
「わかったよ。貴方の名前は?」
「辰巳、教会の牧師をしている。」
「また牧師さんか。そう言う人を狙うんだよね、あの人は。」
「数ヶ月前、突然清羊がうちの教会にきた。『他の宗教のことも勉強したい』とか言ってな。そんで薬盛られて、ここに連れてこられた。」
「ふーん。でもそれだけじゃないよね、辰巳さん。」
「は?」
それだけじゃない、とは。辰巳は未来の言葉の真意が見えず、困惑する。
「普段はさ、牧師さんはこの救魂愛我教に洗脳して、牧師さんとこに来てた信者の人もまとめて救魂愛我教の信者にしてるよ。でも貴方は違う。ここに染まってないし、神の体にされてる。」
「そんなこと、俺が聞きてえ。……そういえば清羊が、『意志が強いが、宗教にこだわりがない人間は染まりにくい』っつってたな。」
ははは、と今度は大きな声を上げて笑った。その未来の表情は無邪気で普通の少年のように見えた。
「牧師さんなのに宗教にこだわりないの?そんな人もいるんだね。意志が強いって言うのは何と無くわかるな。」
「なんでこんなことされてるのかは知らねえ。もういいだろ、俺のことは。お前とこの教団のこと聞かせろ」
「……わかったよ。」
未来は少しの間、嫌そうな顔をしたが観念したようにそう言った。
「まぁ、お察しの通り怪しい新興宗教だよ。俺は物心ついた時からこの教団にいる。」
「親が信者なのか?」
「まぁ、そんなところだね。でも多分俺も『宗教にこだわりがない』んだと思う。『意志が強い』とは思えないけど。何年経っても、ここの教えを信じようとは思えなかったな。今でもね。」
「まともってことだろ。」
「……うん。」
未来はそう言うと顔を少し隠した。なんなんだ。
「清羊か。」
「知ってるんだ、話が早いな。じゃあ貴方には言ってもいいかな。」
「おそらく大体のことは知ってる。」
「貴方のこと教えてくれたら、この教団について教えてあげるよ。」
「お前のことも教えろ。」
未来は一瞬面食らった顔をしたが、すぐにいつもの無表情に戻った。
「わかったよ。貴方の名前は?」
「辰巳、教会の牧師をしている。」
「また牧師さんか。そう言う人を狙うんだよね、あの人は。」
「数ヶ月前、突然清羊がうちの教会にきた。『他の宗教のことも勉強したい』とか言ってな。そんで薬盛られて、ここに連れてこられた。」
「ふーん。でもそれだけじゃないよね、辰巳さん。」
「は?」
それだけじゃない、とは。辰巳は未来の言葉の真意が見えず、困惑する。
「普段はさ、牧師さんはこの救魂愛我教に洗脳して、牧師さんとこに来てた信者の人もまとめて救魂愛我教の信者にしてるよ。でも貴方は違う。ここに染まってないし、神の体にされてる。」
「そんなこと、俺が聞きてえ。……そういえば清羊が、『意志が強いが、宗教にこだわりがない人間は染まりにくい』っつってたな。」
ははは、と今度は大きな声を上げて笑った。その未来の表情は無邪気で普通の少年のように見えた。
「牧師さんなのに宗教にこだわりないの?そんな人もいるんだね。意志が強いって言うのは何と無くわかるな。」
「なんでこんなことされてるのかは知らねえ。もういいだろ、俺のことは。お前とこの教団のこと聞かせろ」
「……わかったよ。」
未来は少しの間、嫌そうな顔をしたが観念したようにそう言った。
「まぁ、お察しの通り怪しい新興宗教だよ。俺は物心ついた時からこの教団にいる。」
「親が信者なのか?」
「まぁ、そんなところだね。でも多分俺も『宗教にこだわりがない』んだと思う。『意志が強い』とは思えないけど。何年経っても、ここの教えを信じようとは思えなかったな。今でもね。」
「まともってことだろ。」
「……うん。」
未来はそう言うと顔を少し隠した。なんなんだ。
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