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浜町トゥインクルスパークル
浜町トゥインクルスパークル(2)
しおりを挟む信号が変わるのを待って移動する。
ハルは携帯大幣を巾着から取り出し、ボタンを押してもとに戻した。
シュッと伸びて、巻き付いていた和紙が先端から広がり、淡く輝く。
「下半分だけでいいってことはさ。ひょっとして別に伸ばさなくてもいいとか? もしかして、わさわさがないと、気分が乗らない?」
「……気にしないでください」
意地でも認めません。
携帯大幣を頭上に差し上げれば、きらめく立体が回転しながらゆっくりと上昇してきた。
「へえー、これが噂のナントカ面体?」
「キラキラでござる」
モジャコとジシェは初めて見るのでワクワク。
「大二十面体……」
星のかたちに輝き、内にもそのきらめきを秘めている立体。
その大二十面体は粒子状に弾けた。
光は大気に溶け込んで消えていき、そして——なにも残らなかった。
「あれ……?」
ハルはモジャコと顔を見合わせた。
——と、何かを知らせるように、スマホが短く3回震えた。
「あ……」
ハルは声を上げる。
見れば、アプリの地図が別の画面に切り替わっていた。
銀座線の中で見た、黒い背景に文字だけがびっしり埋まっているものだ。
リグナの額の装身具も、呼応するように碧く淡く明滅する。
ハルは少し考えてから画面上のキーボードを操作した。
文字がスクロールし、何かのリストが表示される。
「実行可能なコマンドとパラメータが増えてる……」
「なんかわからないけど——」
モジャコは身構えた。
「そっちは任せた!」
新大橋通りを挟んだ向こう側、中央分離帯の植込みの中にコルヴェナが出現した。
腕をぐんと伸ばして人さし指を突きつける。
「遅れちゃってごめんなさいねー!!」
(待ってないし……)
(なんでまた、そんなとこに……)
で、信号を無視して渡ってこようとして盛大なクラクションの嵐。
「ちょっと待ってなさいよー!!」
待たなければいけないのだろうか……。
2人を制するように急に前へ出たリグナが、一直線に飛んできた何かを浅い角度で弾き返した。
火花が直線状の残像になって空中を走る。
「わっ!」
「な、なに!?」
振り仰げば、交差点南東の複合ビルの屋上に人影が見えた。
ロケットランチャーを肩に担いでいる。
「デッサでござる!!」
そのデッサは、ロケットランチャーを背中に戻すと、右腕から何かを分離した。
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