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浜町トゥインクルスパークル
浜町トゥインクルスパークル(3)
しおりを挟むハルにしろモジャコにしろ、その方面にはまったく明るくない。
が、それは巨大なライフルの雰囲気を強烈に醸し出していて、しかもその銃口が真っすぐ自分たちを狙っているのなら、実際にそうであるのかどうかなんて些細な問題だ。
「ええーっ!!」
ハルは悲鳴を上げた。
連続して光弾が飛んでくる。
リグナは緑道の白いアーチを足がかりに西側のビルの上へ。
そして、さらに高いビルへと跳び移る。
リグナを外した光弾がビルの外壁を破壊する。
「あっちはリグナに任せよう!」
モジャコはジシェを持ち上げ、ハルの頭の上に移した。
「ぬ!?」
「あのビリビリはさすがにやばそうだからな!」
それはともかく、頭の上でなければいけないのだろうか——?
ハルは多少疑問である。
青信号を渡ってきたコルヴェナは、右腕と左脚に、半透明のガントレットとブーツを実体化させた。
ブーツにはガーネット色の電撃が迸る。
「お待たせ!」
ゴーグルが形成されるのを待たずに、コルヴェナは攻撃を仕掛けてきた。
モジャコはバク転でよける。
コルヴェナの動きは速い。
そのまま身を躱していく。
視線の端に紅い光跡が残る。
「ふふっ! さすがは我が宿命のライバル!!」
(光栄なのかな? それにしても、こいつ、ミコのスマホが目的だったんじゃないのか……?)
モジャコは軽く身をかがめ、流れのままに相手の力をそらした。
コルヴェナはそのままの勢いで飛ばされる。
しかし、空中で重心を入れ替え、足から着地すると、膝をバネのように使って再び向かってきた。
「それはもう見極めましてよ!」
身を低くしたまま、真下からえぐるように殴りかかる。
ハルは画面を確認しながら、追加されたコマンドとパラメータを入力していく。
画面には新しい情報が表示された。
声に出して読み上げれば、それはこう指示していた——。
彼女の背面拡張コンソールは開放された。
3枚のカードを挿入すれば、彼女の能力は解き放たれるだろう。
「ぬ、そういうことだったでござるか!」
ジシェはハルの頭の上から覗き込んだ。
「さっそくあのカードを入れるでござる!」
「……」
ハルは言葉のとおりには受け取れない。
もしリグナが味方でないのなら、敵に強力な武器を与えることになるわけだから。
それどころか、むしろ、リグナはそのために味方を装っていたのだとしたら——?
「ぬぬっ! ミコ殿、モジャコ殿がっ!」
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