新宿アイル

一ノ宮ガユウ

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浜町トゥインクルスパークル

浜町トゥインクルスパークル(4)

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 速さはそのままに、コルヴェナはモジャコに向かって突っ込んできた。

 かわし、流し、そしていなす——が、たまらず右からのハイキックをガードすると、モジャコは全身に電流が走ったような痛みを覚えた。

(力が抜ける……!)

 モジャコは反射的に相手の腕をからって跳び上がり、両足をコルヴェナの首に引っかけた。

「な……!」

 腕をロックしたまま振り飛ばす。
 なすすべもなくコルヴェナは地面を転がった。

 もっとも、モジャコも逃れるので精いっぱいだった。
 肩から先、右腕がしびれてまったく感覚がない。

(さて、どうする……)

 モジャコは思案する。

 コルヴェナはゆっくりと立ち上がった。
 口の中を切ったのか、唇の端から血が流れている。
 それを左手の甲でぬぐってから、ゴーグルの向こうで信じられないとばかりに目を見開いた。

「……」
(ん——?)


 次の瞬間、コルヴェナは急速にモジャコの間合いに入ると、猛烈なスピードで攻撃を繰り出した。

(こいつ、ひとが変わった……!?)

 動きがまったく読めない。
 残った左腕だけではガードし切れず、どんどん追い詰められる。
 白いアーチをくぐってモジャコは緑道に逃げ込んだ。

「ミコ殿!!」

 ジシェは悲鳴を上げた。

「う、うーん……」

 ハルはその場で足踏みしてから追いかけるしかない。
 緑のトンネルがつくる光と影の中を走りながら、ハルは画面の表示を再確認する。


 その背面拡張コンソールは開放された。
 3枚のカードを挿入すれば、その能力は解き放たれるだろう。


「……?」

 どこか違和感を感じるが、考えている余裕もない。

 リグナとデッサは、ビルの屋上を跳び移りながら攻防を続ける。

「『次世代型ルドゥフレーデ』。なぜ、『次世代型』などと呼ばれながら試作だけに終わったのか?」

 攻撃の手を休めずにデッサは問いかける。

「それはすべてが中途半端だったからにほかならない。戦闘能力、演算・記憶・制御能力、耐久性、そのすべてにおいてだ!」
「……」

 リグナは答えない。
 光弾をかわしながら、相手の間合いに入り込む隙を探る。

 外れた光弾が背後の建物の外壁に線状に着弾し、一部は空に向かって飛び去る。

「油断したことは認めよう。だが、けっきょく貴様にできるのは不意討ちくらいなものだ! もとの能力が失敗作のものであるのなら、解放したところでそれだけだということだ——!!」

 緑の回廊はしばらく続いたあと、小さな交差点をはさみ、さらに向こうまでつながっていた。

「どっち……!?」

 息を切らせ、ハルは左右を見回した。

「あっちだ……!」
「ぬおっ!」

 横切る路地を東方向へ。
 ハルの長い黒髪にしがみついたジシェは振り回される。
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