新宿アイル

一ノ宮ガユウ

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広尾デリヴァランス

広尾デリヴァランス(6)

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 光弾が襲いかかる。

 リグナは、広げた両手を、ただ体の前に構えるしかない。
 空間がれるような力が渦巻き、リグナは光に包まれる。

(ま……間に合わなかった……?)

 光が暴走する——が。

 その光の中からリグナは飛び出した。
 向かってくる光弾を、片手で平然と左右に弾き飛ばし、左脚から不思議な形のつるぎを分離した。

「なんだと!?」

 スピードはそのままに、リグナは、デッサのライフルに剣を振り降ろした。
 刃はその武骨な重火器を一刀両断する。

「ちっ!」

 舌打ちして、デッサは上流側へ跳び退く。
 暴発しようとするライフルを投げ捨て、背中のロケットランチャーを肩に担ぎ、トリガーを引く。

 が、リグナは気にかけることもなく突き進んできた。
 スパークする光弾を剣で切り刻む。

 デッサは上空へ逃げ、真下に照準を合わせた。

「いない——!?」
「遅い」

 背後に回り込んだリグナが蹴り落とす。
 デッサは高台の広場へ一直線に突っ込んだ。

「ふ……ふざけるなっ!!」

 土埃のなか立ち上がって、デッサはリグナの姿を探した。

「く、くそっ、どこだっ!?」
「遅いといった」
「……!!」

 背後から声がする。
 そして、気づいたところでもう遅い。

 真下から蹴り上げられ、自分の意思とは関係なしに、デッサは空へ飛ばされた。

 リグナは、右脚から分離したクロイツェルを巨大なマシンガンに変形し、軽々と持ち上げ、銃口を真上に向けた。
 無数の光弾が襲う。

 最後に、同じ高さに跳び上がったリグナは、振りかぶって強烈な回し蹴りを叩き込んだ。
 一直線に飛ばされたデッサは公園の外、道路のアスファルトに激突した。

「あ……」

 コルヴェナは呆然とその軌跡を見つめた。
 その隙に、モジャコはメモリカードを持った手を蹴り上げた。

「な……!」
「ジシェ!」
「のーん」

 ハルにぶん投げられたジシェは、それをつかみ取ってモジャコの頭の上に着地した。

「で——」

 周辺は各国の大使館が集まるエリアであり、すでにサイレンやら何やらが騒がしい。
 というわけで——。

 モジャコはコルヴェナの腕を取った。

「あとは任せたっ!」

 斜面の下の池に向かって、コルヴェナを力いっぱい投げ飛ばす。

「え? え゙え゙ーっ!?」
(せっかく乾いたのに悪いけど……)

 ぼっちゃーん。


 あり栖川すがわのみや記念公園は、南西の入口がかなめだとしたら、右手の南部坂と左手の木下坂にはさまれた扇形をしている。

 その木下坂へ抜ける小さな出口を、ハルたちは飛び出した。
 坂を少し下って歩道の柵を跳び越え、右手の小路へ。

 閑静な住宅地の中を駆け抜け、がいえん西にし通りに躍り出る。

 狭い歩道を人を縫って走れば、広尾駅の3番出口。
 階段を駆け下り、西麻布方面と書かれた改札口を通り抜け、そこでようやく立ち止まった。
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