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東京トラム
東京トラム(3)
しおりを挟む「順番に回ってみるか?」
モジャコの問いにハルは思案した。
答えは、桜橋、霜降橋、そして泪橋。
「この3つから行ってみる。想いを受け止めてくれる、優しい響きの言葉だから」
いちばん近いのは泪橋。
松が谷の秋葉神社から見ると、北東へ直線距離で2キロ弱。
日比谷線で入谷駅から三ノ輪駅まで戻ることになる。
❖ ❖ ❖ ❖ ❖
9つの〈追憶のカケラ〉。
【1つ目▶小星形十二面体:朝顔の花のカード】
橋の名前を残したのは菊屋橋停留場、現在の菊屋橋交差点。
ここには、神田の須田町から万世橋、上野駅前を経由し、浅草方面へ向かう24系統と30系統が東西に、31系統が南北に通って交差していた。
菊屋橋から先、24系統は隅田川を吾妻橋で渡り、北十間川に沿って本所吾妻橋、業平橋、十間橋を経由して福神橋まで。
30系統は、本所吾妻橋で分かれ、言問橋を経由して東向島三丁目まで。
【2つ目▶大星形十二面体:桜の花のカード】
橋の名前を残したのは三原橋停留場、現在の三原橋交差点。
ここには、それぞれ中目黒、渋谷駅前、新宿駅前から桜田門、数寄屋橋を経由して築地方面へ向かう8系統、9系統、11系統が東西に通っていた。
8系統は、恵比寿駅前を経由し、渋谷橋から赤羽橋まで渋谷川・古川に沿って東へ進み、築地まで。
9系統は、青山を通り抜け、六本木を経由して8系統に合流、築地からはさらに桜橋、水天宮前を経由して浜町中ノ橋まで。
11系統は、四谷と麹町を通り抜けて8系統と合流、築地からは勝鬨橋を経由して月島まで。
【3つ目▶大十二面体:銀杏の葉のカード】
橋の名前を残したのは今川橋停留場、現在の今川橋交差点。
日本橋と万世橋を経由する1系統、19系統、40系統が南北に通っていた。
1系統は、品川駅前から金杉橋、新橋、京橋、日本橋、万世橋を経由して上野駅前まで。
19系統は、東京駅八重洲口の通三丁目から日本橋、万世橋を経由し、湯島を通り抜けて本郷通りを北上、駒込橋、霜降橋を経由して王子駅前まで。
40系統は、銀座七丁目から銀座を通り抜け、京橋、日本橋、万世橋を経由し、上野や根津、千駄木を通り抜け、いまは文京区立本駒込図書館になっている神明町車庫前まで。
【4つ目▶大二十面体:リグナの次世代型ルドゥフレーデとしての力の開放】
橋の名前を残したのは浜町中ノ橋停留場、現在の浜町中ノ橋交差点。
9系統の終点であるほか、築地から桜橋、水天宮前、新大橋を経由して錦糸町駅前まで向かう36系統が東西に通っていた。
【5つ目▶正二十面体:円環のセキュリティ解除コードの復号キーが格納された白いメモリーカードの1枚目】
橋の名前を残したのは広尾橋停留場、現在の広尾橋交差点。
品川駅前から古川に沿って古川橋、四ノ橋、天現寺橋を経由し、青山を通り抜け、四谷三丁目まで結ぶ7系統が南北に通っていた。
【6つ目▶正十二面体:まやかしの金色のメモリーカード】
橋の名前を残したのは、21系統、27系統、31系統の三ノ輪橋停留場。
27系統は赤羽から南下、王子駅前から三ノ輪橋までは荒川線の東半分として現存するルートを通っていた。
一方、21系統は水天宮前から北上、三ノ輪橋を経由し、千住大橋を渡って千住四丁目まで。
31系統は都庁前から新常盤橋、浅草橋を経由し、三ノ輪橋まで。
21系統と31系統の三ノ輪橋停留場は、いまの停留場からは離れ、その延長線上の日光街道にあった。
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