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東京トラム
東京トラム(9)
しおりを挟む「これで円環のセキュリティ解除コードの復号キーがぜんぶ揃った……」
ミチルが周囲を警戒した。
すぐに、リグナはポンプ場の建物の上へ。
再び大気が沸騰する。
地上にはコルヴェナも遅れて現れた。
鍛冶橋通りへ飛び出し、リグナとミチルはデッサの攻撃を、モジャコとパルノーはコルヴェナと大量の六型ボーデを相手にしながら西方向へ。
やっぱりおかしい——とハルは感じた。
デッサがコルヴェナに対してまったく気を配っていないばかりか、意思疎通が図られているようにも思えない。
まったくの無言であるのもこれまでと異なっていた。
入り乱れながら大きな交差点に躍り出る。
ちょうど浅草線の宝町駅がある交差点で、クロスする昭和通りは、片側3車線の間に4車線分の緑地帯を抱えて道幅が広い。
緑地帯の真下はアンダーパス。
交差点の南側、東京高速道路の高架と直交するあたりで顔を見せている。
東京高速道路はかつての京橋川、そして、東京高速道路を分岐する首都高速都心環状線は、かつての楓川と築地川の一部だ。
京橋川の跡は高架道路となっているため、その痕跡を探すことは難しい。
一方で、首都高速都心環状線は、大部分、流路をそのまま利用した半地下構造になっているから、その上を跨ぐ橋も多く残されている。
なお、桜橋のあった桜川は、現在の京橋ジャンクションがある場所で京橋川につながっていた。
交差点の上空でリグナはデッサを蹴り落とした。
デッサは東京高速道路の料金所へ突っ込む。
その直後、昭和通りの緑地帯から投げ飛ばされたコルヴェナは、アンダーパスを走る高速バスの屋根に落ちた。
「むきゃー」
どこ行きのバスなのかは不明。
そのまま、ハルたちは宝町駅A3出口の狭い階段を駆け降りた。
京橋方面改札を通って押上方面の2番線ホームへ。
最後の霜降橋は、桜橋からは北北西へ8キロほど、駒込駅から北へ400メートルほどの地点。
地上のオフィス街と同じようにホームは閑散としていて、ほかに待っている人は1人もいなかった。
浅草線の電車はもう10分に1本くらいしか無く、しばらくやってこない。
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