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お花茶屋マンデーモーニング
お花茶屋マンデーモーニング(2)
しおりを挟む(星の舟——ロートの追憶は、どうして東京の地下に眠っていたのか?)
東京には13の地下鉄路線がある。
東京メトロの銀座線、日比谷線、東西線、有楽町線、半蔵門線、南北線、都営地下鉄の浅草線、三田線、新宿線。
この9つの路線で都内を巡り、9つの〈追憶のカケラ〉を集めた。
そして、大江戸線という円環の完成を阻止するため、モジャコとジシェとコルヴェナは丸ノ内線のトンネルを、ポジヲとリグナとデッサは副都心線のトンネルを新宿へ向かった。
ハルとパルノーが星の舟と交信するために伝送路を構成したのは千代田線。
ある意味、13路線コンプリート。
(今度は路面電車が走っていた道を歩いてみようかな。橋があったところをヒントに、運河や川の流れをたどってみるのもいいかも——)
道の形はあんがい変わっていないし、橋の記憶はそこかしこに留まっているから、地図を手がかりにセピア色の写真といまの風景を重ねてみるのもいいかもしれない。
変わってしまったことを嘆くひともいる。
だけど、ハルにとっての東京は、いま目の前にあるものであって、ほかのどれでもない。
荒川線はしぶとく走っているし、役割を失ってもまだ水辺は残る。
それがいまの街だ。
(統一感もなく、いつでも雑多に発展していくこの街に温もりを感じて、星の舟はいつの間にかやってきてしまったのかもしれない)
そして星の舟は、円環が結ばれる直前に自らの意志で旅立ったのだ。
ふう——と息を吐いて、ハルはまだ夜のままの空を見上げる。
モジャコの声が聞こえる。
「コルヴェナとロカはこれからどうする? ボルンギンとかいうヤツに弱みを握られてんじゃないの?」
「……」
これにはロカも答えがない。
ああそれだけど——と、ハルが割り込んだ。
「ルジェのネットワークに入ったとき、認証の甘い政府系サーバーがあったから、ブリウム・ボルンギンが関わった収賄、便宜供与、公文書偽造、職権乱用、証拠隠滅、セクハラ・パワハラ・その他、よりどりみどりの証拠書類を1000件分、見つけてそこらじゅうにばらまいといたよ。じきに身動きできなくなるから、そのころに帰るのはどう?」
(こわ……)
モジャコ、ジシェ、ミチル、パルノー、ロカ(およびデッサまでも)の感想。
リグナは、ほんじゃらけー、と我関せず長閑。
一方——。
「ミコちゃん、大活躍♥」
「あなた、ずばり策士!!」
瑪瑙とコルヴェナである。
そして高嶺は、かっかっかっ!——と高笑いした。
「そういうことであれば、よい考えがあるぞ!」
それは、コルヴェナとロカはしばらく如月家に居候すればいい、ということだった。
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