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笠地蔵

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お爺さんは、笠職人。
しかし、全く笠が売れなかった。
生活に困窮していたが、
空腹に耐え、
最後の力を振り絞り、笠を売りに行く。

一つも売れなかった。
帰り道、8人のお地蔵様が、雪を被っている。

これはいけない。
お爺さん、
残りの笠を全部お地蔵様に被せた。
一つ足りなかったので、自分の笠も被せた。

お爺さんは、もう売るものも、
財産も全てなくなってしまったが、
お婆さんは何も責めなかった。



その晩、お地蔵様達が、
鯛や、鹿の肉、握り飯、
ありとあらゆるご馳走を持って来た。

しかし、なんということだ。
それらを食べてくれる人はいなかった。
一足遅かったのである。

なぜか、横たわる老夫婦は、
幸せそうな顔を浮かべていた。

少しでも暖を取ろうとしたのだろう。
彼らのそばには、マッチ箱と、
燃え尽きた3本のマッチ棒が…

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