8 / 30
第一章
もういない
しおりを挟む
「どういう事だ?きちんと教えてくれ…」
「はぁ…まず、最初は媚薬を盛られて仕方なかったのかもしれない。けれど、媚薬を盛られる前にリタ嬢からの接触はなかったの?」
「いや、何度か接触はあった…と思う」
「なら何故、彼女から距離を取らなかったの?媚薬って何に盛られたの?」
「距離は取ってたつもりだった。それに媚薬は酒に入ってて…」
「それを誰に渡されたの?」
「リタ嬢に…」
脳無し、馬鹿、考える力もないのかしら…頭が痛い。ため息をつくとびくっとベンジャミンの肩が跳ねた。
「逃げれなかったの?」
「薬で朦朧としていたし…」
「手足は拘束されていた?」
「いや…」
「逃げようと思えば逃げれるでしょ」
「そんな!キャシーは飲んだことないからっ」
「あるに決まってるでしょ。護身術を習う時に媚薬を無理やり飲まされた場合にというものがあるのよ。私でも逃げれるのに貴方が逃げれないわけないわ。結局は意志が弱かっただけじゃない」
現実を突きつけられて、呆気にとられたみたいだ。結局は自分の選択で、自分の行動のせいなのだ。
「それにそれが私を抱かなかったことには繋がらないわ」
「な!?それだけは違う!」
「まだ言うの?…じゃあ、聞くけど…毎回リタ嬢は何回も強要したの?毎日強要したの?本当に一日も欠かさず?」
「いや、何もなかった日に君に拒否されてしまって…」
「たった一回拒否されて、拒否されるのが怖くなったの?」
「あぁ…」
「じゃあ、閨の時に自分のせいで機能しない夫を何回も見る私はどんな気持ちだったと思う?何回拒否されたんだと思う?それでも、貴方との子が欲しかった…だから、色んな事を試したし、自分の体がダメなのかもしれないと自分を責めたわ。それをたった一回拒否されたからですって?それに私は拒否したんじゃなくて、無理してない?と聞いただけよ…貴方ってすごく自分勝手なのね。まぁ、でも、その穢れた体に抱かれなくて良かったわ」
「……」
遂には押し黙ってしまったベンジャミンにもう寄り添う気持ちはない。何度も閨を拒否された惨めな自分も、貴方を心から愛した自分も、もう消えてしまったのだ。もう居ない。
「今日はもう遅いから屋敷に居てもいいわ。明日には人を呼ぶから出ていって」
「…もう本当に駄目なのか…?」
「それを聞ける貴方の神経が分からないわ…」
「…ごめん」
「はぁ…まず、最初は媚薬を盛られて仕方なかったのかもしれない。けれど、媚薬を盛られる前にリタ嬢からの接触はなかったの?」
「いや、何度か接触はあった…と思う」
「なら何故、彼女から距離を取らなかったの?媚薬って何に盛られたの?」
「距離は取ってたつもりだった。それに媚薬は酒に入ってて…」
「それを誰に渡されたの?」
「リタ嬢に…」
脳無し、馬鹿、考える力もないのかしら…頭が痛い。ため息をつくとびくっとベンジャミンの肩が跳ねた。
「逃げれなかったの?」
「薬で朦朧としていたし…」
「手足は拘束されていた?」
「いや…」
「逃げようと思えば逃げれるでしょ」
「そんな!キャシーは飲んだことないからっ」
「あるに決まってるでしょ。護身術を習う時に媚薬を無理やり飲まされた場合にというものがあるのよ。私でも逃げれるのに貴方が逃げれないわけないわ。結局は意志が弱かっただけじゃない」
現実を突きつけられて、呆気にとられたみたいだ。結局は自分の選択で、自分の行動のせいなのだ。
「それにそれが私を抱かなかったことには繋がらないわ」
「な!?それだけは違う!」
「まだ言うの?…じゃあ、聞くけど…毎回リタ嬢は何回も強要したの?毎日強要したの?本当に一日も欠かさず?」
「いや、何もなかった日に君に拒否されてしまって…」
「たった一回拒否されて、拒否されるのが怖くなったの?」
「あぁ…」
「じゃあ、閨の時に自分のせいで機能しない夫を何回も見る私はどんな気持ちだったと思う?何回拒否されたんだと思う?それでも、貴方との子が欲しかった…だから、色んな事を試したし、自分の体がダメなのかもしれないと自分を責めたわ。それをたった一回拒否されたからですって?それに私は拒否したんじゃなくて、無理してない?と聞いただけよ…貴方ってすごく自分勝手なのね。まぁ、でも、その穢れた体に抱かれなくて良かったわ」
「……」
遂には押し黙ってしまったベンジャミンにもう寄り添う気持ちはない。何度も閨を拒否された惨めな自分も、貴方を心から愛した自分も、もう消えてしまったのだ。もう居ない。
「今日はもう遅いから屋敷に居てもいいわ。明日には人を呼ぶから出ていって」
「…もう本当に駄目なのか…?」
「それを聞ける貴方の神経が分からないわ…」
「…ごめん」
143
あなたにおすすめの小説
白い結婚に、猶予を。――冷徹公爵と選び続ける夫婦の話
鷹 綾
恋愛
婚約者である王子から「有能すぎる」と切り捨てられた令嬢エテルナ。
彼女が選んだ新たな居場所は、冷徹と噂される公爵セーブルとの白い結婚だった。
干渉しない。触れない。期待しない。
それは、互いを守るための合理的な選択だったはずなのに――
静かな日常の中で、二人は少しずつ「選び続けている関係」へと変わっていく。
越えない一線に名前を付け、それを“猶予”と呼ぶ二人。
壊すより、急ぐより、今日も隣にいることを選ぶ。
これは、激情ではなく、
確かな意思で育つ夫婦の物語。
あなたに嘘を一つ、つきました
小蝶
恋愛
ユカリナは夫ディランと政略結婚して5年がたつ。まだまだ戦乱の世にあるこの国の騎士である夫は、今日も戦地で命をかけて戦っているはずだった。彼が戦地に赴いて3年。まだ戦争は終わっていないが、勝利と言う戦況が見えてきたと噂される頃、夫は帰って来た。隣に可愛らしい女性をつれて。そして私には何も告げぬまま、3日後には結婚式を挙げた。第2夫人となったシェリーを寵愛する夫。だから、私は愛するあなたに嘘を一つ、つきました…
最後の方にしか主人公目線がない迷作となりました。読みづらかったらご指摘ください。今さらどうにもなりませんが、努力します(`・ω・́)ゞ
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】旦那様、その真実の愛とお幸せに
おのまとぺ
恋愛
「真実の愛を見つけてしまった。申し訳ないが、君とは離縁したい」
結婚三年目の祝いの席で、遅れて現れた夫アントンが放った第一声。レミリアは驚きつつも笑顔を作って夫を見上げる。
「承知いたしました、旦那様。その恋全力で応援します」
「え?」
驚愕するアントンをそのままに、レミリアは宣言通りに片想いのサポートのような真似を始める。呆然とする者、訝しむ者に見守られ、迫りつつある別れの日を二人はどういった形で迎えるのか。
◇真実の愛に目覚めた夫を支える妻の話
◇元サヤではありません
◇全56話完結予定
【完結】貴方が好きなのはあくまでも私のお姉様
すだもみぢ
恋愛
伯爵令嬢であるカリンは、隣の辺境伯の息子であるデュークが苦手だった。
彼の悪戯にひどく泣かされたことがあったから。
そんな彼が成長し、年の離れたカリンの姉、ヨーランダと付き合い始めてから彼は変わっていく。
ヨーランダは世紀の淑女と呼ばれた女性。
彼女の元でどんどんと洗練され、魅力に満ちていくデュークをカリンは傍らから見ていることしかできなかった。
しかしヨーランダはデュークではなく他の人を選び、結婚してしまう。
それからしばらくして、カリンの元にデュークから結婚の申し込みが届く。
私はお姉さまの代わりでしょうか。
貴方が私に優しくすればするほど悲しくなるし、みじめな気持ちになるのに……。
そう思いつつも、彼を思う気持ちは抑えられなくなっていく。
8/21 MAGI様より表紙イラストを、9/24にはMAGI様の作曲された
この小説のイメージソング「意味のない空」をいただきました。
https://www.youtube.com/watch?v=L6C92gMQ_gE
MAGI様、ありがとうございます!
イメージが広がりますので聞きながらお話を読んでくださると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる