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最終章
再会 ベンジャミンside
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それは偶然だった。いつものように傭兵の仕事を終えて、街中で今日の夕飯でも買って帰ろうとしていた。
「なぁ、聞いたか?」
「何の話だ?」
「ここらで商売していた伯爵の娘。平民の男に裏切られて、服毒自殺してなんとか命は取り留めたらしいけど、領地に帰っちまったらしいぜ」
「えぇ!?あの美人なお嬢さんが!?全く、美人過ぎると飽きるのかねぇ…あんな美人な嫁さんを貰えるだけで嬉しいもんじゃないのかねぇ」
「あんな美人なのに飽きるとかよく分からないなぁ…美人を嫁に貰ったことないからわからんけどなぁ!がはは!」
キャシーが?自殺?
持っていた酒瓶を投げ捨てて、一目散に走りだし、有り金全部叩いて馬車に乗り込む。
一目でいいから彼女に会いたい。
大丈夫なのか?
一目見るだけだから、絶対に声もかけないし、君の迷惑にならないようにするから。心配で体中が気持ち悪い。ガタガタと体が震える。
俺と離れて幸せになってほしかったんだ。
いつもいつも君の幸せだけを願っていたのに。
伯爵家の領地に着く頃には、次の日の昼過ぎになっていた。
領地に来ても会える保障なんてないけど、彼女の両親がいた屋敷に居るんじゃないかと思う。それ以外に新しく屋敷を買っていたなら分からないけれど、なんだったらこっちで仕事を探して彼女を探そうと心に決めていた。
「誰かいるの…?」
屋敷の前を伺っていた自分。庭にポツンと車椅子に座った彼女がいた。少しやつれていたけど生きていた。それだけで涙が込み上げてきた。けれど…美しかった夜空の様な瞳は白く濁っていた。会えた嬉しさと同時に目が見えないのだと理解した。
「…っ…す、すみません、美しい庭だったもので…」
「ありがとう、私もここの庭が好きだったの。もう見えないけれど…お花の匂いは漂ってくるから」
試しに声色を少しだけ変えて話掛けたら彼女が優しく微笑みながら答えてくれた。
自分を元夫のベンジャミンだとは思っていないのだろう。それから何度か言葉を交わしたが、表情をコロコロ変える彼女はまるで伯爵当主となる前の純真無垢な彼女だった。
「ちょっと座って下さる?」
「え?あぁ…」
自分がキャサリンの前に座り込むと右手を取られた。柔らかい彼女の手の感触に懐かしさと愛しさと罪悪感が一気に押し寄せてどういう表情をしたらいいのか分からない。
「んー…声で男の人だとは分かっていたけど、少し傷が多いわね」
「傭兵なんだ、傷はしょうがないさ」
「そうなの…元夫も元は傭兵だったの。結婚するまでに出世して近衛騎士団までなったの」
その言葉に表情が固まる。何故か懐かしそうに答える彼女に目が離せなくて、これから自分の事を貶すのか、罵るのか、そんな事を考えていた。
「なぁ、聞いたか?」
「何の話だ?」
「ここらで商売していた伯爵の娘。平民の男に裏切られて、服毒自殺してなんとか命は取り留めたらしいけど、領地に帰っちまったらしいぜ」
「えぇ!?あの美人なお嬢さんが!?全く、美人過ぎると飽きるのかねぇ…あんな美人な嫁さんを貰えるだけで嬉しいもんじゃないのかねぇ」
「あんな美人なのに飽きるとかよく分からないなぁ…美人を嫁に貰ったことないからわからんけどなぁ!がはは!」
キャシーが?自殺?
持っていた酒瓶を投げ捨てて、一目散に走りだし、有り金全部叩いて馬車に乗り込む。
一目でいいから彼女に会いたい。
大丈夫なのか?
一目見るだけだから、絶対に声もかけないし、君の迷惑にならないようにするから。心配で体中が気持ち悪い。ガタガタと体が震える。
俺と離れて幸せになってほしかったんだ。
いつもいつも君の幸せだけを願っていたのに。
伯爵家の領地に着く頃には、次の日の昼過ぎになっていた。
領地に来ても会える保障なんてないけど、彼女の両親がいた屋敷に居るんじゃないかと思う。それ以外に新しく屋敷を買っていたなら分からないけれど、なんだったらこっちで仕事を探して彼女を探そうと心に決めていた。
「誰かいるの…?」
屋敷の前を伺っていた自分。庭にポツンと車椅子に座った彼女がいた。少しやつれていたけど生きていた。それだけで涙が込み上げてきた。けれど…美しかった夜空の様な瞳は白く濁っていた。会えた嬉しさと同時に目が見えないのだと理解した。
「…っ…す、すみません、美しい庭だったもので…」
「ありがとう、私もここの庭が好きだったの。もう見えないけれど…お花の匂いは漂ってくるから」
試しに声色を少しだけ変えて話掛けたら彼女が優しく微笑みながら答えてくれた。
自分を元夫のベンジャミンだとは思っていないのだろう。それから何度か言葉を交わしたが、表情をコロコロ変える彼女はまるで伯爵当主となる前の純真無垢な彼女だった。
「ちょっと座って下さる?」
「え?あぁ…」
自分がキャサリンの前に座り込むと右手を取られた。柔らかい彼女の手の感触に懐かしさと愛しさと罪悪感が一気に押し寄せてどういう表情をしたらいいのか分からない。
「んー…声で男の人だとは分かっていたけど、少し傷が多いわね」
「傭兵なんだ、傷はしょうがないさ」
「そうなの…元夫も元は傭兵だったの。結婚するまでに出世して近衛騎士団までなったの」
その言葉に表情が固まる。何故か懐かしそうに答える彼女に目が離せなくて、これから自分の事を貶すのか、罵るのか、そんな事を考えていた。
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MAGI様、ありがとうございます!
イメージが広がりますので聞きながらお話を読んでくださると嬉しいです。
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