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お上手ですね
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「ほら、いい子だ。店に着いたよ」
耳元で囁かれたその男の声に、ほとんど飛びかけていた意識が引き戻されてはっとする。
「あ、ああ」
っと、どうしてこんなことになってんだっけ?
思うように身体が動かなくて、言われるがままこの胡散臭い男に身体を預けるしかなくて。
それで気がついたら連れて来られていたここは、確かにマッサージ店らしくベッドが並べて置いてある。
「お兄さん、名前、教えて」
「おれかあ? おれは、山口……」
あ、こんな怪しい店だってのに、普通に本名名乗っちまった。
「山口さん、ありがとね」
なんかどうでもよくなってきたな、平凡な名前だしもういいか。
「それじゃ、ここに座って、上着は脱いで」
「ん」
「そ、そんでそっち、うつ伏せになってみて」
ここまで来ておいて今更ではあるが、まだ信じ切ってるわけじゃねえのに。
なんだこいつと不信感しかないはずなのに、なぜだか言われるがまま素直に身体が動いてしまう。
「そう、お上手ですね」
「はあ」
確かに以前は整体に通いまくっていたからこういう店には慣れたものには違いないが、ただ施術台に乗っかっただけなのに上手もなにもあるかってんだ。
なんて思いつつもよっぽど疲れていたのか、こうしてうつ伏せになっているだけで身体の力が抜けていく。
「わあーお兄さん、思った以上にやっばいねえ。疲れ、取れてないでしょ」
「あー、まあ」
俺の身体に軽く触れつつわざとらしく上がる声はやたらとよく通ってうるせえし、そんなことは俺が一番わかってる。
こういう会話がカウンセリングを兼ねているのも理解しているつもりではあるが、ただでさえ気が乗らないまま連れてこられているわけで。
おまけに行く先々で散々聞き飽きた、茶番のような会話に対してギリギリ返事をしているだけでも俺の義務は果たしているはずなのであとは適当に察してほしい。
「ふーん、これはやりがいあるね。よっ、と」
「ぅ、っあ……効、く」
がっちりと腰を抑えられながらぐいと食い込んでくる指先の刺激は思いのほか悪くない。
いかにも力仕事なんて無縁そうな細腕で、ただのチャラそうな兄ちゃんだと思ったが自信満々に誘ってきたのは伊達じゃねえらしい。
確かにこういう店でマジで効果を求めようと思えば、力強い男の手技が確かに一番気持ちいいんだよな。
「よかったあ。じゃ、お兄さんのいいところ、もう少し教えて下さいね」
「ああ……」
最初の勧誘からして胡散臭えし、この男の話し方も妙にいちいち引っかかる。だが事実かなり効いてるような気がするし、技術的なことだけ言えば案外この店当たりだったのかもしれねえな。
「ここをこうするのは、どう? 気持ちいい?」
「ふ、っあ」
骨盤? っつうあたりが指先で抑えられたまま軽く体重が掛けられて、ゴリゴリと解される音が内側から響いてくるから余計に効いている気にさせられる。
あーこれ、マジですげえやつ。
「ん、いっ」
「痛い?」
「いっ、た、気持ちい……」
あー、全然期待せずに来たけどガチで気持ちいいなこれ。
「そう、ちゃんと言えて偉いですね」
「ん、そこ、いい、っす……」
こりゃあ……思った以上に効いてるっつうか、明らかに血流がっつうか、とにかく徐々に身体が温まってくるのがわかる。
ああこりゃ、意識が、やべ…………
「は……すげ……」
「あらー、お兄さんよっぽど疲れてた? ま、ちょっとずつだね」
耳元で囁かれたその男の声に、ほとんど飛びかけていた意識が引き戻されてはっとする。
「あ、ああ」
っと、どうしてこんなことになってんだっけ?
思うように身体が動かなくて、言われるがままこの胡散臭い男に身体を預けるしかなくて。
それで気がついたら連れて来られていたここは、確かにマッサージ店らしくベッドが並べて置いてある。
「お兄さん、名前、教えて」
「おれかあ? おれは、山口……」
あ、こんな怪しい店だってのに、普通に本名名乗っちまった。
「山口さん、ありがとね」
なんかどうでもよくなってきたな、平凡な名前だしもういいか。
「それじゃ、ここに座って、上着は脱いで」
「ん」
「そ、そんでそっち、うつ伏せになってみて」
ここまで来ておいて今更ではあるが、まだ信じ切ってるわけじゃねえのに。
なんだこいつと不信感しかないはずなのに、なぜだか言われるがまま素直に身体が動いてしまう。
「そう、お上手ですね」
「はあ」
確かに以前は整体に通いまくっていたからこういう店には慣れたものには違いないが、ただ施術台に乗っかっただけなのに上手もなにもあるかってんだ。
なんて思いつつもよっぽど疲れていたのか、こうしてうつ伏せになっているだけで身体の力が抜けていく。
「わあーお兄さん、思った以上にやっばいねえ。疲れ、取れてないでしょ」
「あー、まあ」
俺の身体に軽く触れつつわざとらしく上がる声はやたらとよく通ってうるせえし、そんなことは俺が一番わかってる。
こういう会話がカウンセリングを兼ねているのも理解しているつもりではあるが、ただでさえ気が乗らないまま連れてこられているわけで。
おまけに行く先々で散々聞き飽きた、茶番のような会話に対してギリギリ返事をしているだけでも俺の義務は果たしているはずなのであとは適当に察してほしい。
「ふーん、これはやりがいあるね。よっ、と」
「ぅ、っあ……効、く」
がっちりと腰を抑えられながらぐいと食い込んでくる指先の刺激は思いのほか悪くない。
いかにも力仕事なんて無縁そうな細腕で、ただのチャラそうな兄ちゃんだと思ったが自信満々に誘ってきたのは伊達じゃねえらしい。
確かにこういう店でマジで効果を求めようと思えば、力強い男の手技が確かに一番気持ちいいんだよな。
「よかったあ。じゃ、お兄さんのいいところ、もう少し教えて下さいね」
「ああ……」
最初の勧誘からして胡散臭えし、この男の話し方も妙にいちいち引っかかる。だが事実かなり効いてるような気がするし、技術的なことだけ言えば案外この店当たりだったのかもしれねえな。
「ここをこうするのは、どう? 気持ちいい?」
「ふ、っあ」
骨盤? っつうあたりが指先で抑えられたまま軽く体重が掛けられて、ゴリゴリと解される音が内側から響いてくるから余計に効いている気にさせられる。
あーこれ、マジですげえやつ。
「ん、いっ」
「痛い?」
「いっ、た、気持ちい……」
あー、全然期待せずに来たけどガチで気持ちいいなこれ。
「そう、ちゃんと言えて偉いですね」
「ん、そこ、いい、っす……」
こりゃあ……思った以上に効いてるっつうか、明らかに血流がっつうか、とにかく徐々に身体が温まってくるのがわかる。
ああこりゃ、意識が、やべ…………
「は……すげ……」
「あらー、お兄さんよっぽど疲れてた? ま、ちょっとずつだね」
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