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第10話 愛の証明
しおりを挟む観客のざわめきは熱狂へと変わり、
薔薇の間はまるで劇場を越えた狂気の祭壇と化していた。
仮面の群れが札を振り、口笛を鳴らし、
「証明しろ」と声なき声で迫ってくる。
舞台の中央、ユウキとマリは向かい合っていた。
ユウキの手には深紅の薔薇。
マリの手には冷たく輝く鎖。
「私は奪う」
マリが叫ぶ。
「愛は奪い、独り占めして、壊してまで手に入れるもの!
それがなければ、何も残らない!」
鎖が高く掲げられ、観客から喝采が沸き起こる。
その姿は狂気に濡れながらも、美しくさえ見えた。
ユウキは胸に薔薇を抱きしめ、涙に濡れた瞳を観客へと向けた。
羞恥に震えながら、それでも声を絞り出す。
「私は……繋がりを選ぶ!
痛みも、恐怖も、弱さも……すべてを抱えて、それでも共に歩く。
奪う愛じゃない……支え合う愛こそが、永遠だと信じる!」
その言葉に観客席がどよめき、笑いと歓声が入り混じる。
仮面の下の瞳が、嘲笑と興奮で光り輝いていた。
マリは鎖を突きつけるように叫んだ。
「そんなもの、ただの弱さ!
永遠を掴むのは私の愛だけ!」
ユウキは震える声で返す。
「弱さを見せ合えることこそ、繋がり……それが私の愛!」
二人の声が舞台に響き渡り、観客の熱狂は最高潮に達した。
仮面の群れは一斉に札を掲げ、喝采が轟く。
その瞬間、エリオットが立ち上がった。
灰色の瞳が静かに二人を射抜き、声が舞台を制する。
「──よろしい。
この場で決着をつけるのは、観客ではない」
薔薇の間は一瞬にして静まり返る。
すべての視線が、銀髪の支配者に注がれた。
「決めるのは、お前たち自身だ」
エリオットの声は冷酷であり、同時に慈悲を孕んでいた。
「互いの愛を最後まで示せ。
薔薇か、鎖か──どちらかが永遠を手にするまで」
深紅の薔薇と冷たい鎖。
二つの象徴が舞台に煌めき、
ユウキとマリの決闘は、いよいよ最終局面へと進んでいく。
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