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第11話 最後の選択
しおりを挟む薔薇と鎖。
二つの象徴が舞台の中央に置かれ、蝋燭の光を受けて輝いていた。
観客席は静まり返り、仮面の群れが息を潜めて見守っている。
熱狂は凍りつき、いまや全ての期待が──ユウキとマリに注がれていた。
「……ユウキ」
マリの声が低く響く。
その手にある鎖は、蛇のように光を反射していた。
「あなたは繋がりなんて言うけれど、それは弱さにすぎない。
誰かにすがらなきゃ立てないなんて……愛じゃない」
鎖を振り上げ、彼女はユウキの前に突きつける。
「愛は力。
支配して、縛って、相手を自分だけのものにする。
そうして初めて永遠が生まれるのよ!」
観客の一部がざわめき、拍手を送る。
彼女の狂気に満ちた言葉は、美しいほどに鋭く、残酷だった。
ユウキは薔薇を胸に抱き、震える唇を開いた。
「……違う。
私は、あなたに支配されるためにここにいるんじゃない」
涙が頬を伝いながらも、その瞳には強い光が宿っていた。
「弱さを見せ合えること。
痛みや恥を分け合えること。
それを繋がりと呼ぶのなら──私はその愛を選ぶ!」
その言葉に、観客席から一斉に息が漏れた。
嘲笑も、歓声もない。
ただ、静かな熱が薔薇の間を包み込んでいく。
「……ならば、証明しろ」
エリオットの声が冷ややかに響いた。
灰色の瞳が二人を射抜き、舞台に重く降り注ぐ。
「マリ。お前は彼女を鎖で縛り、愛を奪え」
「ユウキ。お前は薔薇を差し出し、繋がりを示せ」
観客席が一斉にざわめき立つ。
決闘の最終試練──
それは、愛の象徴を相手に向けて示すこと だった。
マリが鎖を高く掲げ、ユウキの喉元へ迫る。
その目には狂気の炎が燃えていた。
ユウキは深紅の薔薇を胸から離し、震える手でマリへと差し出す。
羞恥と恐怖で身体が震えても、その手は決して止まらない。
「……これが、私の愛。
あなたと、繋がりたい」
観客席は一斉にどよめき、仮面の群れが息を呑んだ。
薔薇と鎖──二つの象徴が、ついに正面からぶつかり合う。
その瞬間、薔薇の間に響くのは観客の歓声ではなく、
──静寂だった。
全ての視線が、二人の選択の行方を見届けようとしていた
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