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四人での戦い
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「アイリス!」
光が消えていくとそこにはキャスリンとアンドリューが立っていた。アンドリューが私の名を呼びながら駆け寄ってくる。
「ディザストロが出たんだろう? 大丈夫だったか、アイリス!」
「ええ、大丈夫よ。エドガーも救い出すことが出来たわ」
エドガーはアンドリューの前にサッと跪き、頭を垂れた。
「アンドリュー王子殿下。国王陛下が攻撃されたのは全て私の責任でございます。いかなる処分もお受け致します」
アンドリューは跪いたエドガーの腕を取って立たせると、しっかりと抱き締めて背中をポンポンと叩いた。およそ王族らしからぬ行動に、驚いた顔のエドガー。
「謝る必要はない。敵はディザストロだ。わかっていることを全て話してくれ。そして絶対にここで奴を仕留めよう」
「……はい、アンドリュー殿下」
エドガーは感じ入った顔で返事をした。アンドリューの対応に心を掴まれたようだ。
「エレン、キャスリンはどう……?」
私が尋ねるとエレン(キャスリン)はふるふると首を横に動かした。
「少しは落ち着いたけどまだ泣いている」
「そう……早くディザストロを倒してキャスリンを慰めてあげたいわ」
「ええ。頑張りましょう」
それから、私たちはお互いの報告をし合った。王宮では、国王、王妃、王太子の死が確認された。大臣たちの安否も確認したが半分は命を落としていたそうだ。
「王宮の片付けはローガンに、守りはテオドアとステラに任せてきた。第一王位継承者の私とその次であるキャスリンが両方ともこちらへ来ることにはかなり反対されたがな。だがディザストロを倒さねばどっちにしろ未来はないのだ」
アンドリューは言う。
「エレンが一時的に精神感応が使える魔法をステラに掛けてきたから、王宮にドラーゴが出たらすぐにこちらに伝えることが出来る」
「では、ディザストロとは私たち四人で戦うのね」
「そうだ。他の騎士がいても足手纏いになるだけだろう。そいつらを庇いながら戦わなければならないんだから」
「そうですね。その方が戦いやすい」
エドガーも賛同した。
「でもアイリス、決して無茶はしないで。キャスリン様も。ご自分を守ることを一番に考えて下さい」
「大丈夫よ。私たち、『聖女』なんだから。あいつを倒すために生まれてきたんだもの。頑張るわ!」
やる気を見せて拳を握った私の手を、エドガーがそっと取った。
「絶対に、君を死なせたくないんだ」
青い瞳で切なげに見つめてくるエドガー。こ、こんなに色気あったかしら?!私はドギマギして、きっと顔は真っ赤になっている。夜でよかった、みんなに赤い顔を見られたくないもの。
「ペアを作って動くぞ」
不機嫌な声でアンドリューが割り込んできた。
「俺とアイリス、エレンとエドガーが組むといいだろう。色恋が絡まない方が冷静に戦える」
「ちょっと……! 変な言い方しないでよ!」
エドガーがキョトンとして私たちのやり取りを見ている。しまった、つい昔の口調が出てしまった。うう、こんな庶民ぽい話し方をしている私をエドガーに見せたくなかったのに。
「だめです、アンドリュー王子。キャスリン様があなたと一緒にいたいと言っています」
エレンの思いがけない言葉にアンドリューは少しの間考えて言った。
「そうだな。キャスリンにとってはエドガーは初めて会った騎士だから不安なんだろう。すまんな、エドガー」
「いえ、アンドリュー殿下。キャスリン様と一緒にいてあげて下さい。アイリスは必ず私が守ります」
それから私たちはディザストロがいる場所……かつてトラル山があった場所へ向かった。
すでに夜は更け、辺りは暗闇に包まれている。雷の精、ロイが羽を光らせて道を案内する。
その時、バサバサという大きな翼の音が響き、黄色い十の光が空から近付いて来た。五体のドラーゴの双眸が光っているのだ。
「来たぞ!」
五体が同時に火を吹いてくる。あまりにも炎が大きいので辺りは昼間のように明るくなり、ドラーゴの顔がよく見えた。
「防御!」
エレンが前に出て防壁を出し、炎を防ぐ。私はロイと協力して雷を呼んだ。
「雷!」
ドラーゴの身体に次々と雷が落ちていき、五体はギャアァァと叫び声を上げて地面に落ちてきた。
「はぁっ!」
アンドリューがニ体の眉間をグサリと斬りつけるその間に、エドガーは身を翻して三体を素早く始末した。
「やるな、お前」
ほんの少し悔しそうにアンドリューが言うと、エドガーは嬉しそうにニッと笑い、
「光栄です、殿下」
と言った。
(エドガー、凄いわ。剣の腕は本当にかつてのリカルド以上かも。それと、やっぱり聖女と騎士が二人ずついると楽ね。防御しながら攻撃出来るから)
光が消えていくとそこにはキャスリンとアンドリューが立っていた。アンドリューが私の名を呼びながら駆け寄ってくる。
「ディザストロが出たんだろう? 大丈夫だったか、アイリス!」
「ええ、大丈夫よ。エドガーも救い出すことが出来たわ」
エドガーはアンドリューの前にサッと跪き、頭を垂れた。
「アンドリュー王子殿下。国王陛下が攻撃されたのは全て私の責任でございます。いかなる処分もお受け致します」
アンドリューは跪いたエドガーの腕を取って立たせると、しっかりと抱き締めて背中をポンポンと叩いた。およそ王族らしからぬ行動に、驚いた顔のエドガー。
「謝る必要はない。敵はディザストロだ。わかっていることを全て話してくれ。そして絶対にここで奴を仕留めよう」
「……はい、アンドリュー殿下」
エドガーは感じ入った顔で返事をした。アンドリューの対応に心を掴まれたようだ。
「エレン、キャスリンはどう……?」
私が尋ねるとエレン(キャスリン)はふるふると首を横に動かした。
「少しは落ち着いたけどまだ泣いている」
「そう……早くディザストロを倒してキャスリンを慰めてあげたいわ」
「ええ。頑張りましょう」
それから、私たちはお互いの報告をし合った。王宮では、国王、王妃、王太子の死が確認された。大臣たちの安否も確認したが半分は命を落としていたそうだ。
「王宮の片付けはローガンに、守りはテオドアとステラに任せてきた。第一王位継承者の私とその次であるキャスリンが両方ともこちらへ来ることにはかなり反対されたがな。だがディザストロを倒さねばどっちにしろ未来はないのだ」
アンドリューは言う。
「エレンが一時的に精神感応が使える魔法をステラに掛けてきたから、王宮にドラーゴが出たらすぐにこちらに伝えることが出来る」
「では、ディザストロとは私たち四人で戦うのね」
「そうだ。他の騎士がいても足手纏いになるだけだろう。そいつらを庇いながら戦わなければならないんだから」
「そうですね。その方が戦いやすい」
エドガーも賛同した。
「でもアイリス、決して無茶はしないで。キャスリン様も。ご自分を守ることを一番に考えて下さい」
「大丈夫よ。私たち、『聖女』なんだから。あいつを倒すために生まれてきたんだもの。頑張るわ!」
やる気を見せて拳を握った私の手を、エドガーがそっと取った。
「絶対に、君を死なせたくないんだ」
青い瞳で切なげに見つめてくるエドガー。こ、こんなに色気あったかしら?!私はドギマギして、きっと顔は真っ赤になっている。夜でよかった、みんなに赤い顔を見られたくないもの。
「ペアを作って動くぞ」
不機嫌な声でアンドリューが割り込んできた。
「俺とアイリス、エレンとエドガーが組むといいだろう。色恋が絡まない方が冷静に戦える」
「ちょっと……! 変な言い方しないでよ!」
エドガーがキョトンとして私たちのやり取りを見ている。しまった、つい昔の口調が出てしまった。うう、こんな庶民ぽい話し方をしている私をエドガーに見せたくなかったのに。
「だめです、アンドリュー王子。キャスリン様があなたと一緒にいたいと言っています」
エレンの思いがけない言葉にアンドリューは少しの間考えて言った。
「そうだな。キャスリンにとってはエドガーは初めて会った騎士だから不安なんだろう。すまんな、エドガー」
「いえ、アンドリュー殿下。キャスリン様と一緒にいてあげて下さい。アイリスは必ず私が守ります」
それから私たちはディザストロがいる場所……かつてトラル山があった場所へ向かった。
すでに夜は更け、辺りは暗闇に包まれている。雷の精、ロイが羽を光らせて道を案内する。
その時、バサバサという大きな翼の音が響き、黄色い十の光が空から近付いて来た。五体のドラーゴの双眸が光っているのだ。
「来たぞ!」
五体が同時に火を吹いてくる。あまりにも炎が大きいので辺りは昼間のように明るくなり、ドラーゴの顔がよく見えた。
「防御!」
エレンが前に出て防壁を出し、炎を防ぐ。私はロイと協力して雷を呼んだ。
「雷!」
ドラーゴの身体に次々と雷が落ちていき、五体はギャアァァと叫び声を上げて地面に落ちてきた。
「はぁっ!」
アンドリューがニ体の眉間をグサリと斬りつけるその間に、エドガーは身を翻して三体を素早く始末した。
「やるな、お前」
ほんの少し悔しそうにアンドリューが言うと、エドガーは嬉しそうにニッと笑い、
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