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イグニッション・テスト
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「ひっ」
みちるの奇声に慣れてきた自分を感じながら、陽葵は着替えた自分のジャケットを見る。
「どこか、おかしいでしょうか?」
「陽葵ちゃん、そ、そのジャケット…」
みちるは陽葵の体中をきょろきょろ見回しながら言う。
「ヴァンデンダーの…最高級モデル……?」
「そうなのですか? みちるさんに送っていただいたカタログから可愛いものを選んだのですが」
部活動の見学会から帰宅した陽葵は、食事の席で両親にハイテクウィッチ部に入ってみたい事を言ってみた。
父は少し難しい顔になったが、母はあら素敵、とすぐ賛成してくれた。翌朝の朝食の席では父も応援してくれる事になった。
登校してみちるに自分も入部したい事を伝え、一緒に翌週のイグニッション・テスト…入部テストに参加する事になった。
入部テストがあるのは、伏見部長が言っていたように初心者の壁が存在する為で、高校生にはやや高価なハイテクウィッチ製品一式の無駄買いさせない為なのだという。
みちるはハイテクウィッチに必要な装備一式についてあらゆるカタログをブックマークしていて、その価格や性能について昼食の時間に色々と教えてくれた。みちる自身の欲しいベゾムについても力説され、ホウキに持つ結構なコンプレックスを少し気の毒に感じたりした。
とは言え、カタログを読んでもまだ何もわからないのが正直なところだった。
週末、土曜にもらったカタログのアドレスを一通り巡り、とりあえずデザインと色合いが気に入ったバーチャル試着を父に見せながら、もし入部できたらこういうものが必要になると説明したところ、日曜の昼にはそのカタログメーカーの支店長が一式を持って陽葵の家にやってきた。父が注文したのだそうだ。
で、今日、試験日の月曜日である。
「買っちゃった…んだ」
「ここのものは色が可愛いですよね。」と笑う陽葵。
「う、うん…。あと成層圏から落ちても平気…」ぼそぼそとみちる。
おそらく自分が店に行って試着を頼んでもやんわり断られてしまうだろう、高級で知られるブランドの、プロ競技にも耐えうる最高級品を陽葵はクラブ活動の入部テストに着ていた。全て揃えると自分の親の年収程度はしそうな商品を色の可愛さで選んだという屈託のないお嬢様パワーに、みちるはもう羨望や嫉妬を通り越して唯々蹂躙された。
「でも、陽葵ちゃんが一緒に入部してくれるなんて。ホント聞いた時はびっくりしちゃった」
「わたしも自分で少し驚いています。でも、飛んでいる伏見部長に憧れてしまって」
「そう!そうだよね!ぜったい伏見ちゃんカッコイイよね!」
着替えて部室前のグラウンドに出てみると、見学会でも見かけた十数名が集合していた。
みちるや陽葵のように自前のジャケットを着ている者も、部からレンタルされた装備を付けている者もいる。
ハイテクウィッチは元々は「おもちゃ」である。建築用ハーネスの代用となった安全製品を応用したものなので、今では一回きりの墜落に対応する使い捨てのものならDIYの店で安価に手に入る。レンタル品にはこれが提供されている。
「おっつかれさーん、それじゃあ始めよかー」
住吉副部長がやってきた。全員が少しどよめく。
見学会の時も肌寒い春のなかでTシャツ姿だったのだが、ハイテクウィッチ装備の彼女はその斜め上を行く。チューブトップのビキニに、前開きのジャケットと下半身はチャップス形状のパンツである。
視線を感じて苦笑いしながら説明する。
「ああ、ウチは元々セイレーンやったから装備がこんななんよ。べつに寒ぅないで?」
その説明に(ちがう、そうじゃない)と全員が思っただろう。
セイレーンというのはハイテクウィッチ同様にベゾムを使った海上スポーツで、こちらも人気がある。
「じゃ、順番に一人ずつやってみよか」
先に受け取った番号札の順にテストが始まる。
方法は先週の部長の説明のように、ただ飛びたいと念じながら走る事である。ここでイグニッションが成功すればベゾムの浮力制御が働き、連動するジャケット他一連の装備が飛行を補助してくれる。自転車に乗るようなものだが、いったん乗ってしまえば落ちる事もないので、どちらかというと三輪車に近いと副部長は笑っていた。
一人目はレンタル品着用のまったくの初心者だった。緊張した面持ちでベゾムを握りしめてグラウンドを走り出し、15メートルほど走ったところでふわりと浮かんだ。驚いてその場で立ち尽くすのだが、浮いたままという状況に嬉しそうな笑みを浮かべていて、皆から拍手が起こっていた。
二人目はみちるだった。
「おりゃあ!」と、あの朝のような掛け声を上げながら数メートルで飛び上がる。
「あら、流石ね」
見守る陽葵の横に、遅れてやってきた伏見部長がつぶやくのを聞いて、助走距離が少ないほどベゾムの扱いが上手いのかしらと陽葵は感じた。
今回はとりあえずイグニッションできるかどうかを試すものなので、浮かんでしまえばテストは終了である。そのまま浮かんで陽葵の元に戻ってきたみちるは少し物足りなさそうな感じもある。
「おつかれさまでした」
「えへへ、ありがとう。いい天気だし、もっと飛びたいなあ」
「この一帯は学校公認のフィールドだから、この先好きなだけ飛べるわ」
伏見部長がうれしそうに話す。
「やったあ。わたしがんばります!」
憧れの「伏見ちゃん」に声をかけられ、みちるはうれしそうだった。
その後も一人ずつテストが進む。助走距離の多少はあれ、大体はイグニッションに成功していた。が、中には規定の50メートルを走り切ってもベゾムが起動せず、何度か試してしょんぼりあきらめる者もいた。
陽葵は迫る順番にどきどきしながらも、先行する人の浮かぶ姿を自分に当てはめてわくわくしていた。こんなに楽しみな自分は久々だと、少し照れくさい気持ちも感じていた。
そうして、陽葵の番がやってきた。
「陽葵ちゃん、がんばって!」
「ありがとうございます」みちるに笑顔を返してスタートラインに向かう。
「うおー、グレード6ジャケットかいな! 気合入ってるなあ!」
住吉副部長が陽葵のジャケットを見て目を丸くする。
「それやったら何があっても安心や。気楽にな!」
「はい」
ラインについて、目の前に広がるグラウンドに向けて走り出す。
ただ飛びたいと願って走るだけ。
スタートする。
全力疾走する必要はないが、気負いがついついそうさせる。
(とびたい)
まだ何も起きない。
(とびたい…)
まだ音は鳴らない。
(おねがい、とんで!)
「あっ」
陽葵は ―― おそらく見ていたみちるも ―― 小さな声を上げた。
陽葵はほぼ全力疾走状態でつまずき、前のめりに膝から崩れた。
そのまま、ベゾムにしがみつくようにして転がる。
超高額の最高級ギアは、バウンドを雲の上からの墜落と同様に完全に護る。
「陽葵ちゃん! 大丈夫?!」
兆候と同時に走りだしていたみちるが駆け寄る。
きょとんとした顔で陽葵は上半身を起こす。ピカピカだったギアには少し土がついていた。
駆け寄るみちるに「ごめんなさい。転んじゃいました」と、少し微笑みながら言う。
「走るスピードは足りていたと思ったけれど、何かあった?」
後から駆け寄った伏見部長がたずねる。
「ごめんなさい。教えていただいた通りにやってみたのですが…痛…」
みちるに抱えられて立ち上がってみると、素足だった片膝が少し擦り剥けて血が出ていた。
みちるの奇声に慣れてきた自分を感じながら、陽葵は着替えた自分のジャケットを見る。
「どこか、おかしいでしょうか?」
「陽葵ちゃん、そ、そのジャケット…」
みちるは陽葵の体中をきょろきょろ見回しながら言う。
「ヴァンデンダーの…最高級モデル……?」
「そうなのですか? みちるさんに送っていただいたカタログから可愛いものを選んだのですが」
部活動の見学会から帰宅した陽葵は、食事の席で両親にハイテクウィッチ部に入ってみたい事を言ってみた。
父は少し難しい顔になったが、母はあら素敵、とすぐ賛成してくれた。翌朝の朝食の席では父も応援してくれる事になった。
登校してみちるに自分も入部したい事を伝え、一緒に翌週のイグニッション・テスト…入部テストに参加する事になった。
入部テストがあるのは、伏見部長が言っていたように初心者の壁が存在する為で、高校生にはやや高価なハイテクウィッチ製品一式の無駄買いさせない為なのだという。
みちるはハイテクウィッチに必要な装備一式についてあらゆるカタログをブックマークしていて、その価格や性能について昼食の時間に色々と教えてくれた。みちる自身の欲しいベゾムについても力説され、ホウキに持つ結構なコンプレックスを少し気の毒に感じたりした。
とは言え、カタログを読んでもまだ何もわからないのが正直なところだった。
週末、土曜にもらったカタログのアドレスを一通り巡り、とりあえずデザインと色合いが気に入ったバーチャル試着を父に見せながら、もし入部できたらこういうものが必要になると説明したところ、日曜の昼にはそのカタログメーカーの支店長が一式を持って陽葵の家にやってきた。父が注文したのだそうだ。
で、今日、試験日の月曜日である。
「買っちゃった…んだ」
「ここのものは色が可愛いですよね。」と笑う陽葵。
「う、うん…。あと成層圏から落ちても平気…」ぼそぼそとみちる。
おそらく自分が店に行って試着を頼んでもやんわり断られてしまうだろう、高級で知られるブランドの、プロ競技にも耐えうる最高級品を陽葵はクラブ活動の入部テストに着ていた。全て揃えると自分の親の年収程度はしそうな商品を色の可愛さで選んだという屈託のないお嬢様パワーに、みちるはもう羨望や嫉妬を通り越して唯々蹂躙された。
「でも、陽葵ちゃんが一緒に入部してくれるなんて。ホント聞いた時はびっくりしちゃった」
「わたしも自分で少し驚いています。でも、飛んでいる伏見部長に憧れてしまって」
「そう!そうだよね!ぜったい伏見ちゃんカッコイイよね!」
着替えて部室前のグラウンドに出てみると、見学会でも見かけた十数名が集合していた。
みちるや陽葵のように自前のジャケットを着ている者も、部からレンタルされた装備を付けている者もいる。
ハイテクウィッチは元々は「おもちゃ」である。建築用ハーネスの代用となった安全製品を応用したものなので、今では一回きりの墜落に対応する使い捨てのものならDIYの店で安価に手に入る。レンタル品にはこれが提供されている。
「おっつかれさーん、それじゃあ始めよかー」
住吉副部長がやってきた。全員が少しどよめく。
見学会の時も肌寒い春のなかでTシャツ姿だったのだが、ハイテクウィッチ装備の彼女はその斜め上を行く。チューブトップのビキニに、前開きのジャケットと下半身はチャップス形状のパンツである。
視線を感じて苦笑いしながら説明する。
「ああ、ウチは元々セイレーンやったから装備がこんななんよ。べつに寒ぅないで?」
その説明に(ちがう、そうじゃない)と全員が思っただろう。
セイレーンというのはハイテクウィッチ同様にベゾムを使った海上スポーツで、こちらも人気がある。
「じゃ、順番に一人ずつやってみよか」
先に受け取った番号札の順にテストが始まる。
方法は先週の部長の説明のように、ただ飛びたいと念じながら走る事である。ここでイグニッションが成功すればベゾムの浮力制御が働き、連動するジャケット他一連の装備が飛行を補助してくれる。自転車に乗るようなものだが、いったん乗ってしまえば落ちる事もないので、どちらかというと三輪車に近いと副部長は笑っていた。
一人目はレンタル品着用のまったくの初心者だった。緊張した面持ちでベゾムを握りしめてグラウンドを走り出し、15メートルほど走ったところでふわりと浮かんだ。驚いてその場で立ち尽くすのだが、浮いたままという状況に嬉しそうな笑みを浮かべていて、皆から拍手が起こっていた。
二人目はみちるだった。
「おりゃあ!」と、あの朝のような掛け声を上げながら数メートルで飛び上がる。
「あら、流石ね」
見守る陽葵の横に、遅れてやってきた伏見部長がつぶやくのを聞いて、助走距離が少ないほどベゾムの扱いが上手いのかしらと陽葵は感じた。
今回はとりあえずイグニッションできるかどうかを試すものなので、浮かんでしまえばテストは終了である。そのまま浮かんで陽葵の元に戻ってきたみちるは少し物足りなさそうな感じもある。
「おつかれさまでした」
「えへへ、ありがとう。いい天気だし、もっと飛びたいなあ」
「この一帯は学校公認のフィールドだから、この先好きなだけ飛べるわ」
伏見部長がうれしそうに話す。
「やったあ。わたしがんばります!」
憧れの「伏見ちゃん」に声をかけられ、みちるはうれしそうだった。
その後も一人ずつテストが進む。助走距離の多少はあれ、大体はイグニッションに成功していた。が、中には規定の50メートルを走り切ってもベゾムが起動せず、何度か試してしょんぼりあきらめる者もいた。
陽葵は迫る順番にどきどきしながらも、先行する人の浮かぶ姿を自分に当てはめてわくわくしていた。こんなに楽しみな自分は久々だと、少し照れくさい気持ちも感じていた。
そうして、陽葵の番がやってきた。
「陽葵ちゃん、がんばって!」
「ありがとうございます」みちるに笑顔を返してスタートラインに向かう。
「うおー、グレード6ジャケットかいな! 気合入ってるなあ!」
住吉副部長が陽葵のジャケットを見て目を丸くする。
「それやったら何があっても安心や。気楽にな!」
「はい」
ラインについて、目の前に広がるグラウンドに向けて走り出す。
ただ飛びたいと願って走るだけ。
スタートする。
全力疾走する必要はないが、気負いがついついそうさせる。
(とびたい)
まだ何も起きない。
(とびたい…)
まだ音は鳴らない。
(おねがい、とんで!)
「あっ」
陽葵は ―― おそらく見ていたみちるも ―― 小さな声を上げた。
陽葵はほぼ全力疾走状態でつまずき、前のめりに膝から崩れた。
そのまま、ベゾムにしがみつくようにして転がる。
超高額の最高級ギアは、バウンドを雲の上からの墜落と同様に完全に護る。
「陽葵ちゃん! 大丈夫?!」
兆候と同時に走りだしていたみちるが駆け寄る。
きょとんとした顔で陽葵は上半身を起こす。ピカピカだったギアには少し土がついていた。
駆け寄るみちるに「ごめんなさい。転んじゃいました」と、少し微笑みながら言う。
「走るスピードは足りていたと思ったけれど、何かあった?」
後から駆け寄った伏見部長がたずねる。
「ごめんなさい。教えていただいた通りにやってみたのですが…痛…」
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