人形姫に愛情を

如月花恋

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「それで?私の元に訪ねてきた理由は?」
「母上から食事を共にしないかと誘われた」
食事ですか…
今はシロとクロもいないし大丈夫かしら…
「行くわ」
「良かった。断ったら俺が怒られる所だった」
だったら断った方が良かったかしら

そして食事会…
案の定毒が混ぜられていた。
「…ローレン様。あなた側室は?」
「3人」
きっとその中の誰かね
「…はぁ…」
「どうしたの?食べないの?」
「いえ…王妃様…」
さて
どうしましょうか
毒入りの食事なんて食べたら大変なことになるし
解毒剤はローレン様に取り上げられてしまったし
「…エリーナ?嫌いなものでもあったのか?」
「…」
本当にどうしましょう
食べなければ怪しまれる
食べたら…最悪は死
…あれ?
私は何を恐れているの?
別に死ぬのなんて怖くないじゃない
お母様の所に行くだけ
簡単なことじゃない
私はスプーンを手に取りスープを口にした。
ビリっと痺れるような感覚がした。
…痺れ薬?
「「エリーナ?」」
いや…違うわね
体が熱くなってきたもの
本格的に殺すための毒…
弱いから死ぬことは無さそうね
「…ローレン様…お部屋に戻らせていただきますわ」
ここで倒れる訳にはいかないわ
部屋に戻って休みましょう
数日で毒は抜けるでしょうし
「エリーナ。待った」
ローレン様に手を掴まれてしまった。
「これで確信した。…毒を口にしたな?」
バレてしまいましたわ
「そうですけど何か?」
王妃様は慌てだした。
それもそうよね
自分から誘った食事会の食事に毒が混ぜられていたんだから
「どうしてそこまで冷静になれるんだ!!死ぬかもしれないんだぞ!!」
手が痛くなってきましたわ
「…日常茶飯事ですもの」
パネラお姉様とお義母様のイジメでいつもありましたもの
「…母上。医者を」
「…そ…そうね!!」
医者を呼ぶほどではありませんのに
「…ローレン様。キクリルの薬を返してくださいませ」
「何故今?」
「いいから返してくださいませ」
ローレン様は渋々といったようで私に薬を返してくれた。
キクリルの薬はとてつもない猛毒
だけど混ぜるものを変えると解毒剤にもなる
私はペンダントの中に入れていた淡いピンク色の粉を出した。
これをキクリルの薬とともに飲み込めば
ごくん
どんな毒にも効く特効薬の出来上がりですわ
「ちょ…自分から毒を!?」
「毒ではありませんわ。解毒剤ですの」
やっぱり知らない人は誤解しますわね
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