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46. 子供の様な2人
しおりを挟む結局、アルス様はいろんな国を転々とされていたみたいだ。
ただ、何ヵ月も祖国を離れていると恋しくなることがあり、この港町なら見つからないだろうと思い来ていたらしい。
何というか…。
「見つかってしまったし、そろそろ帰る事にするよ。荷物があるから一旦はまた出るけど近い内に戻って来るって王様に伝えておいてくれる?」
「わかりました。なるべく早くお願いしますね」
クリフ様がアルス様を睨みながら言っている。
原因はアルス様が私の手を握ったまま話をしているから…。
「いつまで、レオンの手を握っているのですか?いい加減に離して下さい」
クリフ様がアルス様を私から引き離そうと引っ張る。
しかし、アルス様はニコニコしながらも、動かないし手も離さない。
「いや~、だってさ久しぶりにレオンに会えたんだよ。こんな綺麗になっていて驚いたよ。ねえ、レオン…クリフの補佐なんか辞めて僕の所で働かない?」
「叔父上!何を言っているんですか。レオンは僕の大事な相棒です!」
どうやら、私を巡ってケンカをしているようだ。
私は2人からそんなに必要とされていたのか…何だか他人事みたいに思ってしまう。
「えーだってさ、こんな綺麗な子がクリフの側で働いていたら婚約者が心配するんじゃないか?」
「婚約者なんていませんし!」
「でも、そろそろ決めないと…お前は私と違ってたった1人の息子なんだから…。跡継ぎの問題がでてくるよね?」
「ぐ…。それは……でも、まだ必要ないです」
「その点私は気ままな独り者だからね。レオンみたいに綺麗な子が側にいても女性から嫉妬もされないしレオンも働きかけやすいと思うんだよ」
だんだん子供同士のケンカみたいになってきた。
いや、そもそも私が綺麗と言われていることに違和感があります。
お2人とも何だか様子が今までとと違いますよ。
昔はもっと仲の良い叔父と甥でしたよね。
「まぁまぁ…冗談は置いといて、アルス様手を離していただけますか?そろそろ食事の時間だと思うので下に降りたいのです」
「おっ、もうそんな時間か…。よし、一緒に食事にしよう。海に落としたお詫びだ…御馳走するよ」
アルス様…まだ手を離しませんね。
「僕も一緒ですよ叔父上」
クリフ様がふてくされながら言っている。
「2人の時間を邪魔するなよ~。お前は部下たちと食べれば良いだろ」
「その言葉はそのまま貴方に返します」
何だか見えない火花が散っている気がします…。
「久しぶりなのですから、3人で仲良く食事をしましょう」
私がそう言うと、2人共が私の方を見た。
「「レオンがそう言うなら…」」
何とか子供の様なケンカは収まりそうだ。
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