83 / 88
83. 甘い雰囲気
しおりを挟む目が覚めると前に目覚めた時に見た風景と違っていて驚いた。
違和感を感じて辺りを見回すと、ベッドの脇にクリフ様が座っていて更に驚いた。
「クリフ様…」
「目が覚めたんだね、レオナ。待ち遠しかったよ」
「あの…ここは…」
私は部屋の違いが気になってクリフ様に尋ねてみることにした。
「あっ、そうか…前に寝ていた部屋は客人用の部屋だったんだが、ここは私の妻様の部屋だよ」
笑顔でクリフ様が変な事を言っている。
「妻…ですか?」
「ああ、もう手続きは全て終了したよ。後はレオナが元気になって結婚式を挙げるだけだ」
訳がわからない。
手続きって何の事?
結婚式を挙げるだけ?
リオンの事をクリフ様に伝えただけだったと思うのだけど…。
「あの…クリフ様手続きとは何のことですか?」
「ん?レオナと結婚する為の手続きだよ。君の婚約者の方も話をつけて婚約は解消したし、私の両親にも話をして納得してもらった。教会にも話をつけてあるからいつでも式を挙げる事ができるよ」
「え…結婚するんですか?」
私の言葉にクリフ様は溜め息をついた。
「レオナ…。君は私の事を嫌いなのかい?」
「いえ、そんな事は絶対にありません」
「では、好きだよね?」
「は、はい…」
「お互いが思いあっていて子供までいるのに結婚はしたくない?」
「でも、私の両親がしたことは許されない事です。王家を欺いていたのに、子供の私が王子様と結婚するなんて許されることではないと思います…」
私だってクリフ様と結婚してリオンと3人で幸せになりたい気持ちはある。
しかし、私の両親の事を考えるとクリフ様に迷惑がかかるのではないかと考えてしまう。
「その話を前もしなかったかな?君は義兄の家の養女になっている。そこから隣国の私の所に嫁ぐという話しになっているんだよ。だから、レオナは何も心配しなくて良い。身一つで私の所に来てくれればそれで良いんだ…」
クリフ様が私の右手をクリフ様の両手で包みこんだ。
「本当に宜しいのですか…。私と結婚してクリフ様のご迷惑になりませんか」
私の頬に涙が伝う。
その涙をクリフ様が優しく指で拭いてくれる。
「レオナが良いんだ。レオナじゃないと嫌なんだ…私と結婚してくれる?」
「…はい」
私が返事をするとクリフ様は私の額にキスをした。
目が合い思わず2人共が笑顔になった。
クリフ様は私の涙を拭きながら、優しく頬を撫で、そして唇を親指でなぞる。
2人の間の空気が甘い雰囲気になる。
クリフ様の顔が私に近づいてくる。
私はゆっくりと瞼を閉じた。
唇にクリフ様の温もりを感じる。
軽く何回か重なった唇が離れていく…。
寂しい気持ちになってしまう。
ゆっくりと目を開けるとクリフ様が近くで私の顔を見つめていた。
「寂しいって顔をしていたよ。もっとする?私は大歓迎だけど…」
「もう!…意地悪ですね」
私は顔を真っ赤にして、横を向いた。
クリフ様が私の頬にキスをした。
そして、そこから首筋へ向かってキスをされる。
「ん…クリフ様、駄目です」
私は思わず声を出してしまった。
「寂しいのは私の方だ。早く元気になってくれレオナ。これは私の婚約者だという印だ」
そう言ってクリフ様は私の鎖骨の辺りを強く口付けした。
赤い跡が残っている。
「続きは元気になってから…。待っている」
熱をおびた熱い視線でクリフ様が私を見つめる。
私は幸せな気持ちを噛み締めながら頷いた。
レオン…私は幸せになれそうだよ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる