男装令嬢の願い

縁 遊

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83. 甘い雰囲気

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目が覚めると前に目覚めた時に見た風景と違っていて驚いた。

違和感を感じて辺りを見回すと、ベッドの脇にクリフ様が座っていて更に驚いた。

「クリフ様…」

「目が覚めたんだね、レオナ。待ち遠しかったよ」

「あの…ここは…」

私は部屋の違いが気になってクリフ様に尋ねてみることにした。

「あっ、そうか…前に寝ていた部屋は客人用の部屋だったんだが、ここは私の妻様の部屋だよ」

笑顔でクリフ様が変な事を言っている。

「妻…ですか?」

「ああ、もう手続きは全て終了したよ。後はレオナが元気になって結婚式を挙げるだけだ」

訳がわからない。

手続きって何の事?

結婚式を挙げるだけ?

リオンの事をクリフ様に伝えただけだったと思うのだけど…。

「あの…クリフ様手続きとは何のことですか?」

「ん?レオナと結婚する為の手続きだよ。君の婚約者の方も話をつけて婚約は解消したし、私の両親にも話をして納得してもらった。教会にも話をつけてあるからいつでも式を挙げる事ができるよ」

「え…結婚するんですか?」

私の言葉にクリフ様は溜め息をついた。

「レオナ…。君は私の事を嫌いなのかい?」

「いえ、そんな事は絶対にありません」

「では、好きだよね?」

「は、はい…」

「お互いが思いあっていて子供までいるのに結婚はしたくない?」

「でも、私の両親がしたことは許されない事です。王家を欺いていたのに、子供の私が王子様と結婚するなんて許されることではないと思います…」

私だってクリフ様と結婚してリオンと3人で幸せになりたい気持ちはある。

しかし、私の両親の事を考えるとクリフ様に迷惑がかかるのではないかと考えてしまう。

「その話を前もしなかったかな?君は義兄の家の養女になっている。そこから隣国の私の所に嫁ぐという話しになっているんだよ。だから、レオナは何も心配しなくて良い。身一つで私の所に来てくれればそれで良いんだ…」

クリフ様が私の右手をクリフ様の両手で包みこんだ。

「本当に宜しいのですか…。私と結婚してクリフ様のご迷惑になりませんか」

私の頬に涙が伝う。

その涙をクリフ様が優しく指で拭いてくれる。

「レオナが良いんだ。レオナじゃないと嫌なんだ…私と結婚してくれる?」

「…はい」

私が返事をするとクリフ様は私の額にキスをした。

目が合い思わず2人共が笑顔になった。

クリフ様は私の涙を拭きながら、優しく頬を撫で、そして唇を親指でなぞる。

2人の間の空気が甘い雰囲気になる。

クリフ様の顔が私に近づいてくる。

私はゆっくりと瞼を閉じた。

唇にクリフ様の温もりを感じる。

軽く何回か重なった唇が離れていく…。

寂しい気持ちになってしまう。

ゆっくりと目を開けるとクリフ様が近くで私の顔を見つめていた。

「寂しいって顔をしていたよ。もっとする?私は大歓迎だけど…」

「もう!…意地悪ですね」

私は顔を真っ赤にして、横を向いた。

クリフ様が私の頬にキスをした。

そして、そこから首筋へ向かってキスをされる。

「ん…クリフ様、駄目です」

私は思わず声を出してしまった。

「寂しいのは私の方だ。早く元気になってくれレオナ。これは私の婚約者だという印だ」

そう言ってクリフ様は私の鎖骨の辺りを強く口付けした。

赤い跡が残っている。

「続きは元気になってから…。待っている」

熱をおびた熱い視線でクリフ様が私を見つめる。

私は幸せな気持ちを噛み締めながら頷いた。

レオン…私は幸せになれそうだよ。





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