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18. キャルル様って…?〈サリア視点〉
しおりを挟む先日、初めて隣国のエルル様の妹のキャルル様にお会いしました。
噂では美しい方だとしか聞いていませんでしたけど、かなり変わった方だなというのが私の第一印象でした。
確かにお美しいのは違いないと思いましたが、何と言うか…私には言動が理解できない所があるのです。
それに、どうやらお兄様のことがお好きなご様子でした。
初めてお会いした日、庭園をご案内しているとキャルル様がいきなり私の手を掴まれて
「今日から私の事をお姉さまと呼んでかまいませんわ」
とおっしゃったんです。
ですが…確か年齢的には私の方が1歳年上のはずなんですけど…。
「お姉さまですか?しかし私の方が年上だと思うのですが…」
と、お聞きしたら
「歳はそうかもしれませんが、将来の事を考えて今から練習だと思ってくださればよろしいのですわ」
と返答があり、私にはよく理解できず…
「将来の練習ですか…?」
本当に、一体何を言っていらっしゃるのかが私には理解できず、その夜、侍女のマリーに話をしたら…
「キャルル様は、自分とマウル様が結婚をすると、サリア様の義姉になるので、その練習だと言われているんだろうと思われます」
と、教えてくれた。
なるほど。そう言うことなのですね…。
でも、キャルル様とお兄様に結婚のお話なんて出てませんよね?
2日目、キャルル様とお茶をした時に結婚の話のことをお聞きしたら…
「マウル様はシャイな方なので、御家族にもまだ私の事をお話しされていないんですわ」
と言われてしまった。
お兄様がシャイ?
また、侍女のマリーに聞いてみた。
「マウル様はシャイではなく、ツンデレというタイプだと思われます。皆さんの前ではクールだと言われておりますが、サリア様の前だと…とても、お優しく…心配症な方ですので」
何だか、言葉に詰まりながらだけど教えてくれた。
なるほど…。
お兄様はシャイではなくツンデレなのですね…。
ツンデレって?
3日目、演劇を見に行った。
ストーリーは、運命の花の印を持つ2人が家族などに反対をされ、思いあっているのになかなか一緒になることができない、というものだ。
キャルル様は号泣されて、私達のようですわ~と言っていらっしゃいました。
その時に運命の花の印だと言って手のアザを見せてくださいました。でも、色が薄い紫色をしていていかにもアザみたいに見えたんだけど、違うのかしら?
またまた侍女のマリーに聞いてみた。
「おそらく、アザだと思われます。キャルル様はマウル様を愛するあまり、すべてが2人を結びつける材料になってしまわれているのでしょう」
なるほど。さすがマリー、冷静な分析です。
そういえば、つい最近、お母様がやっとお兄様のお相手が見つかったと喜んでいらしたけど…それが、キャルル様のことなのかしら?
またまたまた、侍女のマリーに聞いてみた。
「違います。お相手については調査中です」
調査中?
誰だかわからない人がお兄様のお相手なの?
でも、キャルル様がこの事をお知りになったらどうなるのだろう…。
何だか急に寒気がしましたわ、明日もキャルル様を街に案内する予定になっているので、体調を崩してはいけないわね。
「今日はもう寝ます。色々と教えてくれてありがとう、マリー。おやすみなさい」
「とんでもございません。お休みなさいませ、サリア様」
何だかスッキリしたので良く眠れそうです。
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